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『絶対音楽の美学と分裂する〈ドイツ〉――十九世紀』(“音楽の国ドイツ”の系譜学 3)

吉田 寛 20150115 青弓社,332p.

last update:20150311

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■吉田 寛 20150115 『絶対音楽の美学と分裂する〈ドイツ〉――十九世紀』(“音楽の国ドイツ”の系譜学 3),青弓社,332p. ISBN-10478727368X 2600+ [amazon][kinokuniya]
『絶対音楽の美学と分裂する〈ドイツ〉――十九世紀』(“音楽の国ドイツ”の系譜学 3)表紙イメージ

■内容

十九世紀のドイツは、ベートーヴェンの交響曲とともに、ついに自他ともに認める“音楽の国”へと上り詰める。フランスやイタリアに対するドイツ音楽の「勝利」は、進歩主義的な歴史叙述や、器楽を絶対視する美学によって強固な理論的基盤を獲得する。しかし、国家統一をめぐる熾烈な覇権争いは、やがて“ドイツ音楽”の理念をも引き裂くことになる。「絶対音楽」をめぐって奏でられた鋭い不協和音のなかに、亀裂の入った“ドイツ”が発する軋みの音を聴き取る。

■目次

第1章 国民主義的音楽史の誕生―トリーストと十八世紀ドイツ音楽史
1 ヨーロッパにおける音楽史叙述の歴史
2 国民主義的音楽史叙述の成立
3 「考察」の歴史的背景――ドイツの南北分裂
4 『一般音楽時報』と教養市民層
5 一八世紀ドイツ音楽史とその三つの時期――「考察」詳解

第2章 “フランス”の変貌
1 「ドイツ人」対「新ラテン系諸民族」――フィヒテ『ドイツ国民に告ぐ』
2 形而上学と「ドイツ的なもの」――シェリングの学問論
3 「不倶戴天の敵」としてのドイツとフランス――アルトの愛国歌
4 フランスから見た〈ドイツ〉――スタール夫人の『ドイツ論』
5 ヨーロッパ音楽におけるフランスの凋落――イタリアとドイツの二大国時代の幕開け

第3章 進歩主義的音楽史観のなかの“ドイツ”
1 「ドイツ的」かつ「近代的」なものとしての和声
2 音楽美学の転回点としての一八〇〇年――ヘルダーの器楽擁護論
3 進歩主義的音楽史の成立――フォルケルの『普遍音楽史』
4 ロマン主義的な器楽の美学の登場――ヴァッケンローダーとティーク
5 「近代ヨーロッパ」を代表=表象する芸術としてのドイツ器楽
6 「進み続ける時代精神としての音楽――E・T・A・ホフマンの音楽批評」
7 ヨーロッパ音楽史の頂点としてのベートーヴェン――ヴェントの音楽史叙述

第4章 「ベートーヴェン・パラダイム」――ベートーヴェンと「ドイツ的なもの」
1 ドイツの「国民文化」としてのベートーヴェンの交響曲
2 「抑圧者」としてのベートーヴェン
3 「ベートーヴェン以後」と歴史の告白――音楽史の終焉?
4 「ベートーヴェン―ロッシーニ論争」の展開

第5章 絶対音楽の美学と“ドイツ”の分裂――音楽美学に見る南北ドイツの文化闘争
1 「絶対音楽」の美学はどこまで「ドイツ的」なのか?
2 ハンスリックの音楽美学に見る“ドイツ”と“イタリア”
3 ハンスリックにおける「ベートーヴェン以後」の問題
4 「絶対音楽救世主」としてのブラームス
5 ヴァーグナー派によるハンスリック批判――形式主義・ユダヤ性・イタリア性
6 ブレンデルの音楽史叙述――「絶対音楽」の時代から「総合芸術」の時代へ
7 絶対音楽の美学とオーストリアのナショナル・アイデンティティ

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:安田 智博
UP: 20150210 REV: 20150311
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