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『認知症に手さぐりで接近する――2007-2009』』

中井 久夫 20190410 みすず書房,中井久夫集10,337p.

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last update: 20190425

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中井 久夫 20190410 『認知症に手さぐりで接近する――2007-2009』』,みすず書房,中井久夫集10,337p.ISBN-10: 4622085801 ISBN-13: 978-4622085805 3600+ [amazon][kinokuniya] ※ w/nh05

■内容

amazonより

 家族や知人の身におこった認知症やがん等の病に、患者と主治医のあいだという立場から関わり、生存だけでなくQOL(生活の質)に配慮した治療のあり方を考えた「ガンを持つ友人知人への私的助言」「SSM、通称丸山ワクチンについての私見」「煙草との別れ、酒との別れ」「昏睡からのサルヴェージ作業の試み」「敗戦直後の山岳部北アルプス行き」ほか28編を収録。


「私は精神科医として四十何年かを過ごしてきましたが、患者とは、あるいは患者も含めて不幸な人とは、考え、考え、考え、考えている者だということを言ってもよいだろうと思います。幸福な人とは、明日も今日と同じであってもよいと思っている人のことだという定義を聞いたことがありますが、健康も幸福の一部です。健康な人とは明日も今日と同じであってよいと思っている人です。考えに迫られてはいないでしょう。


 これに反して、認知症の方は、どうして簡単なことが思い出せないのか、言葉が出てこないのか、どうして、どうして、どうして、と考えつづけています。これからどうなってゆくのだろうとも。統合失調症の人も、どうしてこうなったのだろう、これからどうなるのだろうと考え、考え、考えています。
ガン患者も同じく考えに考えをつづけています。たぶん、子どもの多くも、失恋も含めて不幸な人もです。なぜよりによって私にという理不尽さに、あそこでああしなかったら、こうはならなかったのに、奇跡的に治らないだろうかと。これが悪循環となって、考えが麻痺する人も、堂々巡りをくり返して固定観念になる人も、ストーカーのように自尊心を捨てて不毛な行動に出る人もあるでしょう。」
(「認知症の人からみた世界を覗いてみる」2008)

解説・最相葉月
精神科医・中井久夫が半世紀にわたり世に届けつづけたことばの数々を年代順に編む好評のシリーズ『中井久夫集』(全11巻)。(amazonより)


■目次

院内感染に対する患者自衛策試案
焔とこころ、炎と人類
昏睡からのサルヴェージ作業の試み
敗戦直後の山岳部北アルプス行き
ガンを持つ友人知人への私的助言
戦艦ミズーリと特攻機
建物は正面だけでよいか
河合隼雄先生の対談集に寄せて
SSM、通称丸山ワクチンについての私見
辞書からみた伝統と文化
心的外傷寸感
軽症ウイルス性脳炎について
国内外の精神医学の動向一端
認知症に手さぐりで接近する
認知症の人からみた世界を覗いてみる
伝記の読み方、愉しみ方
「生きた証」を求める
血液型性格学を問われて性格というものを考える
臨床引退後の日々
煙草との別れ、酒との別れ
株主優先でよいのか
安克昌先生と私
私が面接で心がけてきたこと――精神科臨床と臨床心理学をめぐる考察
現代医学はひとつか
難事に現れるリーダー
『ニイルス・リイネ』
ある団地の変化
遅発性心的外傷患者への絵画療法の試み
解説10 最相葉月
掲載文・書誌一覧

■引用



■書評・紹介



■言及





*作成:岩ア 弘泰
UP: 20190425 REV:
中井 久夫 身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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