『政岡憲三とその時代――「日本アニメーションの父」の戦前と戦後』
萩原 由加里 20150327 青弓社,228p.
last update:20150320
■萩原 由加里 20150327 『政岡憲三とその時代――「日本アニメーションの父」の戦前と戦後』,青弓社,228p. ISBN-10:4787273744 ISBN-13:978-4787273741 3000+ [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
(「Amazon」HPより)
戦前の日本で本格的なトーキー漫画映画を手がけ、セル画という手法を導入し、戦時下の1943年に傑作『くもとちゅうりっぷ』を監督として作り上げた政岡憲三。手塚治虫ではなく、なぜ政岡が「日本アニメーションの父」と呼ばれるのだろうか。
彼の足跡を軸に、映画の発展、トーキー漫画映画の登場、プロパガンダとアニメーション、『ファンタジア』の呪縛、といった日本の映画史・アニメーション史に光を当てる。そして、戦後に政岡が関わった人材育成、さらに漫画映画からテレビアニメへの橋渡しの役割を検証し、漫画映画制作の第一線から退いてからの政岡の功績を再評価する。
「手塚治虫以前/以後」「映画/アニメ/テレビ」といった枠組みでは収まりきらない日本アニメーション史のダイナミズムを、政岡が歩んだ道から照らす。
■著者紹介
1979年生まれ。立命館大学文学部史学科日本史専攻卒業。立命館大学大学院先端総合学術研究科表象領域修了。立命館大学、甲南女子大学ほか非常勤講師。共著に『京の美学者たち』(晃洋書房)、論文に「京都におけるアニメーション制作――J・O・スタジオ・トーキー漫画部の活動より」(「Core Ethics」vol.5)、「童話から漫画映画へ――『くもとちゅうりっぷ』についての試論」(「甲南国文」第60号)。
■目次
はじめに
第1章 美術とアニメーション
1 画家と漫画映画
2 動きを描く
3 美工・絵専での教育
4 演劇への目覚め
第2章 映画のなかの漫画映画
1 大大阪の時代
2 劇映画の世界へ
3 京都と漫画映画
第3章 トーキーは漫画映画を変える
1 トーキーとは何か?
2 トーキーアニメーションの登場
3 日本における漫画映画のトーキー化
4 本格的トーキー漫画映画の登場
5 政岡映画美術研究所
6 政岡憲三によるトーキー漫画映画
7 政岡によるトーキー化の意義
第4章 二つの『くもとちゅうりっぷ』
1 『くもとちゅうりっぷ』制作の経緯
2 「くもとちゅうりっぷ」から『くもとちゅうりっぷ』へ
3 一九四三年当時の評価
4 音楽の視覚化
5 「シリー・シンフォニー」から『くもとちゅうりっぷ』へ
6 クライマックスとしての嵐
第5章 『ファンタジア』という呪縛――戦時下日本の漫画映画と制作者
1 瀬尾光世
2 戦時下日本での『ファンタジア』
3 戦争とアニメーション
4 『ファンタジア』という特権
5 技術の格差
6 『ファンタジア』という呪縛
7 瀬尾光世によるプロパガンダの漫画映画
8 それぞれの戦後
第6章 漫画映画制作者たちの戦後――絵本作家への転身
1 プロパガンダからの脱却
2 映像の実験
3 「すて猫トラちゃん」シリーズ
4 挿絵画家・政岡憲三
第7章 漫画映画からテレビアニメへ――戦前と戦後を結ぶもの
1 政岡憲三の弟子たち
2 政岡憲三神話の復活
3 即戦力としての人材養成
4 『漫画映画入門』から『政岡憲三動画講義録』へ
おわりに
あとがき
■引用
■書評
◆渡邉 大輔 2015/05/22,1040号 『週刊金曜日』書評 (2015年5月22日) > 週刊金曜日『政岡憲三とその時代――「日本アニメーションの父」の戦前と戦後』
■言及・紹介
◆原稿の余白に 2015/04/14 「背中を押してくれたこと――『政岡憲三とその時代――「日本アニメーションの父」の戦前と戦後』を書いて」,青弓社HP掲載
http://www.seikyusha.co.jp/wp/rennsai/blank137.html
*作成:安田 智博
UP: 20150320 REV: 0610
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BOOK