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『正義・平等・責任――平等主義的正義論の新たなる展開』

井上 彰 20170623 岩波書店,230p.

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last update:20171021

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井上 彰 20170623 『正義・平等・責任――平等主義的正義論の新たなる展開』,岩波書店,230p. ISBN-10:400061200X ISBN-13:978-4000612005 4800+ [amazon][kinokuniya] ※ p

■内容

[amazon]より

内容紹介

先鋭化する格差や貧困問題を背景に、今日の政治哲学や法哲学では、正義論が「平等」の問題を軸に展開されてきた。英米圏における分析的平等論を批判的に検討、平等の価値理念と責任構想を織り込んだ新しい平等主義的正義論の構築をめざす、画期的論考。

内容(「BOOK」データベースより)

先鋭化する格差・貧困問題を背景に、今日の政治哲学や法哲学においては、「平等」の問題を軸に正義論が展開されてきた。英米圏における分析的平等論を批判的に検討し、平等の価値理念と責任構想を織り込んだ新しい平等主義的正議論の構築をめざす、画期的論考。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

井上/彰
1975年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得退学。Australian National University,Research School of Social Sciences,Philosophy Program,PhDコース修了。Ph.D.(Philosophy)。群馬大学社会情報学部情報社会科学科講師、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授等を経て、2017年4月より東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻准教授(政治哲学・倫理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

序論 平等主義的正議論の新たなる展開に向けて
第1章 分析的平等論とロールズ『正義論』
第2章 ドゥオーキンの平等主義的正義論―その批判的検討
第3章 左派リバタリアニズムの正義論―その意義と限界
第4章 宇宙的価値としての平等―平等主義的正議論の価値論的基礎
第5章 選択責任の両立論的構想―正義原理に向けて

■引用

第5章 選択責任の両立論的構想―正義原理に向けて
 四 選択責任の両立論的構想 184-
 「穏当性
 ここまで来て、合理的能力に基づく選択責任の両立論的構想に対する疑問が逆に深まったかもしれない。なぜなら、合理的能力の程度に応じて責任を帰す考え方は、個人の選択責任を厳正なものにすると思われるからである。しかも合理的能力の観念は、人間社会の一般的事実の一角を占める重要な事実、すなわち、市場社会のリスクや変動を見込△191 んだうえで自らの機会集合を評価する能力を要件として織り込むことから、自らの選択により境遇が悪化した場合、その責任をそっくりそのまま当の選択者に帰す方便として用いられてしまうという懸念すら生じる。このような責任構想は、分配的正義に期待きれる平等主義的含意からはほど遠く、ひどい事故を起こしたドライバーにその責任がある場合には助けずに放置することを「正当なこと」として扱う従来の運の平等論となんら変わらない、とする批判さえ成り立っかもしれない(Andseson 1999, pp.295-298)。
 しかし合理的能力に基づく選択責任の構想は、そのような選択責任追及の「過酷さ」とは無縁である。まず第一に言えることは、合理的能力を有さない者には責任が帰されない点である。この点は、合理的能力をべースとする以上明白だが重要である。われわれの構想は、合理的能力を有しているとは言い難い存在――たとえば、重度の障害者や重篤な精神疾患に悩む人――に無慈悲に責任を追及する営みをよしとしない。それゆえわれわれの構想は、あらゆる人間に対し、その能力の有無や軽重に関係なく責任を問う議論――たとえば巷に蔓延する自己責任論――とは区別されるべきである。もちろんそれは、合理的能力の欠落した人たちをそのまま放置することを意味しない。そのような扱いが、われわれの宇宙的価値としての平等を上位に置く価値体系からして許容されない点については、すでに第四章第四節(2)で確認した通りである☆25。」
 「☆25 重度の障害者といった合理的能力を欠く人たちに対しては、平等の価値以外にも、別の道徳的価値、たとえばケアを要求する規範が成立する可能性はある。この点については、ケアの倫理を中心に数多の議論があり、人道的価値との関係も含めて整理する必要がある(Kittay 1999; Nussbaum 2006; 品川二〇〇七)。いずれにしてもそうした価値のあり方について積極的な主張を展開するためには、平等主義的正義論の価値体系のなかで当該価値がいかに定位きれるかについて明らかにする必要がある。逆にそれを明らかにしなければ、テムキンと同様、アドホックな多元主義に訴える議論と化しかねない。」([201])

■書評・紹介・言及

◆立岩 真也 2018/09/01 「連載・149」,『現代思想』46-(2018-09):-

◆立岩 真也 2018 『(題名未定 2018b2)』,青土社 文献表


*作成:岩ア 弘泰
UP:20171021 REV:
井上 彰  ◇哲学/政治哲学  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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