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『18トリソミー――子どもへのよりよい医療と家族支援をめざして』
櫻井 浩子
・橋本 洋子・古庄 知己 編 20141201 メディカ出版,218p.
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last update: 20150129
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櫻井 浩子
・橋本 洋子・古庄 知己 編 20141201 『18トリソミー――子どもへのよりよい医療と家族支援をめざして』,メディカ出版,218p. ISBN-10:4840453144 ISBN-13:978-4840453141 3800+
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※ et-02, epi, v01, gc
■内容
新生児医療現場が待ち望んだ1冊
緩和ケアか、積極的治療か、その治療方針が大きく分かれる18トリソミー。しかし近年、退院し、家族の中で豊かに育まれる子どもたちの姿が報告されるのに従い、子どもの生きる力に寄り添う医療のかたちが見えてきた。医学的管理から家族のサポート、療育、在宅医療まで、すべての道しるべとなる1冊。
メディカ出版HP
より
「18トリソミーは依然として施設によって治療方針に差がある疾患の一つです。『治療・看護・療育を含めた包括的支援のあり方』を示すことを目的に書かれた本書は、今後、本症の治療を議論する際に不可欠な本と言えるでしょう。」
加藤 一彦(愛育病院 新生児科 部長)
■目次
【第I章 18トリソミーの理解のために】
(1) 18トリソミーに関する医学的エビデンス
(2) 18トリソミーの子どもをもつ家族の思いに関するエビデンス
(3) 親の立場から周産期医療にのぞむこと
(4) 「こころのケア」という視点から
(5) 18トリソミーをめぐる医療の歴史
(6) 新生児医療と「話し合いのガイドライン」
(7) 「18トリソミーの会」のこれまでとこれから
【第II章 診療の実際】
(1) 産科管理
(2) 新生児集中治療
(3) 心疾患への対応
(4) 外科疾患への対応
(5) てんかん発作への対応
(6) 骨格異常への対応
(7) 視聴覚症状への対応
【第III章 発達と健康の包括的支援】
(1) 18トリソミーの子どもの成長・発達と包括的健康管理指針
(2) 摂食指導
(3) 子どもと家族への看護
(4) 療育的支援
(5) 子どもと家族への縦断的支援 1)胎児主治医制
(6) 子どもと家族への縦断的支援 2)妊娠中から在宅までの心理的支援
(7) 子どもと家族への縦断的支援 3)福祉的支援・在宅支援
(8) 子どもと家族への縦断的支援 4)家族の立場から
(9) 家族とともに、そして社会とのつながりの中で
【第IV章 心理的支援と遺伝カウンセリング】
(1) 家族への心理的支援
(2) 18トリソミーをめぐる遺伝カウンセリング
(3) 親の立場から遺伝カウンセリングにのぞむこと
【第V章 各施設の取り組み】
(1) 獨協医科大学病院 これまでの10年、そしてこれから
(2) 東京大学医学部附属病院 在宅医療への移行も見すえて
(3) 東京都立墨東病院 NICU卒業生のネットワークをいかして
(4) 日本赤十字社医療センター 施設を越えてノウハウの蓄積を
(5) 滋賀県立小児保健医療センター 「医療」と「療育」、両面からのサポート
(6) 愛仁会高槻病院 家族とともに考える
(7) 関西医科大学附属枚方病院 姑息的心臓手術で平均生存期間の改善へ
(8) 大阪府立母子保健総合医療センター 呼吸障害に対する経鼻エアウェイの有効性
(9) 倉敷中央病院 治療・ケアの変遷、それぞれの医療のかたち
(10) 沖縄県立中部病院 “ゆいまーる”の精神で、その子らしい生活を
【Column わが子への思い 18トリソミーの会メンバーより】
・さくいん
・あとがき
■引用
■書評・紹介
◇生存学研究センター・Facebookページ
https://www.facebook.com/ritsumeiarsvi/posts/1527453880854927
本研究センター客員研究員の櫻井浩子さんより、共編著『18トリソミー――子どもへのよりよい医療と家族支援をめざして』の紹介文をいただいたので、掲載いたします。
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櫻井浩子・橋本洋子・古庄知己編著『18トリソミー――子どもへのよりよい医療と家族支援をめざして』(メディカ出版、2014年)出版にあたり
櫻井浩子
本書は、本邦初の18トリソミーに関する解説書です。
18トリソミーは、18番染色体が1本多い先天異常症候群です。現在、日本では出生児3,500人〜8,500人に一人の割合で見られます。18トリソミーは、新生児医療において生命予後の先天性疾患の代表的存在であり、1年生存率は5〜10%、生存期間の中央値は14.5日とされています。
しかし、 18トリソミーの子どもへの治療は、この10年で大きく変わりました。在宅で生活する子どもが増え、近年では、外科的手術の適応について検討されるようになりました。しかしながら、18トリソミーの子どもに必要な治療をする施設が増えている一方で、積極的な治療をせず、出生直後から緩和ケアを奨める施設があることも事実です。このことは、ご両親にとっても大きな負担です。なぜなら、大切なわが子のいのちを病院、あるいは医師の倫理観、価値観に委ねることになるからです。
さらに、無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)の実施により、胎児期に18トリソミーの確率がわかるようになりました。それによって、18トリソミーの子どもを安易に中絶するケースが増加するのではないかと危惧されています。
このような混乱の背景として、18トリソミーに関する正確、かつ最新の情報をご両親はもちろんのこと医療者も十分に持っていないことが考えられます。情報のないなかで子どもの治療方針を決めるということは、ご両親にとって大変つらいことです。私自身も、同じような経験をしました。
そこで、本書は医療者向けの医学テキストではなく、親も安心して読めるよう構成に工夫をしました。具体的には、医学の専門用語をわかりやすい言葉に書き換え、これまでの18トリソミーに関して間違った説明でもある「致死的」「予後不良」という画一的な表記を避けました。そして、要所要所に家族の視点を盛り込み(「18トリソミーの子どもをもつ家族の思いに関するエビデンス」など)、私が主宰する「18トリソミーの会」会員によるコラム「わが子への思い」を掲載しました。こうした工夫によって、本書はご両親と医療者の共通の手引きとして利活用できるようになりました。
この本を読まれたご両親からは、「素晴らしい本でした。本来の医療書ってこうなんじゃないのかなって思いました」「こんな本にもっと早くに出会いたかった」「この本が手元にあったら、あのしんどかった時期にどれだけ勇気づけられたのに」という感想をいただきました。また、先月開催された第59回日本未熟児新生児学会学術集会では、本書は書籍販売総合2位でした。多くの方のお手元にこの本を置いていただけることを大変嬉しく思っております。
何よりも、本書が「希望の光」となって、一人ひとりの子どもに必要な治療が施されることを願っています。
■言及
*作成:
小川 浩史
UP: 20141201 REV: 20141212
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