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『治安維持法の教訓――権利運動の制限と憲法改正』

内田 博文 20160923 みすず書房,589p.

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last update:20161204

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■内田 博文 20160923 『治安維持法の教訓――権利運動の制限と憲法改正』,みすず書房,589p. ISBN-10:4622085313 ISBN-13:978-4622085317 9000+ [amazon][kinokuniya] ※ d/c0102

■内容

[amazon]より

 治安維持法は大正14(1925)年に制定され、昭和3年と16年の改正をへて猛威をふるった。 歴史研究による刑法学の第一人者が帝国議会の審議から制定の過程を、大審院判例から 運用の過程を読み解き、20年の変容をたどる。 大正デモクラシーの風を受け、治安維持法の審議では迫真の討論が行われた。「国民が 萎縮する」「濫用の危険性はないか」「世界の潮流から後れる」「学問の自由を 制限しないか」。多くの懸念が表明され、やがて現実となった。 《京都学連事件》《司法官赤化事件》《川崎武装メーデー事件》《唯物論研究会事件》… 法廷ではどんな法理論を用いて「目的の為にする行為」「支援結社」などを拡大解釈 して無数の有罪判決を導いたのか。 被告・弁護士・裁判官・大審院長・思想検事の言葉からは、当時の「専制と暴力」の システムと思考が見えてくる。 治安維持法は「国体の変革」や「私有財産制度の否認」を目的とする非合法組織の 取締りを掲げ、昭和10年頃には共産党などは壊滅状態になった。しかし真の狙いは 国民の統制であり、とりわけ失政の見直しを政府に求め、自らの手で実現しようとする、 労働争議や反戦運動などのあらゆる「権利運動」の抑圧だった。 いま、ふたたび治安維持法の亡霊がさまよう。 憲法改正や共謀罪に通底する「公益及び公の秩序」のための人権制限はどんな 社会を招くのか。歴史に聴く時。

■目次

年表 治安維持法の制定と改正

第一部 治安維持令と治安維持法
 第一章 治安維持令の公布
 第二章 治安維持法の成立
 第三章 治安維持法の適用

第二部 昭和三年改正法
 第四章 昭和三年改正法の成立
 第五章 昭和三年改正法の適用

第三部 昭和九年および十年の改正法案
 第六章 昭和九年および十年の改正法案の不成立
 第七章 法改正挫折後の進んだ著しい拡大適用

第四部 新治安維持法
 第八章 新治安維持法の制定
 第九章 新治安維持法の施行とその法適用

第五部 治安維持法の亡霊
 第十章 治安維持法の教訓を活かすために
 第十一章 権利運動の危機と憲法改正

註 治安維持法施行後の歴代大審院長のプロフィール
年表 戦前の日本共産党──結成・再建・崩壊

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:岩ア 弘泰
UP:20161204 REV:
犯罪/刑罰・文献 法学 身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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