これらの犯罪が最終的にどれほどの規模のものと推測されるにかかわらず、それらを調査した者すべてに明らかになったのは、それらが小さな発端から始まったということであった。その発端とは、医師の基本的な態度におけるごくわずかな強調点の変更にすぎなかった。それは、[ナチスの]安楽死運動の基本となった態度、すなわち世の中には生きるに値しない命があるのだということを認めることから始まった。こうした態度は、その初期段階では、もっぱら重篤で慢性的な疾患に苦しむ病人についてのものにすぎなかった。次第に「生きるに値しない命」というこのカテゴリーに含まれる領域は広がっていき、社会的に非生産的な人々やイデオロギー的に望ましくない人々、民族的に好ましくない人々へと、そして最終的にはあらゆる非ゲルマン民族を包含するものとなっていった。しかし、[上記のような結末にまで至った]ナチス時代の精神潮流の全体がその推進力を得ていたのは、そこに組み込まれていた無限に小さな梃子、すなわち回復不能な病人に対するこうした態度からだったということを認識することは重要である。(Leo Alexsander, "Medical Science under Dictatorship." The New England Journal of Medicine. Vol. 241, No. 2, July 14, 1949)