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『医療・福祉と人権――地域からの発信』

医療・福祉問題研究会 編 20181225 旬報社,396p.

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last update: 20180422

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■医療・福祉問題研究会 編 20181225 『医療・福祉と人権――地域からの発信』,旬報社,396p.ISBN-10: 4845115638 ISBN-13: 978-4845115631 6000+ [amazon][kinokuniya]

■内容

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 30年に及ぶ医療・福祉問題研究会の活動の成果!
現在の日本の保健・医療・福祉関連の問題点を明らかにし、これからの時代に向けた「人権としての医療・福祉研究」のあるべき姿を展望する。
医療・福祉の「地域性」を口実に、政府は自治体にそれらの施策を「まるなげ」する姿勢を強めている。その政策は「福祉」を「ビジネスチャンス」ととらえて、「福祉の民営化・営利化」を進めるものである。したがって、これからの「医療・福祉」を人権として確立するために医師、看護師、保健師、福祉関係者等と研究者および行政担当者との共同研究を重ね、地域から発信することがあらためて求められているのである。――編著者一同

「BOOK」データベースより

30年に及ぶ医療・福祉問題研究会の活動の成果!現在の日本の保障・医療・福祉関連の問題点を明らかにし、これからの時代に向けた「人権としての医療・福祉研究」のあるべき姿を展望する。

「はしがき」より

 医療・福祉問題研究会は、1986年9月、石川県の医療・福祉関係の研究者、関連施設に従事する医師、看護師、保健師、社会福祉士等の専門家および地方自治体等の関連する職域の公務員の方々等を中心に発足した研究会である。
 2016年に、当会は発足30年を迎えた。これを記念して当会が発行してきた『医療・福祉研究』のなかから、とくに「地域における医療・福祉と人権」に関わる研究、論考を中心に14篇を選別するとともに、今回、新たに書き起こした論考を織り交ぜて単行本として出版することとした。
 つまりこの本は、これまでの30年間の研究・論文等から、現在の日本の保健・医療・福祉関連の問題点を明らかにし、新たな知見を加えて、今後のあるべき方向を提言する「出版」である。
 振り返ると、この研究会の発足のまえ、1973年には老人医療費「無料化」が実現し、健康保険本人は10割給付が原則であった。当時、日本の健康達成度の総合評価は世界第一位であり、しかも医療費総額は先進5か国で最も少なく、対国内総生産比は先進国のなかでも平均以下であった。
 しかし、1983年に老人保健法が成立し、老人医療費「無料化」制度が廃止された。この時期を契機に、たとえば、国民健康保険料の滞納を理由に保険証が交付されず、死亡するという事件(金沢、1987年)や、生活保護を拒否された病気の母親の餓死事件(札幌、1987年)などの痛ましい事件が頻発し始めた。これらの痛ましい庶民の犠牲にもかかわらず、厚生省は病床規制を目的に「基準病床数」を各県に通知(1986年1月)し、「行き場のない病身、障害の高齢者」を「医療・福祉」から追い出し、放置するなどして、国の医療費負担の削減政策を強行しはじめたのであった。
 その後、政府は、1997年に介護保険法の制定、2005年に医療制度改革大綱の制定、2008年に後期高齢者医療制度の制定など、その新自由主義的な医療・社会保障改悪政策を急速に進めたのである。
 さらに、第二次安倍政権下では、人権としての社会保障が、自助・互助・共助の「美名」のもとで、厳しい危機に直面しはじめる。2013年8月に「社会保障制度改革国民会議」の報告書がだされ、今や日本の医療、福祉の崩壊は留まるどころか、「崖っぷち」の危機に立たされている。
 とくに最近は、医療・福祉の「地域性」を口実に、政府は自治体にそれらの施策を「まるなげ」する姿勢を強めている。その政策は「福祉」を「ビジネスチャンス」ととらえて、「福祉の民営化・営利化」を進めるものである。したがって、これからの「医療・福祉」の地域でのあり方に関して、医師、看護師、保健師、福祉関係者等と研究者および地域の行政担当者との共同研究が、あらためて求められているのである。
 この本がこれからの「地域」での住民の立場、高齢者、障害のある人、有病者の立場からの「医療・福祉」研究と運動の参考となることを期待している。

