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『生きている!殺すな――やまゆり園事件の起きる時代に生きる障害者たち』

「生きている!殺すな」編集委員会 編 20171020 山吹書店,205p.

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last update: 20190708

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■「生きている!殺すな」編集委員会 編 20171020 『生きている!殺すな――やまゆり園事件の起きる時代に生きる障害者たち』,山吹書店,205p. ISBN-10: 4865380647 ISBN-13: 978-4865380644  1800+ [amazon][kinokuniya] ※ et-2004s

■内容

amazonより

内容紹介
優生思想にもとづいたやまゆり園事件の起きる時代への対抗として、障害のある人たちや親、支援者の21人が、困難と向き合いいきいきと生活する姿を自ら描いた本
〈音楽CD付き〉歩笑夢:19の軌跡 ラブ・エロ・ピース:死んでない殺すな

刊行に当たって
2016年7月に起きた津久井やまゆり園事件(相模原市にある施設で起きた障害者殺傷事件)は、社会に大きな衝撃をあたえ、年が明けても、人々に揺らぎとざわめきをもたらし続けていた。人々の障害者を「知りたい」気持ちは強く、障害者のことを「知らない」ので考えられない/語れない、「知らない」ので障害者に声をかけることもできない、という声も聞かれた。
一方で、障害のある人たちは事件に怒るとともに、殺されていたのは自分だったかもしれない、自分もいつ殺されるかもしれないと、暴力の予感に怯えた。だから、障害者の「知ってほしい」気持ちもとても強い。「知る」ことからしか偏見や差別をなくすことはできないし、障害者を「分けない」社会こそが、再びやまゆり園事件を生まない社会の土壌となるからだ。
社会のなかで、困難と向き合い、よく生きようと努力しながらいきいきと日々生活している、一人ひとり違う障害者の現実を「知らせる」本をつくりたいと本書の編集委員会は考えた。そして、障害者や難病の方、親、支援者の21人が、障害について、介護について、人生について、生活について、仕事について、また、津久井やまゆり園事件について執筆した。
付録の音楽CDのうち、「19の軌跡」は、やまゆり園事件をきっかけにつくられ、追悼集会などで歌われてきた。「死んでない 殺すな」は、数年前に尊厳死法案を怖れる障害者と支援者によってつくられ、障害者の集会などで歌われてきた。 この本と音楽が、障害者に初めて関心を持たれた方にも、永らく関心を持ってこられた方にも、なんらかの気づきとなれば幸いである。

内容(「BOOK」データベースより)
2016年夏、相模原市にある施設「津久井やまゆり園」で多数の障害者が殺傷される事件が起きた。障害のある人たちは、事件に怒り、そして、殺されていたのは自分だったかもしれない、自分もいつ殺されるかもしれないとおびえた。だから、障害者は、障害者が生きている現実を知ってほしい。知ることからしか偏見や差別をなくすことはできないし障害者を分けない社会こそが、再びやまゆり園事件を生まない社会の土壌となるからだ。本書は、いきいきと生きる障害者の現実を知らせるために、障害者や難病の人、親、支援者の21人が、障害について、介護について、人生について、生活について、仕事について、やまゆり園事件について、執筆したものである。


■目次

19の軌跡(歌詞)
死んでない 殺すな(歌詞)

●施設から地域へ
地域で暮らすのは楽しいよ 小田島榮一
やまゆり園事件を知らない人々へ 見形信子
人生50年と思いきや… 篠原由美
私が地域へ帰るとき 木村 英子

●地域で生きる
ケーキ売りのつぶやき 実方裕二
みんなちがってみんないい 猿渡達明
私の被差別体験記 熱田弘幸

●難病・重度障害と生きる
1型糖尿病と生きる 西田えみ子
家族や仲間のなかで、私は私らしく生きる 安平有希
障害のある息子と歩んだインクルーシブ教育への道 新居大作

●運動のなかに光をみいだす
ひきこもりは私の畠です 加藤真規子
わたしはわたし 山本眞理
障害者運動と生きる 尾上裕亮
わたしのこだわり 横山晃久

●差別とたたかう
65歳問題と精神保健福祉法改悪 見元博
津久井やまゆり園事件を生み出す時代に優生思想と闘う 古賀典夫
婚外子差別と障害者差別―優生思想 菅原和之

●地域生活を支える
福祉労働者として、津久井やまゆり園事件を考える 佐藤孝
ヘイトクライムの時代の地域自立生活支援 宮ア一
何が暴力を振るわせるのか?―障害者介助と暴力の構造 高橋慎一
とまどいと苦難―相模原の事件の後に感じること 渡邉琢

■引用


◆私が地域へ帰るとき 木村 英子

 「朝、目が覚めて「ここはどこだろう」とあたりを見回す。隣に寝ている夫と息子の顔を見て、ここは我が家だ、ここが私の現実なんだと実感しやっと安堵する。ときおり、私はまだ施設にいて、地域で家族と暮らす今の生活は夢ではないかという錯覚に陥り、そして絶望感に襲われる。
 […]
 私は、1965年に横浜市で生まれた。生後8か月のころ、歩行器ごと玄関へ落ちて、障害者になってから施設に預けられ、家庭を知らずに育ってきた。物心ついたときは施設のベッドの上だった。見えるのは、白い天井に並んだ四角い線とその中に無数にある黒い△039 点。」(木村[2017:39-40])

■書評・紹介・言及

◆立岩 真也 2019/07/20 「やまゆり園事件から3年 「生きる価値」の大切さ問う」,『朝日新聞』2019-07-20朝刊

 「[…]
 『生きている!殺すな』は、強く悲しみながらも弱気になってしまったり、自死を肯定してまう心性から遠く離れて、生きている人たち、その生活を手伝う人たちの文章が集められた本だ。むだに暗くなったりせず怒っている本だ。そんな人たちを知らなかったら読むとよい。」


*作成:岩ア 弘泰立岩 真也
UP: 20190708 REV:20190718
7.26障害者殺傷事件(津久井やまゆり園事件)
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