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『新版・敬天愛人 ゼロからの挑戦』

稲盛 和夫 20121101 PHP研究所,213p.

last update:20140303

稲盛 和夫 20121101 『新版・敬天愛人 ゼロからの挑戦』,PHP研究所,213p. ISBN-10:4569802893  ISBN-13:978-4569802893 \840+税 [amazon][kinokuniya]  ※


■内容

内容紹介
京セラ創業から第二電電(DDI)設立、そして、いま大きな話題となっている日本航空(JAL)再建に到るまでの、苦労と努力のビジネス・ストーリー。
名経営者・稲盛和夫氏のビジネスマン人生を、数多のエピソードを交えて綴った、臨場感あふれる「実践的マネジメント書」である。
●茨の道が延々と続く先に成功がある
●すさまじい闘魂と願望を持つ
●自分自身を信頼する
●動機善なりや、私心なかりしか など、プロフェッショナルの行動の仕方、考え方のヒントが豊富に織り込まれている、 「成功のバイブル」ともいうべき渾身の力作。

内容(「BOOK」データベースより)
名経営者・稲盛和夫氏のビジネスマン人生を、京セラ創業から第二電電設立、直近のJAL再建に到るまで、数多のエピソードを交えて綴った、臨場感あふれるマネジメント書。成功する行動の仕方、考え方のヒントが豊富に織り込まれている。

■目次

はじめに
第一部 「フィロソフィ」をベースにする――稲盛和夫の経営
1 「フィロソフィ」が発展をもたらす
2 「人の心」をベースにする経営
3 原理原則を貫く経営
4 お客様のニーズに応える経営
5 未来へ挑戦する創造的経営
6 アメーバ経営と時間当り採算制度
第二部 「フィロソフィ」の根底にあるもの1――稲盛和夫の思想
1 人生の方程式
2 心に思った通りの現象が現れる
3 思いやる心
4 「情けは人のためならず」
第三部 「フィロソフィ」の根底にあるもの2――稲盛和夫の思想
1 動機善なりや、私心なかりしか
2 世のため人のために尽くす
3 心を高める、経営を伸ばす
4 フィロソフィで会社は甦る――日本航空再建に携わって

■引用

◆…私は、「経営において確かなものは何だろうか」ということを絶えず真剣に考えていた…/悩み抜いた末に、「人の心」が一番大事だという結論に至った。歴史をひもとくならば、人の心が偉大なことを成し遂げたという事例は枚挙にいとまがない。たとえば、米国の建国や日本の明治維新は、何も持たない人々の志と団結心が成し遂げたものである。また逆に、人心の荒廃が組織や集団の崩壊を招く遠因となった事例を私たちは数多く知っている。/うつろいやすく不確かなものも人の心なら、ひとたび互いが信じ合い通じ合えば、限りなく強固で信頼に足るもの、それも人の心なのである。[2012:35]

◆…企業を経営するということは、「自分の夢を実現するということではなく、現在はもちろん、将来にわたっても従業員やその家族の生活を守っていくということである」ということに気がついた。/この経験から私は、経営とは経営者が持てる全能力を傾けて、従業員が幸福になれるように最善を尽くすことであり、経営者の私心を離れた大義名分を企業は持たなくてはいけないという教訓を得ることができた。/そのとき私は、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」ということを、経営理念の筆頭に掲げ、さらに社会の一員としての責任を果たすために、「人類、社会の進歩発展に貢献すること」という一項を加え、京セラの経営理念とすることにしたのだある。[2012:40]

◆…経営における判断は、世間で言う筋の通ったもの、つまり「原理原則」に基づいたものでなければならないことに気がついた。…/そして、すべてのものごとを「原理原則」にまで立ち返って判断していこうと決心した。言い換えれば、「人間として正しいことなのか、悪しきことなのか」ということを基準にして判断し、「人間として正しいことを正しいままに貫いていこう」と考えたのである。/正・不正や善・悪などは、人間の最も基本的な道徳律であり、子供の頃から両親や先生に繰り返し教えてもらい、自分の血となり肉となっている最も身近な規範である。/これに則れば、経験や知識はなくても、送大きく間違った判断にならないのではなかろうか。このように考え、現実に起きるさまざまな局面で、「原理原則」に基づき判断を行なうようにしたのである。[2012:42-43]

◆私は、「利益とは売り上げから経費を差し引いた結果でしかない。そうであれば、売り上げを極大にし、経費を極小にする努力を払うことが重要なのであり、そういう努力の結果として利益は後からついてくるはずだ」と考えた。[2012:47-48]

◆企業においても、個人においても、能力を未来進行形で考えることが重要である。あえて自分の能力以上の目標を設定する。最初に、今はとても不可能と思われるほどの高い目標を、未来のある時点で達成すると決めてしまう。そして、自分の能力を、その高い目標に対応できるようになるまで高める方法を考えるのである。/現在の能力をもって、可否を判断していては、新しいことなどできるはずがない。今できないものを何としても成し遂げようとすることからしか、真に創造的なことは達成できないのである。[2012:63]