■目次

◆主な目次
はしがき…………莇 昭三
第1部 医療・福祉の実態
第1章 珠洲市日置地区住民の医療・福祉実態調査報告…………河野すみ子・信耕久美子
第2章 医療機関からみえる「無縁社会」…………伍賀道子
第3章 医療・福祉過疎地域の現状と地域包括ケアシステムの現実性…………井口克郎
第4章 高齢者の貧困と社会的孤立問題…………河合克義
第2部 医療・福祉改革をめぐる対抗と課題
第1章 社会保障をめぐる対抗関係と人権としての社会保障の課題…………井上英夫
第2章 経済・財政一体改革における医療提供体制改革の現状と課題…………工藤浩司
第3章 安倍政権下における介護保険制度改革の問題点と対抗軸…………井口克郎
第4章 障害者福祉をめぐる対抗と課題…………鈴木 靜
第5章 なぜ、子育ての第一義的責任が強調される?…………垣内国光
第6章 年金の持続可能性と皆年金…………田中明彦
第7章 生活保護制度改革をめぐる対抗と課題…………村田隆史
第8章 社会保障の財源問題をめぐる対抗と展望…………横山壽一
第3部 人権としての医療・福祉研究の到達点―研究会活動の蓄積と成果1
第1章 医療・福祉と貧困…………江口英一
第2章 医療・福祉と人権…………若月俊一
第3章 ハンセン病と人権…………谺 雄二
第4章 「記住我」―私たちを忘れないで! …………莇 昭三
第5章 21 世紀における高齢者の人権…………井上英夫
第6章 今日の貧困と格差を考える…………伍賀一道
第7章 経済改革と人権…………横山壽一
第4部 医療・福祉の国際研究―研究会活動の蓄積と成果2
第1章 スウェーデンにおける利用者主体の社会福祉法制度…………高田清恵
第2章 ノルウェー・ベルゲン市におけるハンセン病医療研究………鈴木 靜
第3章 高齢化社会と医療の社会化の将来…………査 建華
総括と展望 医療・福祉問題の研究課題と方法…………井上英夫
あとがき…………伍賀一道

■著者略歴

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編著者

医療・福祉問題研究会
莇 昭三(あざみ しょうぞう/城北病院医師)
井上英夫(いのうえ ひでお/金沢大学名誉教授・佛教大学客員教授)
河野すみ子(こうの すみこ/北陸学院大学非常勤講師)
伍賀一道(ごか かずみち/金沢大学名誉教授)
信耕久美子(しんこう くみこ/寺井病院医療ソーシャルワーカー)
横山壽一(よこやま としかず/佛教大学社会福祉学部教授)

著者

伍賀道子(ごか みちこ/城北病院医療ソーシャルワーカー)
井口克郎(いのくち かつろう/神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授)
河合克義(かわい かつよし/明治学院大学学長特別補佐・名誉教授)
工藤浩司(くどう こうじ/石川県保険医協会事務局長)
鈴木 靜(すずき しずか/愛媛大学法文学部人文社会学科教授)
垣内 国光(かきうち くにみつ/明星大学名誉教授)
田中明彦(たなか あきひこ/龍谷大学社会学部現代福祉学科教授)
村田隆史(むらた たかふみ/青森県立保健大学健康科学部講師)
江口英一(えぐち えいいち/執筆当時:中央大学教授、2008年逝去)
若月俊一(わかつき としかず/執筆当時:佐久総合病院総長、2006年逝去)
谺 雄二(こだま ゆうじ/執筆当時:ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会会長、2014年逝去)
高田清恵(たかた きよえ/琉球大学人文社会学部教授)
査 建華(サ ケンカ/上海金融学院副教授)

■引用



■書評・紹介



■言及





*作成:岩ア 弘泰
UP: 20190418 REV: 20180422
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