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『格差の世界経済史』

Clark, Gregory 201402 The Son Also Rises: Surnames and the History of Social Mobility,Princeton Univ Pr,364p.
=201505 久保 恵美子 訳,日経BP,520p.

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last update: 20220308

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■Clark, Gregory 201402 The Son Also Rises: Surnames and the History of Social Mobility,Princeton Univ Pr,364p. =201505 久保 恵美子 訳 『格差の世界経済史』,日経BP,520p ISBN-10: 4822250903 ISBN-13: 978-4822250904 4800+ [amazon][kinokuniya] ※ p06

■内容

amazonより

原題を直訳すると、「子孫はふたたび繁栄する」。つまり、豊かな社会階級に生まれた人間はそうでない人間よりも豊かになる。それは「機会の平等」を建国の理念にしたアメリカでも同様だ。
アメリカとは対極にあるスウェーデン、中世イングランド、近現代のイギリス、インド、中国、日本・韓国も同様ーー。

 前著『10万年の世界経済史』では、産業革命がイギリスで最初に起きた謎に挑んだクラーク。本書では、姓名を軸に世界各国の歴史データを分析し、どの国でも支配階級と下層階級の名前はあまり変化がない、つまり「格差」は維持されてきたとの結論を導き出した。
 明治維新で社会層が入れ替わったといわれる日本、共産主義革命で上層階級が放逐されたと言われる中国でも、医者・弁護士などの名簿に記載された名前にほとんど変化はなく、「社会階層はほぼ固定化している」との結論が出た。

 人種の坩堝アメリカは「チャンスの国」と言われ、アメリカ人自身もそう信じてきた。ところが、医者・弁護士などの名簿にアフリカ系黒人の名前は依然として少なく、ユダヤ系や日系などが人口比で多い傾向は変わっていない。

 ピケティのr(資本収益率)>g(経済成長率)が格差の不等式だが、クラークの社会的流動性の公式は
     Xt+1=bXt + et

 つまり、ある家族の第t+1世代は、親世代である第t世代の基盤的な社会的能力に継続率bを掛けたものとランダム成分et の和である。

 名前という馴染みのあるものを手がかりに、社会の流動性の乏しさを導き出す手法は、推理小説的興奮を誘う。前著『10万年の世界経済史』の原題は、FAREWELL TO ALMSだった。
これはヘミングウェイ『武器よさらば』(FAREWELL TO ARMS)のもじり。本書も『陽はまた昇る』(THE SUN ALSO RISES)のもじり。


■目次

第1章 支配階級と下層階級に関する序論ーー社会的流動性の法則

第1部 時代別・国別に見た社会的流動性
  第2章 スウェーデンーー高い社会的流動性が達成された国?
第3章 米国ーーチャンスの国
第4章 中世イングランドーー封建時代の社会的流動性
第5章 近現代の英国ーー現状のルーツを深く探る
第6章 社会的流動性の法則
第7章 生来の能力か生育環境か

第2部 社会的流動性の法則を検証する
第8章 インドーーカースト制や同一集団内での結婚と社会的流動性の関係
第9章 中国と台湾ーー毛沢東時代後の社会的流動性
第10章 日本と韓国ーー社会の同質性と流動性
第11章 チリーーオリガーキー(寡頭制支配者)間での流動性
第12章 社会的流動性の法則と家族のダイナミクス
第13章 プロテスタント、ユダヤ人、漂白民、イスラム教徒、コプト人ーー社会的流動性の法則の例外?
第14章 社会的流動性の法則の例外

第3部 良き社会 第15章 社会的流動性は低すぎるのかーー流動性と格差
第16章 下向きの社会的流動性からの脱出


■著者・訳者紹介

クラーク,グレゴリー
カリフォルニア大学デービス校経済学部教授。1957年生まれ。1985年ハーバード大学大学院でPh.D取得。英国・インドの経済史と長期にわたる経済成長を研究。

久保 恵美子[クボ エミコ]
翻訳家。東京大学経済学部卒業


■引用



■書評・紹介



■言及





*作成:岩ア 弘泰
UP: 20220308 REV:
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