HOME > BOOK >

『時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか』

Streeck, Wolfgang 201303 Gekaufte Zeit: Die vertagte Krise des demokratischen Kapitalismus,Suhrkamp Verlag,271p.
=20160219 鈴木直,みすず書房,320p.

Tweet
last update:20220228

このHP経由で購入すると寄付されます


■Streeck, Wolfgang 201303 Gekaufte Zeit: Die vertagte Krise des demokratischen Kapitalismus,Suhrkamp Verlag,271p. =20160219 鈴木直 『時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか』,みすず書房,320p. ISBN-10:4622079267 ISBN-13:978-4622079262 4200+ [amazon][kinokuniya] ※ cv

■内容

みすず書房 HPより

資本主義は自らの危機を「時間かせぎ」によって先送りしてきた。
70年代、高度成長の終わりとともに、成長を前提とした完全雇用と賃上げは危機を迎えていた。そこで各国はインフレによる時間かせぎ、つまり名目成長が実質成長を肩代わりすることで当面の危機を先送りした。
80年代、新自由主義が本格的に始動する。各国は規制緩和と民営化に乗り出した。国の負担は減り、資本の収益は上がる。双方にとって好都合だった。
だがそれは巨額の債務となって戻ってきた。債務解消のために増税や緊縮を行えば、景気後退につながりかねない。危機はリーマン・ショックでひとつの頂点を迎えた。
いま世界は、銀行危機、国家債務危機、実体経済危機という三重の危機の渦中にある。新たな時間かせぎの鍵を握るのは中央銀行だ。その影響をもっとも蒙ったのがユーロ圏である。ギリシャ危機で表面化したユーロ危機は、各国の格差を危険なまでに際立たせ、政治対立を呼び起こした。EUは、いま最大の危機を迎えている。
資本主義は危機の先送りの過程で、民主主義を解体していった。危機はいつまで先送りできるのか。民主主義が資本主義をコントロールすることは可能か。ヨーロッパとアメリカで大きな反響を呼び起こした、現代資本主義論。

■目次

序章  危機理論——当時と現在

第一章 正当性危機から財政危機へ
新しいタイプの危機
危機理論が想定していなかった二つのこと
もう一つの正当性危機と戦後平和の終わり
時間をかけた転換——戦後資本主義から新自由主義へ
買われた時間

第二章 新自由主義的改革——租税国家から債務国家へ
民主主義の機能不全による財政危機?
新自由主義革命における資本主義と民主主義
補論 資本主義と民主主義
獣を飢えさせろ!
租税国家の危機
租税国家から債務国家へ
債務国家と分配
債務国家の政策
国際金融外交としての債務政策

第三章 財政再建国家の政策——ヨーロッパの新自由主義
統合と自由化
自由化マシーンとしてのEU
制度的転換——ケインズからハイエクへ
ヨーロッパの多層的統治体制としての財政再建国家
国家改造としての財政再建
成長——バック・トゥ・ザ・フューチャー
補論 地域振興政策について
ヨーロッパ財政再建国家の戦略能力
国際的財政再建国家内の抵抗

結語  次に来るものは何か?
次なるものは?
資本主義か、民主主義か
軽率な実験としてのユーロ
ユーロ諸国の民主主義?
通貨切り下げへのエール
ヨーロッパ版ブレトンウッズ体制にむけて
時間かせぎの資本主義

■引用


■書評・紹介


■言及



*作成:宮内 沙也佳
UP:20220228 REV:
気候変動・エコロジー・資本主義  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)