◆…私は「開発者は、手の切れるような製品をつくらなければならない。あまりに完璧で、素晴らしく、まるで触れれば手が切れてしまいそうだというような製品をつくるべきだ」と言った。/ここで言う、「手の切れるような」とは、素晴らしい性能を備えているばかりか、色も形状も非の打ちどころがないという意味である。また、客が要求する基準以上の品質を持った製品という意味でもある。…/まずは、採算を一切度外視して、最高の品質の製品を一個でもいいからつくり上げる。その後、コストを考慮に入れ、どのように量産するかということを検討していく。このような手法をとるべきだと思うのである。/製品には、つくった人の心が表れる。粗雑な人がつくったものは粗雑なものに、繊細な人がつくったものは繊細なものになる。[2012:65-67]

◆経営の死命を制するのは、値決めであると私は考えている。/…自社製品の価値を正確に認識したうえで、製品一個当たりの利幅と販売数量との積が極大値になる、ある一点を求め、それで値決めをしなくてはならない。その一点は、お客様から見ても喜ばれるものでなくてはならない。[2012:67-68]

◆尊敬にまで達する、お客様との絶対的な関係を築くこと、それこそが真の商いではないだろうか。それには尊敬に値する高い人間性を経営者や社員が備えていなければならない。/企業とは、経営者をはじめとする社員を映し出す鏡である。だからこそ、特に経営者は自分自身を高めるための努力を続けていかなければならない。[2012:70]

◆…経営者は常にチャレンジし続けなければならない。さらには、先頭を走る経営者が倒れても、その精神を継承した社員が、経営者の屍を乗り越えてチャレンジを続けていく、そのような企業風土をつくらなければならない。[2012:73]

◆夢を現実に成就させるためには、強烈な意志と熱意が必要となる。「こうありたい」「こうすべきだ」という強い意志は、その人の奥底にある魂そのものからほとばしり出るものでなくてはならない。/どんな困難があっても、それを乗り越え、成就するまでやり遂げようという強い意志が、体の奥底から湧き出てくるような人でなければ、創造的なことをすることはできない。[2012:75]

◆強い願望であれば必ず、目標が成就される。それは願望が強烈であれば、自らの潜在意識にまで深く浸透し、その潜在意識下の願望が、本人が寝ているときでも何も考えていないようなときでも働いて、願望成就に至る行動をとらしめるからである。/単なる希望程度では決して成就しない。毎日毎日考え抜いて、潜在意識まで染み通っていくような、強烈な願望を持つならば、新しい領域においても必ず目標は実現する。[2012:77]

◆真に創造的なことを始めようとする際、最も重要なことは、自分自身に対する信頼、つまり自信を持つことである。自分の中に確固たる判断基準を持ち、それを信じ行動できるようでなければ、創造の領域で模索する間に、道を見失ってしまう。[2012:86]

◆利他の心とは、自分だけの利益を考えるのではなく、自己犠牲を払ってでも、相手に尽くそうという心であり、人間として最も美しい心である。私は、ビジネスの世界においても、この心が一番大切であると思っている。[2012:115]

◆…大切なことは…経営の世界においても、人間として正しいこと、善きことを貫くことが大切だということである。そして、その善きことが良き結果を結ぶよう、誰にも負けない努力と絶えざる創意工夫を重ね続けることである。[2012:134]

◆私はすべての判断の基準を「人間として何が正しいか」ということに置いている。…一企業や一個人としての利害得失を超えて、人間として公明正大で天地に恥じることがないというような正しい行ないを貫いていこうということだ。[2012:138]

◆私は、「経営とは、経営者の器のままにしかならない」と考えている。企業を発展させるには、その経営者が人間的に成長していかなければならない。…/経営者がまずは自分の器を大きくすることに努める、つまり「人間としていかに生きるべきか」ということを学び、実践することを通じて、自らの「心を高める」、そしてそのような経営者の人間的成長が、正しい経営判断を導き、企業を成長発展させることになるのである。/つまり、「心を高める、経営を伸ばす」なのである。[2012:182-183]

◆「いかに生きていくべきか」「人間として何が正しいのか」ということを常に学び、実践と反省を繰り返していくことに努めない限り、人間とは堕落するようにできている。だからこそ、盛和塾で学んだことを、日々反省を重ねながら、日々実践し続けることの大切さを、繰り返し塾生に説いているのである。[2012:186]

◆仕事のことを朝から晩まで考え続けることは、大変な重労働である。しかし経営者である限り、それくらい仕事のことを考え詰めるようでなければ、年々歳々厳しくなる経営環境の中、会社を成長発展させることはできない。/しかし、逆に言えば、いかにビジネス環境が変化しようとも、そのように強烈な願望を抱き、誰にも負けない努力を続けていけば、必ず成功することができるはずである。ただ注意しなければならないのは、…その成功の原因が没落の原因ともなってしまうということである。/すさまじい闘争心の持ち主で、強烈な願望を抱き、誰にも負けない努力を続けていける人であればこそ、心のコントロールを失った場合に、破滅に向かうことになってしまう。成功の原因が、没落の原因に転じてしまうのである。[2012:191]

■書評・紹介

■言及




*作成:片岡稔
UP:20140218 REV:20140227 0303
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