HOME > BOOK >

『「患者」の生成と変容――日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』

坂井 めぐみ 20190720 晃洋書房,A5版,312p.

Tweet
last update: 20190711

このHP経由で購入すると寄付されます
『「患者」の生成と変容――日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』表紙イメージ


坂井 めぐみ 20190720 『「患者」の生成と変容――日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』,晃洋書房,A5版,312p.ISBN-10: 4771031487 ISBN-13: 978-4771031487 5200+ [amazon][kinokuniya] ※ aod. h01. ms. ss

■内容

脊髄損傷者たちは、どのように生きてきたのか。
幕末期には、治ることのない身体として見放されていた脊髄損傷者は、戦後の軍事医療の一環で「患者」として扱われるようになり、その後リハビリを通した社会復帰が望まれるようになった。そして今、再生医療の発明により、脊髄損傷者に新たな視線が注がれている。社会情勢、医療制度、患者の生活などから「患者像」の変容を示した医療の歴史をたどる。
第二次世界大戦による脊髄損傷者は、国策によって「生きられる」ようになった。これまで見過ごされてきた脊髄損傷医療の形成・展開を、社会情勢、医療制度、法律、患者の生活と関連づけながら、幕末期から現在にわたって検討し、患者像の変容を示した医療史研究。

■目次

序 章

第T部 脊髄損傷医療と脊髄損傷者の歴史
第1章 放置される身体――脊髄損傷/戦傷者の死の諸相(1853年-1907年)
   第1節 西洋外科の導入
   第2節 幕末・明治期の医学書にみる「脊髄損傷」
   第3節 日清・日露戦争による脊髄戦傷者の出現
   小 括
第2章 脊髄戦傷「患者」の生成――整形外科と軍陣医療の接点(1906年-1945年)
   第1節 日本整形外科学会の創立――その誕生と第一次世界大戦
   第2節 九州帝国大学と慶應義塾大学の脊髄損傷医療
   第3節 臨時・東京第一陸軍病院第一外科の脊髄戦傷医療
   小 括
第3章 治療・看護体制の形成と強化――傷痍軍人から医学研究の対象者へ(1940年-1950年代)
   第1節 軍人援護事業と傷痍軍人箱根療養所
   第2節 国立箱根療養所への転換
   第3節 医学研究の輪郭――脊髄損傷の臨床像の解明に向けて
   第4節 尿路感染・褥瘡・骨の変化
   小 括
第4章 社会復帰の論点化――病院、患者、医療者、リハビリの視点から(1947年-1963年)
   第1節 リハビリテーションのはじまり
   第2節 労災病院と一般病院の医療格差の顕在化
   第3節 国立箱根療養所と労災病院の患者の連帯
   第4節 入院・療養所生活と自宅療養生活
   第5節 リハビリテーションの活発化
   小 括
第5章 パラリンピック東京大会のインパクト――就労への期待と隘路(1960年-1965年)
   第1節 英国におけるリハビリテーションとしてのスポーツ
   第2節 身体障害者の就労への関心の高まり
   第3節 「脊髄コロニー」という理想形
   小 括
第6章 リハビリテーションの再編成――地域生活に向けて(1965年-1980年代)
   第1節 リハビリテーションにおける新たな課題
   第2節 地域生活という現実的な目標
   第3節 早期リハビリテーションを目的に
   小 括
第7章 標準治療と臨床研究(1990年代-2000年代)
   第1節 脊髄損傷の標準治療
   第2節 臨床研究における患者の位置
   小 括

第U部 脊髄損傷者による医療への関わりの現代史
第1章 日本せきずい基金の設立と活動――医療に介入する患者の出現(1981年-2004年)
   第1節 発生生物学と再生医療研究
   第2節 日本せきずい基金の始動
   第3節 胎児性神経幹細胞研究と倫理問題
   第4節 中国における胎児性OEG移植と胎児組織利用の議論
   小 括
第2章 臨床試験計画へのせきずい基金の関与――臨床試験を精査する患者(2000年-2006年)
   第1節 臨床試験とせきずい基金
   第2節 研究者との交渉――第1回懇談会(2004年1月18日)
   第3節 臨床試験計画の再検討――一般公開セミナー(2004年10月16日)
   第4節 臨床試験の実施に向けて
   小 括

終 章

■引用



■書評・紹介

◇akihitosuzuki's diary
 2019-07-08『「患者」の生成と変容ー日本における脊髄損傷医療の歴史的研究』を頂きました!
 http://akihitosuzuki.hatenadiary.jp/entry/2019/07/08/173736

■言及





*作成:松本 彩見
UP: 20190711 REV:
障害受容  ◇医学史・医療史  ◇医療と社会  ◇科学・技術・社会  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)