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『社会的連帯経済入門――みんなが幸せに生活できる経済システムとは』

廣田 裕之(ひろた やすゆき) 201612 集広舎,232p.

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last update: 20220117


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■廣田 裕之 201612 『社会的連帯経済入門――みんなが幸せに生活できる経済システムとは』,集広舎,232p. ISBN-10:4904213432 ISBN-13:978-4904213438 1500+ [amazon][kinokuniya] ※ d08, w0105

■内容

amazonより

格差社会を乗り越える、新しい経済による可能性。

社会的連帯経済は全世界で10億人が実践していると言われる。共産主義・資本主義・新自由主義・グローバリズムとは一線を画し、人々のつながりや環境保全と持続性を重視する新しい経済システムを、世界各地の実情に詳しい地域通貨研究の第一人者が、アジア・中南米・ヨーロッパにおける実例を紹介しながら分かりやすく解説する。


〈前書き〉より
おそらく日本では大多数の方が知らない概念だと思われますが、社会的連帯経済は日本を含む世界各地でその重要性を増しています。社会的連帯経済、社会的経済あるいは連帯経済などという表現を積極的に使う国や人もあれば、そのような表現を使わずに実践を行っている国や人も多くありますが、新自由主義的な価値観が支配的な世界であっても、それとは違う経済や社会を構築する方法として社会的連帯経済という概念や、それに含まれる各種事例が注目を集めているのです。(中略)資本主義や共産主義=国家資本主義のみが経済ではないということを、理論的のみならず世界各地の実践例を通じて理解してもらう上で、この本が皆さんのお役に立つことを願っております。


■著者紹介

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廣田 裕之(ひろた・やすゆき)
1976年福岡県生まれ。1999年より地域通貨(補完通貨)に関する研究や推進活動に携わっており、その関連から社会的連帯経済についても2003年以降関わり続ける。スペイン・バレンシア大学留学中、同大学社会的経済修士課程修了。著書『地域通貨入門─持続可能な社会を目指して』(アルテ、2011[改訂版])、『シルビオ・ゲゼル入門─減価する貨幣とは何か』(アルテ、2009)など。


■目次

第01章 社会的連帯経済のルーツを求めて
第02章 欧米・アフリカの動向
第03章 中南米での連帯経済の発展─ブラジルを中心として
第04章 アジアにおける連帯経済の発展
第05章 協同組合
第06章 社会的企業
第07章 フェアトレード
第08章 金融・地域通貨
第09章 社会的連帯経済関係の公共政策
第10章 マーケティング
第11章 地域発展
第12章 日本における社会的連帯経済の歴史
第13章 日本の社会的連帯経済が抱える諸課題
第14章 お住まいの地域で社会的連帯経済を推進するには


■引用

pp. 84, 86, 127
社会的企業が最初に生まれた英国では、社会的企業を定めた法律は特に存在せず(p.84)、社会的企業関係で法律が存在しているのは、フィンランド、リトアニア、イタリアそして韓国の4か国です。このうち、イタリア法では社会的企業について定義するのみで、政府に対して社会的企業の推進を義務付けてはいませんが、フィンランドとリトアニア、そして韓国では政策が充実しています(p.127)。また、厳密には社会的企業ではありませんが、スペインではこれに似た概念として、社会的包摂企業というものが存在します。これらは、・・・(p.86)。

p.
社会的連帯経済に直接関係した法律ですが、国レベルでは2011年にスペインで社会的経済法とエクアドルで民衆連帯経済法、2012年にメキシコで社会連帯経済法、2013年にポルトガルで社会連帯基本法が、そして2014年にフランスで社会連帯経済法が可決されています。このなかで最も短いのがスペイン法で、わずか9条から構成されています。この法律の意義としては、その実践的な公共政策の推進よりも社会的経済の枠組みの制定のほうに重心が置かれており、法律の施行から5年経過した現在も、スペイン政府側から具体的なアクションは執り行われていません。また独立国ではありませんが、カナダのケベック州では、2013年に社会的経済法が可決しています。

pp. 131-133
最後に国レベルではありませんが、韓国・ソウル市における社会的経済の支援政策は目を見張るものがある。ソウル市では、持続可能な社会的経済の生態系を作り上げることをビジョンとして掲げており、現在は同市内の総生産の2%にとどまっている社会的経済のシェアを、2020年までに8%へと増やす野心的な計画を定めています。まず、社会的経済の生態系造成に関しては、社会的経済支援センターがあげられます。協同組合都市ソウルという枠組みで、協同組合相談支援センターが、マウル都市ソウル(マウルとは村という意味の韓国語)では、マウル企業に対して最大5000万ウォンの設立支援金を出すことも決定しています。マウル企業とは日本のコミュニティビジネス同様、地域に根差した企業を指しますが、日本のコミュニティビジネスが社会問題の解決型であるのに対し、マウル企業の場合には雇用や安定した所得の創出に重点が置かれている違いがあります。

p. 191
自治体レベルで社会的連帯経済を推進するには、国内外にある社会的連帯経済の実践例を見つけて研究する必要がある(p.189)。自治体レベルで比較的実現しやすい方策の一つとして、社会的経済支援センターの設立が挙げられます。日本のどこかで韓国ソウル市の社会的経済支援センターのような先進事例が生まれ、プラスのインパクトを生み出すようになると、日本各地で後を追ってNPO支援センターから社会経済支援センターへの衣替えが行われることでしょう。


■書評・紹介



■言及





*作成:伊東 香純
UP: 20210213 REV: 20220117
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