横浜市立大学国際総合科学部准教授。1978年生まれ。国際基督教大学教養学部卒。米国ケース・ウェスタン・リザーヴ大学大学院生命倫理学修士課程、米国ニューヨーク州立大学バファロー校大学院哲学博士課程を修了。博士(哲学)。専門は倫理学、生命倫理。立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー、東京大学大学院医学系研究科特任助教を経て、2012年より現職。論文「利益のボーダーライン―大脳機能の不可逆的な喪失と代理決定」で日本生命倫理学会若手論文奨励賞、「自殺幇助は人格の尊厳への冒涜か」で日本倫理学会和辻賞を受賞。主な著書に『生死の語り行い1―尊厳死法案・抵抗・生命倫理』(生活書院、共著)、『生命倫理と医療倫理 第三版』(金芳堂、共著)、The Future of Bioethics: International Dialogues (Oxford University Press、共著)等。(「BOOK著者紹介情報」より)
Velleman, David, 1992, "Against the Right to Die," Journal of Medicine and Philosophy 17:665-682
―――― 1999,"A Right of Self-Termination?" , Ethics, 109-1:606-628
「筆者が SOL の主張の欠点とみなしているのは、(1)と(2)を同時に認めることができないという点ではなく、(1)と(2)の価値が互いに対立、衝突する場合をどう理解するかの点にある。より正確にいえば、人の利益やQOL を守ろうとすると、利益や QOL とは独立に価値があるとされるその人の生命を破壊しなければならない場合である。この場合、SOL という表現をつかって人に内在的価値があるとするアイデアを擁護している議論のうち拙著で取り上げた議論のいくつか(それぞれバイタリズム、完全平和主義、キリスト教倫理の原則と呼んだ)は、利益や QOL の価値よりも生命の内在的価値が常に優先されるべきだという主張を含んでいる。この主張が、筆者の理解では、受け入れがたい結論を必然的に導く。」