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『生活保護VS子どもの貧困』

大山 典宏 20131202 PHP研究所,251p.

last update: 20140615

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■大山 典宏 20131202  『生活保護VS子どもの貧困』, PHP研究所,251p.  ISBN-10: 4569815456 ISBN-13: 978-4569815459 \760 [amazon][kinokuniya]

■内容

(本書より)
 派遣村、生活保護費でギャンブル禁止条例、芸能人の親による不適正受給……。生活保護をめぐる問題はあとを絶たない。激しいバッシングが起こるなか、2013年8月、ついに保護基準の引き下げが決定された。最大で10パーセントの給付削減が、貧困家庭を直撃する。ほんとうに心配なのは子どもたちだ。困窮家庭に育った子どもは、十分な教育環境もなく、社会に出ても安定した職には就きにくい。制度の賛否については活発に議論されるが、それだけで「貧困の連鎖」を断ち切れるのか。行政と民間、双方の立場で貧困問題に取り組む著者が、知られざる現場の生の声をレポートする。

(PHP研究所HP)より
受給がバレたらいじめられ、一方、働く母親の下では困窮する子どもたちの真実。
 派遣村、保護費によるギャンブル禁止条例、芸能人の母親による受給の発覚……生活保護をめぐる問題はあとを絶たない。激しいバッシングが起こるなか、2013年8月、ついに保護基準の引き下げが決定された。最大で10パーセントの削減が受給家庭を直撃する。
 しかし、生活保護の是非が取り沙汰される陰で、不幸になっている存在を忘れてはいないだろうか。ほんとうに目を向けるべきもの、それは子どもたちだ。困窮家庭に育った子どもは、十分な教育環境もなく、社会に出ても安定した職には就きにくい。さらに母子家庭の半数以上が貧困状態にあり、小中学生の6人に1人が就学援助を受けているなど、日本社会が抱える悲惨な現実がそこにはある。
 制度の賛否については活発に議論されるが、それだけで「貧困の連鎖」を断ち切れるのか。長年、行政でのサポートと民間でのボランティア活動に取り組み、双方の立場で貧困問題に取り組む著者だからこそ語れる、知られざる現場の生の声をレポートする。

■著者略歴(本書より)

大山典宏[おおやま・のりひろ]
 1974年埼玉県生まれ。社会福祉士。立命館大学大学院政策科学研究科修了。志木市福祉事務所の生活保護ケースワーカー、所沢児童相談所の児童福祉司などを経て、2008年から埼玉県福祉部社会福祉課で生活保護受給者の自立支援を担当。2010年から携わった「生活保護受給者チャレンジ支援事業(愛称:アスポート)」では、2年間で8,000人を支援、4,000人を自立に導く。ボランティアでウェブサイト「生活保護110番」を運営。同サイトでは、15年間でのべ6,000人の相談を受けるなど、生活保護の専門家として幅広い活動を続けている。
 著書に『生活保護VSワーキングプア』(PHP新書)、『生活保護200万人時代の処方箋』(共著、行政)など。

■目次

はじめに 3

第1章 生活保護をめぐる二つの立場
 「生活保護費でギャンブル禁止条例」 16
 監視社会がやってくる 19
 窓口に殺到する苦情の声 21
 子どもたちへの差別や偏見 24
 適正化モデルと人権モデル 28

第2章 増えたのは派遣村のせい?
 急増する生活保護 34
 女性のみ世帯の半数はワーキングプア 38
 四つの転機 41
 貧困の再発見 43
 北九州市の孤立死事件 48
 厚生労働省の決断 50
 適切な申請手続きとは何か 54
 働ける若者が利用できるしくみへ 57
 「見えない貧困」を「見える貧困」に変える 59
 「年越し派遣村」の成功 61
 「公設派遣村」の失敗 65
 機能しない第二のセーフティネット 67
 失業者の受け皿となった生活保護制度 69

第3章 生活保護バッシングと法改正
 「生活保護3兆円の衝撃」 74
 タダでもらえるんなら、もろうとけばいいんや! 78
 日本の扶養義務 81
 モラルハザードが起きている83
 保護基準引き下げの改革案 86
 合法化される「水際作戦」 90
 一変する窓口対応の構図 92
 扶養義務者への調査が受給を阻む 95
 国際連合からの警鐘 98
 歴史は繰り返される 101

第4章 各論対決「適正化モデルVS人権モデル」
 財務省VS日本弁護士連合会 106
 〈論点@〉生活保護の急増は財政破綻を招くのか 107
 〈論点A〉生活保護基準は高すぎるのか 111
 〈論点B〉働ける利用者への対応をどうすべきか 117
 〈論点C〉不正受給対策はどうするのか 120
 双方の視点から見えてくるもの 121

第5章 生活保護ではなく貧困の話をしよう  東日本大震災以降の現状 126
 「私たちは、それを考える立場ではない」 129
 適正化モデルは力をもちつづけるのか 131
 制度を厳しくすることの副作用 133
 保護の廃止は社会の不利益となる 134
 合意できるところからスタートする 136
 なまくらな「統合モデル」 138
 貧困を放置することはできない 140
 入り口も出口も広げよう 142
第6章 「子どもの貧困」から制度を読み解く
 広がりゆく子どもの貧困 146
 子どもの貧困対策法とは 151
 生活保護制度見直しの全体像 154
 「社会的孤立」をする利用者たち 157
 新たな生活困窮者支援システム 159
 住宅手当の恒久化が自立を助ける 161
 三本柱からなる就労準備支援事業 162
 シェルターの提供と家計管理 166
 「貧困の連鎖」を防ぐために 168
 社会保障は「コスト」ではなく「未来への投資」 171
 貧困対策三法を一体として考える 174

第7章 困窮する子どもたちへの支援
すべての子どもが夢や希望をもてる社会に
 「アジアですか、アフリカですか」 178
 お金を払って海外ボランティアに行く大学生たち 180
 震災でも活かされた支援ノウハウ 181
 出会いがもたらす変化 183
 認められる経験が子どもたちを伸ばす 186
 学習支援の限界と可能性 188
生きていける場所をつくりたい
 対等な立場で仕事を引き出していく 191
 実績重視の行政主導モデル 193
 地域就労創出型というもう一つのモデル 195
 「最短で最大の効果をあげる」ことの危険性 197
 スケールの異なる北海道での学習支援 198
 どうやって希望を伝えていくか 200
経験のなさをおぎない、つながりを結びなおす
 始まりは小さな学習塾から 203
 大人を信じられない子どもたち 205
 商店街に居場所をつくる 208
 情報を共有するしくみづくり 210
 人と人との関係性が壊れている 212

第8章「日本を支える人」を増やすために
 生活困窮者支援を展開するための三つの鍵 216
 財源確保の要諦 218
 いいとこ取り≠ェもたらす見かけ上の成果 222
 長期的な成果を検証するしくみづくり 225
 社会的価値の計測手法 228
 合理性の高い分析モデルとしてのSROI 229
 まずは厚生労働省の体制を充実させよ 232
 実務を担う政策集団への投資の重要性 235
 生活保護制度設立の理念に立ち返る 237

おわりに 242
主要参考文献 247

■書評・紹介

■言及

■引用

*作成:中村亮太 UP: 20140816 REV:
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