HOME > BOOK >

『叫びの都市――寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者』

原口 剛 20160910 洛北出版,409p.

Tweet
last update:20161220

このHP経由で購入すると寄付されます


■原口 剛 20160910 『叫びの都市――寄せ場、釜ヶ崎、流動的下層労働者』,洛北出版,409p. ISBN-10:4903127257 ISBN-13:978-4903127255 2400+ [amazon][kinokuniya] ※ d/w01

■内容

[amazon]より

「ドヤ街」という拠点も奪われて

大阪港の港湾労働に従事する沖仲仕たちの街、釜ケ崎。高度成長を裏から支えたこの空間に定位し、著者は矛盾に満ちた戦後日本の姿を浮き彫りにする。

港湾運送業の需要は、船の入港によって左右されるため、波がある。だからこそ、手配師と求職者が「直接に労働力の売買を取引する」、違法性の疑いの強い制度が「公認」されてきた。日本資本主義が釜ケ崎を必要としたのである。

苛酷(かこく)な労働や、警察による日常的な抑圧に対して鬱積(うっせき)した不満は、時に暴動として噴出する。警察や行政は、負のイメージが定着した地名を別なものに置き換え、土地に染み付いた記憶を消し去ることで対応しようとするが、それはいかにも欺瞞(ぎまん)的である。

著者によれば、暴動は、抵抗であると同時に、労働者たちが互いの連帯を確認し合う、解放感のある夏の「お祭り」としての性格をも実は帯びていた。

当初の自然発生的な運動は、1970年代以降、活動家らに組織化され、継続的な労働争議となる。「寄せ場」という言葉が浸透したのもこの頃である。この概念は、釜ケ崎を東京の山谷や横浜の寿町などの地域と結びつけ、問題の共通性を意識させた。

しかし、寄せ場と寄せ場をつないだ労働者たちの運動はその後、衰退して行く。荷役の機械化は、港湾労働の需要を縮小し、経済危機と相まって、彼らの職を奪った。今世紀に入り、かつての寄せ場は労働者の街から、生活保護受給者やバックパッカーのための街に変貌(へんぼう)する。

ただし、それは寄せ場の消滅を意味するものではない。むしろ、進行しているのは「社会の総寄せ場化」「釜ケ崎の全国化」である。携帯一つで呼び出され、毎日別々の現場に向かう派遣労働者ら、不安定雇用者の群れ。「かつてのドヤ街のような拠点」をあらかじめ奪われた彼らには、連帯の手がかりさえ、もはや残されてはいないのである。

評者:杉田敦(政治学者・法政大学教授)

(週刊朝日 掲載)

■目次

序章 アスファルトを引き剥がす
第1章 戦後寄せ場の原点―大阪港と釜ヶ崎
第2章 空間の生産
第3章 陸の暴動、海のストライキ
第4章 寄せ場の生成(1)拠点性をめぐって
第5章 寄せ場の生成(2)流動性をめぐって
終章 地下の都市、地表の都市

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:岩ア 弘泰
UP:20161220 REV:
労働 身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)