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『絶望の裁判所』

瀬木 比呂志 20140220 講談社(講談社現代新書2250),238p.

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last update:20180131

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瀬木 比呂志(せぎ・ひろし) 20140220 『絶望の裁判所』,講談社(講談社現代新書2250),238p.  ISBN-10: 4062882507 ISBN-13: 978-4062882507 760+税  [amazon][kinokuniya]

■内容

 裁判所、裁判官という言葉から、あなたは、どんなイメージを思い浮かべられるのだろうか? ごく普通の一般市民であれば、おそらく、少し冷たいけれども公正、中立、廉直、優秀な裁判官、杓子定規で融通はきかないとしても、誠実で、筋は通すし、出世などにはこだわらない人々を考え、また、そのような裁判官によって行われる裁判についても、同様に、やや市民感覚とずれるところはあるにしても、おおむね正しく、信頼できるものであると考えているのではないだろうか?
 しかし、残念ながら、おそらく、日本の裁判所と裁判官の実態は、そのようなものではない。前記のような国民、市民の期待に大筋応えられる裁判官は、今日ではむしろ少数派、マイノリティーとなっており、また、その割合も、少しずつ減少しつつあるからだ。そして、そのような少数派、良識派の裁判官が裁判所組織の上層部に昇ってイニシアティヴを発揮する可能性も、ほとんど全くない。近年、最高裁幹部による、裁判官の思想統制「支配、統制」が徹底し、リベラルな良識派まで排除されつつある。
 33年間裁判官を務め、学者としても著名な著者が、知られざる裁判所腐敗の実態を告発する。情実人事に権力闘争、思想統制、セクハラ……、もはや裁判所に正義を求めても、得られるものは「絶望」だけだ。
 本書は、一人の学者裁判官が目撃した司法荒廃、崩壊の黙示録であり、心ある国民、市民への警告のメッセージである。

■著者略歴

1954年名古屋市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1979年以降裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務、アメリカ留学。並行して研究、執筆や学会報告を行う。2012年明治大学法科大学院専任教授に転身。民事訴訟法等の講義と関連の演習を担当。著書に、『民事訴訟の本質と諸相』、『民事保全法〔新訂版〕』(ともに日本評論社、後者は春ころ刊)等多数の専門書の外、関根牧彦の筆名による『内的転向論』(思想の科学社)、『心を求めて』『映画館の妖精』(ともに騒人社)、『対話としての読書』(判例タイムズ社)があり、文学、音楽(ロック、クラシック、ジャズ等)、映画、漫画については、専門分野に準じて詳しい。

■目次

はしがき――絶望の裁判所

第1章 私が裁判官をやめた理由(わけ)――自由主義者、学者まで排除する組織の構造
私が裁判官になった理由(わけ)
薬害裁判と留学
最高裁判所事務総局で感じた違和感
談合裁判、判決内容のリーク、東京地裁内の出来レース選挙
大阪高裁と那覇地裁沖縄支部での経験
最高裁判所調査官就任、闘病生活、筆名の執筆と実名による研究
さらに研究に打ち込む
学者への転身
転身に関するいやがらせと早期退官の事実上の強要
私がたどった軌跡の意味
TOP
第2章 最高裁判事の隠された素顔――表の顔と裏の顔を巧みに使い分ける権謀術数の策士(マキャヴェリアン)たち
裁判所における人事の実情
最高裁判事の性格類型分析
よい裁判官は最高裁には入れない?
裁判員制度導入の舞台裏
刑事系裁判官の問題点と不人気
刑事系裁判官の逆襲と大規模情実人事
学者が誰一人認めない「学者枠」最高裁判事
TOP
第3章 「檻」の中の裁判官たち――精神的「収容所群島」の囚人たち
事務総局中心体制――上命下服、上意下達のヒエラルキー
人事による統制とラットレース
恣意的な再任拒否、退官の事実上の強要、人事評価の二重帳簿システム
司法研修所という名の人事局の出先機関、職人的教育システムの崩壊
裁判所による取材統制と報道コントロール
「檻」の中の裁判官たち=精神的「収容所群島」の囚人たち
裁判所の官僚化の歴史とその完成
TOP
第4章 誰のため、何のための裁判?――あなたの権利と自由を守らない日本の裁判所
統治と支配の根幹はアンタッチャブル
及び腰と追随の民事裁判
和解の強要、押し付け
水害訴訟に関する大規模追随判例群、新しい判断をきらう裁判官たち
司法判断の活性化の必要性
『それでもボクはやってない』は、あなたにも起こる
裁判員制度の陪審員制度への移行の必要性
やる気に乏しい裁判官が目立ち手続保障の感覚が鈍い家裁、「家栽の人」の限界
「裁判官多忙化」の神話
現在の制度ではよい裁判は望めない
TOP
第5章 心のゆがんだ人々――裁判官の不祥事とハラスメント、裁判官の精神構造とその病理
多過ぎる不祥事、日常的なハラスメント
裁判官の精神構造の病理
イヴァン・イリイチの問題とイリイチ以下の高位裁判官たち
私というケース――一人の人間に立ち返るまで
TOP
第6章 今こそ司法を国民、市民のものに――司法制度改革の悪用と法曹一元制度実現の必要性
日本のキャリアシステムの非民主性
裁判官の能力低下傾向、優秀な裁判官の離散傾向
キャリアシステムの実質的な崩壊の可能性
弁護士任官制度と判事補の他職経験制度の限界
司法改革を無効化し悪用した事務総局解体の可能性
法曹一元制度実現の可能性、必要性
憲法裁判所の可能性
今こそ司法を国民、市民のものに

あとがき――不可能を可能にするために
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■引用

■書評・紹介

■言及



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*作成:北村 健太郎
UP:20180131 REV:
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