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『食農倫理学の長い旅――〈食べる〉のどこに倫理はあるのか』

Thompson, Paul B. 2015 From Field to Fork: Food Ethics for Everyone, Oxford University Press=20210325 太田和彦訳,勁草書房 ,416p.

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last update:20220709

■Thompson, Paul B. 2015 From Field to Fork: Food Ethics for Everyone, Oxford University Press=20210325 太田和彦訳,『食農倫理学の長い旅――〈食べる〉のどこに倫理はあるのか』,勁草書房 ,416p. ISBN-10:4326154683 ISBN-13:978-4326154685 3200+ [amazon][kinokuniya] ※
 *ポール・B・トンプソン

■目次

 生産者や流通業者、消費者それぞれの立場から望ましいフードシステムと食事のあり方とは。トピック間のつながりを明らかにしながら市場原理主義的なフードシステムを問う。30年超に亘りfood studiesをけん引してきた著者の集大成であり、北米社会哲学協会による2015年「今年の1冊」に選出された書を待望の訳出。

著者について
ポール・B・トンプソン(Paul B. Thompson)
1951年生。ミシガン州立大学哲学科教授。農業におけるバイオテクノロジーや食に関する倫理学・哲学的な考察を行った15冊の単著と編著、200以上の査読付き論文の著者・共著者である。『食農倫理学百科事典』(Encyclopedia of Food and Agricultural Ethics, 2014 未邦訳)を編纂・執筆。また、『食農倫理学の長い旅』(From Field to Fork:Food Ethics for Everyone, 2015)は、北米社会哲学協会が選出する2015年の「今年の1冊」となった。2017年にWilliam J.Beal賞を受賞。

太田和彦(おおたかずひこ)
1985年生。総合地球環境学研究所助教。東京農工大学連合農学研究科修了。博士(農学)。訳書にポール・B・トンプソン『〈土〉という精神:アメリカの環境倫理と農業』農林統計出版、2017年など。

■目次

謝辞
日本語版序文

はじめに──倫理学についての概略を添えて
食農倫理学の旅の始まり
倫理学とは何か
哲学者の方法について──権利論、美徳理論、功利主義
私の方法について──探究と学習サイクル

1 あなたはあなたの食べる物では決まらない
食べものに対する考察はなぜ長い間なされてこなかったのか
食農倫理学と社会的公正
食農倫理学と環境問題
食農倫理学とリスク
食農倫理学と文化的アイデンティティ
食農倫理学と自由主義社会
自由主義が食農倫理学にもたらす課題
結論

2 食農倫理学と社会的不公正
フードシステムにおける不公正
哲学的問題としての不公正
人種、ジェンダー、民族性と不公正
食料運動
食料安全保障と食料主権
結論

3 食生活の倫理と肥満
古代と中世の飲食論
現代の飲食論
飲食論の新しい展開
個々の因果関係と個人の道徳的責任
社会・文化的な因果関係と責任追及
医学的な因果関係とその道徳的意味
結論

4 食農倫理学の根本問題
道徳的問題としての飢餓
アマルティア・センの貧困と飢饉
帰ってきた道徳的問題としての飢餓
貧しい農業従事者のための食料安全保障
倫理学的観点からの分析
なぜ農家が道徳的に重要なのか
小規模農家のために、あと少し言いたいこと
結論

5 家畜福祉と食肉生産の倫理
動物倫理の復活
家畜生産の倫理
動物福祉の三つの領域
家畜福祉の向上──いくつかの思考実験
少しでもましな答えは何か?
制約のある選択の倫理
結論

6 フードシステムと環境への影響──地場産の魅惑
農業の持続可能性
持続可能な開発とは何か──哲学的な幕間
資源充足性の倫理
アグラリアン哲学とは何か──哲学的な幕間
機能的統合性の倫理
現代の論争
結論

7 緑の革命型の食品技術とその満たされなさ
ひも解かれた道徳問題
飢餓の倫理と緑の革命型開発
農業バイオテクノロジーに対する反論1──予防
農業バイオテクノロジーに対する反論2──社会的公正
農業バイオテクノロジーに対する反論3──自然性と「選択」
農業バイオテクノロジーに対する反論4──徳倫理
点をつなぐ
農業バイオテクノロジーに対する反論5──美徳の倫理と成功の可能性
倫理的に肝心なこと
結論

8 再考、今度は想いを添えて──倫理、リスク、そして食の未来
倫理、専門知識、リスク
新しい食料技術は十分にテストされたか
食品安全性の倫理
哲学的論争としてのバイオテクノロジー論議
二人のトンプソンの相違点──合理性と倫理
二人のトンプソンの相違点──農業科学の哲学
結論

原注
訳注
訳者解説
参考文献一覧
人名索引
事項索引

■言及

◆立岩 真也 2022/12/20 『人命の特別を言わず/言う』,筑摩書房
◆立岩 真也 2022/12/25- 『人命の特別を言わず/言う 補註』Kyoto Books

 序章★04


*頁作成:立岩 真也
UP: 20220709 REV:20221230
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