本書は、2014〜17年度科学研究費補助金(基盤研究(C))「福祉NPOのアドボカシー機能の検証と課題に関する研究」(課題番号 26380675)の研究成果を広く公開するため、2016年9月27日・28日に金沢大学サテライトプラザおよび角間キャンパスで開催した公開研究会の報告書である。
本研究の趣旨は、9月28日のパート2で高橋から説明している通り、障害をもつ当事者が自身のニーズを政策に反映させ社会に参画するためのしくみについて、各国の特徴をふまえて理解した上で、共通して必要な要素や戦略、課題を抽出し、より効果的で実のある参画の在り方を検討することである。
これまで欧米や日本に関する研究を進めてきたのに加えて、今後は韓国について調査を進めるとともに、アジアの他の国々を調査し、新たな知見を得たいと考えている。そのため今回の公開研究会では、研究代表者や研究分担者がこれまで行なってきた欧米や日本、韓国に関する調査研究を紹介するとともに、アジア、アフリカの障害をもつ当事者の状況や国連の障害者政策に詳しいフィンランド在住のヘルシンキ大学社会科学部障害学非常勤教授、勝井 久代氏を迎えて、障害をもつ当事者の社会と政策への参画に関する講演をして頂き、多くの示唆を得た。