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『現代精神医学批判』

計見 一雄 20121121 『現代精神医学批判』,平凡社,322p.


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計見 一雄 20121121 『現代精神医学批判』,平凡社,322p. ISBN-10: 4582513271 ISBN-13: 978-4582513271 2000+ [amazon][kinokuniya] ※ m.

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内容紹介
「心の病」が謳われる時代、精神科救急の第一人者が日本の精神医学を根底から批判。〈生身のからだ〉という視点の重要性を指摘する。
内容(「BOOK」データベースより)
自他共に許す専門精神科医が現状に向かって鋭く放つ批判の矢。

■目次

第1章 鬱と自殺
第2章 衝動的なもの
第3章 スキゾフレニアをとらえなおす
第4章 ナルシシズムについて
第5章 DSM‐3に始まる診断体系への疑問
第6章 アフォーダンスとミラーニューロン

■引用

「あとがき
 私は一九八五年に千葉県精神科医療センター(当初四十床、のちに五十床)という、日本最初の八精神科救急専門病院」をつくり、二十年間その院長を務めました。この病院の看板は、
 1.千葉県内で発生した急性期精神病患者で、地域病院で入院させられない患者さんは全て入院させます。
 2.ここに救急入院した患者さんは、少数の例外を除いて、全て自宅に帰します。
 3.入院はいつでも受け入れます(二十四時間、三六五日)。
 というもので、これを私の在任二十年間はほぼ実現していました。
 この間に、私が診た急性期精神病患者さんの救急入院数は七千五百件でした。重複(再入院)を除外して実数のみをとれば、多分五千人くらいでしょう。この全てが重症な精神病患者であることは、上記看板の1で明示されています。
 約五千人の患者さんたちを直接私が担当したわけではありません。それぞれの主治医のいわば肩越しに覗くような位置取りで診ていたものです。いわば中距離観察でずが、こういう距離のほうが主治医でいるょりも、正確な観察ができるように感じていました。いわば中距離で数多くを観察し<0312<たことになるでしょう
 千葉県精神科医療センターの前には、同和会千葉病院という私立精神病院で、病棟の開放化を実行しました。民間病院としてはかなりの開放率を達成し、同時に地域に向けて患者さんたちを送り出してゆくという意昧での、地域精神医療の実践や、開放化したあとでの患者さんの自主的運営に出してゆくという意味での、地域精神医療の実践や、開放化したあとでの患者さんの自主的運営による喫茶店経営とか演劇活動を市中に出て行うというような、冒険もやったものです。それから、十数年たってから、イタリアのトリエステという市で行われた精神医療変革実験の中で、私たちが実行したのと同じような演劇活動の記録があるのを知り、どこでも同じような経過になるものだなと思ったものです。同和会千葉病院で私がやったことは『インスティテューショナリズムを超え』(一九七九年、星和書店)に報告してあります。
 約五十年におよぶ私の精神科医歴の中での二つの仕事が、慢性病棟の開放化と、急性期精神病を対象とする精神科救急病棟の建設と運営だったということが意味しているのは、この二つの仕事がいわば盾の両面だということを意昧します。
 こんなにも長い時間、こんなにも大勢の人々が精神病院の閉鎖病棟で暮らさなければならないのか? という疑問への解答を求めた結果です。解答の一つは、閉鎖病棟でなくても十分治療はできる、そのほうが治療成績は良いというのが開放化の結論で、現在日本の精神科病院の閉鎖処遇患者の数は当時よりずっと減っているはすです。つまりあれ以来、全国的に開放処遇が当然だという風潮が広がるという成果を得たと言ってもいいでしょう。<0313<
 精神科救急病院という日本のどこにもない、あとで知ったことには、世界的にもこの規模と構成を持ったものはまれであるようなものなこしらえて、二十年間その院長を務めて言えるのは、急性期に手早く復旧させて、なるべく長期収容処遇に移さないということは、可能だという結論です。それに要する、施設設備や人員、その働き方などについては、文献に示すとおりです。
 その間に私が考えていたことはなんと言っても精神分裂病のことでした。
 精神分裂病(統合失調症)、本書ではスキゾフレニアと呼んでいる疾患は、疾患の定義という意昧でも、それが人類の中に大量に発生した背景をなす文明的な視点からも、十九世紀の産物です。言い換えれば、近代の生んだ疾患です。
 二十一世紀の精神科医ともなれば、この前々世紀の遺物と格闘しないわけにはいかないだろうと、私は考えています。この病気に関する私の前著(『脳と人間』)を出版したのは一九九九年でした。それから十数年を経て、以前には十分に考えられなかった点を再点検し、新しい脳科学の知見の私なりの理解も加えて考えなおしたものが本書です。」(計見[2012:312-314])

■言及

◆立岩 真也 2013/11/ 『造反有理――精神医療の現代史 へ』,青土社 ※


UP:20130817 REV:
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