HOME > BOOK >

『不死身の特攻兵――軍神はなぜ上官に反抗したか』

鴻上 尚史(こうかみ・しょうじ) 20171120 講談社,292p.

Tweet
last update: 20190506

このHP経由で購入すると寄付されます


■鴻上 尚史 20171120 『不死身の特攻兵――軍神はなぜ上官に反抗したか』,講談社,292p.ISBN-10: 4062884518 ISBN-13: 978-4062884518 880+ [amazon][kinokuniya]

■内容

amazonより

メディア掲載レビューほか
日本軍の真実
12月8日は日米開戦があった日。沖縄をはじめ全国に米軍の基地や施設があり、不平等な日米地位協定や航空管制など、“戦後"はまだ続いている。76年前に無謀な戦争をしなければ、そして、その前に愚劣な中国侵略を始めていなければ、こんなことにはならなかっただろうに。
戦争の始め方もばかげていたが、終わり方も悲惨だった。面目にこだわった軍部は負けを受け入れようとせず、一般国民はひどい目にあった。
日本軍の戦術でもっとも愚劣なものが特攻だろう。飛行機だけでなく操縦者の生命も失われる。日本軍が人命を軽視したことを象徴している。
だが、出撃しても生きて帰ってきた特攻兵がいた。それも9回も。昨年の2月、92歳で亡くなった佐々木友次氏がその人である。鴻上尚史の『不死身の特攻兵』は、佐々木氏や特攻について調べたこと、佐々木氏へのインタビュー、そして、それらからこの劇作家が考えたことの三つの要素からなる。
なるほどと思ったのは、特攻は兵士の誇りを傷つける作戦だったという話。体当たりせよという命令は、それまで訓練してきた急降下爆撃などの技術を否定するものだ。だから佐々木氏らは、命令に逆らって米軍の戦艦に爆弾を投下して帰還した。
だが、軍は生還した兵士をねぎらうどころか冷遇する。早く再出撃して、こんどこそ死ねと迫る。体当たりして戦果を上げたと、天皇にも報告してしまったのだから、というのが軍幹部のいいぶんだ。しかも命令した上官は、米軍が迫ると台湾に逃げ出す始末。これが戦争の現実、日本軍の真実だ。評者:永江朗(週刊朝日
掲載)

 太平洋戦争末期に実施された”特別攻撃隊”により、多くの若者が亡くなっていった。だが、「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏に鴻上尚史氏がインタビュー。飛行機がただ好きだった男が、なぜ、絶対命令から免れ、命の尊厳を守りぬけたのか。命を消費する日本型組織から抜け出すには。太平洋戦争の末期に実施された”特別攻撃隊”。戦死を前提とする攻撃によって、若者たちが命を落としていった。だが、陸軍第一回の特攻から計9回の出撃をし、9回生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏は、戦後の日本を生き抜き2016年2月に亡くなった。鴻上尚史氏が生前の佐々木氏本人へインタビュー。飛行機がただ好きだった男が、なぜ、軍では絶対である上官の命令に背き、命の尊厳を守りぬけたのか。我々も同じ状況になったとき、佐々木氏と同じことができるだろうか。戦後72年。実は本質的には日本社会は変わっていないのではないか。本当に特攻は志願だったのか、そして、なぜあんなにも賛美されたのか。命を消費する日本型組織から、一人の人間として抜け出す強さの源に迫る。

内容(「BOOK」データベースより)
1944年11月の第一回の特攻作戦から、9回の出撃。陸軍参謀に「必ず死んでこい!」と言われながら、命令に背き、生還を果たした特攻兵がいた。

■目次

第1章 帰ってきた特攻兵
振武寮という地獄/第一回の特攻隊/札幌の病院で
第2章 戦争のリアル
艦船を沈める難しさ/万朶隊の結成/「臆病者」/無能なリーダー
第3章 2015年のインタビュー
死なない強さ/生き残った者として/佐々木さんを支えたもの
第4章 特攻の実像
守られたエリート/精神主義の末路/日本人の性質と特攻 他

■著者について

kinokuniyaより

鴻上尚史[コウカミ ショウジ]

作家・演出家。1958年愛媛県生まれ。早稲田大学在学中の81年に劇団「第三舞台」を結成。87年「朝日のような夕日をつれて’87」で紀伊國屋演劇賞団体賞、95年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞。97年に渡英し、俳優教育法を学ぶ。10年に戯曲集「グローブ・ジャングル」で第61回読売文学賞戯曲・シナリオ賞受賞。舞台公演のかたわら、エッセイや演劇関連の著書も多く、ラジオ・パーソナリティ、テレビ番組の司会、映画監督など幅広く活動。日本劇作家協会会長。

■引用



■書評・紹介



■言及





*作成:岩ア 弘泰
UP: 20190506 REV:
身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)