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『平等の方法』

Ranciere, Jacques 20121004 La méthode de l’égalité,Bayard Jeunesse,400p.
=20141008 市田 良彦・上尾 真道・信友 建志・箱田 徹 訳,航思社,392p.

last update:20141209

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Ranciere, Jacques 20121004 La méthode de l’égalité,Bayard Jeunesse,400p. =20141008 市田 良彦・上尾 真道・信友 建志・箱田 徹 訳 『平等の方法』,航思社,392p. ISBN-10:4906738087 ISBN-13:978-4906738083 3400 [amazon][kinokuniya] ※ p

『平等の方法』表紙イメージ

内容

「分け前なき者」の分け前をめぐる政治思想と、「感覚的なものの分割」をめぐる美学思想は、いかに形成され、いかに分けられないものとなったか。世界で最も注目される思想家が、みずからの思想を平易なことばで語るロング・インタビュー。

著者略歴

ジャック・ランシエール(Jacques Ranciere)
パリ第8大学名誉教授(哲学、政治思想、美学)。1940年、アルジェ生まれ。
邦訳された著書に『アルチュセールの教え』(航思社)、『不和あるいは了解なき了解』『民主主義への憎悪』(ともにインスクリプト)、『無知な教師』『解放された観客』『感性的なもののパルタージュ』(ともに法政大学出版局)、『イメージの運命』(平凡社)、『言葉の肉』(せりか書房)、『マラルメ』(水声社)など。

訳者略歴

市田良彦(いちだ・よしひこ)
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。1957年生まれ。
著書に、『存在論的政治』(航思社)、『ランシエール』(白水社)、『革命論』『アルチュセール ある連結の哲学』『闘争の思考』(以上、平凡社)、訳書にランシエール『アルチュセールの教え』(航思社)、アルチュセール『哲学・政治著作集』全2巻(共訳、藤原書店)、ヴィリリオ『速度と政治』(平凡社)など。

上尾真道(うえお・まさみち)
立命館大学専門研究員。1979年生まれ。
訳書にジャン=クレ・マルタン『百人の哲学者 百の哲学』(共訳、河出書房新社)、ブルース・フィンク『精神分析技法の基礎』(共訳、誠信書房)など。

信友建志(のぶとも・けんじ)
鹿児島大学准教授。1973年生まれ。
訳書にアントニオ・ネグリ『スピノザとわたしたち』、ステファヌ・ナドー『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』(以上、水声社)、エリザベート・ルディネスコ『ラカン、すべてに抗って』(河出書房新社)など。

箱田徹(はこだ・てつ)
京都大学人文科学研究所研究員。1976年生まれ。
著書に『フーコーの闘争』(慶應義塾大学出版会)、訳書にジャック・ランシエール『アルチュセールの教え』、クリスティン・ロス『68年5月とその後』(ともに航思社)など。

目次

はじめに

第1章 生成過程
幼年時代と青年時代
高師時代の教育
『資本論を読む』
共産党路線との関係
六八年五月、ヴァンセンヌ、プロレタリア左派
分岐
『プロレタリアの夜』のなかで
方法の誕生: 読み書きの仕方
ミシェル・フーコー
『論理的反乱』と「五月」の退潮
映画、左翼フィクション、民衆の記憶

第2章 いくつもの線
相続と特異性
反体系的体系性
空間の優先、時間の再考
過剰あるいは出来事
シーンをどう定義するか
発話による主体化
能力あるいは可能性
美学革命か民主主義革命か
哲学的エクリチュールと普通の言説
効果としての哲学
残りはあなたのもの
思考の笑い

第3章 閾
脱神秘化あるいは脱構築
コンセンサスと愚鈍
支配を払いのける
無意識を位置づける
象徴秩序の平等な喪失
プロレタリアの過去と現在
平等/ 不平等
〈共〉の動的編成
脱アイデンティティと主体化
政治と制度
社会の場所
新しさと歴史性
イメージの散乱はもう一つの芸術体制であるか
ポピュラーカルチャー

第4章 現在
可能なものの地図作成
現在の姿、「ポリス」のあり方
切断、革命、反乱
新たなインターナショナリズム?
移住する身体、苦しむ身体
人間、人間でないもの: 政治的エコロジーについて
脱現実化した世界: どのように情報を得るか?
三面記事、ありふれた生、調査
不安定で庶民的な生の技法
感覚的なものの分割と現代アート
社会主義の未来
政治経済学
インタビューと対話

はじめに

 同世代のフランス人哲学者のなかで、最近のジャック・ランシエールは間違いなく、多様な職種の人々からインタビューされる一人である。彼がこうした特別な存在であることは偶然ではない。本人が文中でも説明しているように、インタビューに応えることは、短絡や単純化の危険がつきまとうため研究活動と同一視されえなくても、彼が一九七〇年代から倦むことなく擁護してきた「方法」の重要な一部をなしているからである。その「平等の方法」を本書のタイトルに選んだのも彼である。インタビューの場合にも、思考は書物に負けず劣らず活動している。この「方法」の特徴のひとつは、「思考に固有の場などない。思考はあらゆる場所ではたらいている*1」とみなすことだ。とはいえ、過去のインタビューの多くがすでに書籍化されている*2ところに、新たな一冊を加えるのはどうしてか。
 われわれインタビュアーには、二つの目標が指針としてあった。第一に、この四部構成のロング・インタビューを、さかんに読まれ言及されているアクチュアルな理論家の思想への入門とすること。それゆえ、読み手が機械的に繰り返し、なんとなく使うだけになりやすい概念やスローガン(感覚的なものの分割、不和(dissensus)ディセンサス、無知な教師、不和(mésentente)*3、分け前なき者の分け前など)について、起源・役割・定義をはっきりさせる必要があった。そこでわれわれは、定式の壁の向こうにあるいくつもの点について、ジャック・ランシエール本人に詳しい説明を求めた。それにより、彼の思想を構成するいくつかの要素を掘り下げ、明確にしようとしたのである。こうしたねらいは第二の目標、ランシエールの哲学プロジェクトを統一的なものとして再構成することにつながる。根強い誤解もあって、彼のプロジェクトは「政治」の時期と「美学」の時期とに区分され続けている。だが実際には、主著『プロレタリアの夜』以降どの著作でも、彼は両者を対置することを退けているのである。能力/権限のある/なしを固定領域にあらかじめ割り振ることと同様に。ランシエールはむしろ、見ることと考えることがいかに干渉しあい、たがいに循環するか、またそれらがどのように連携して闘うかを研究してきた。これは平等の方法の定義でもある。領土と能力の再配置、そこから出てくる語と事物の意味の変化に注目することに、平等の方法は方法としての一貫性を見いだす。しかし、著作群はパースペクティブと方法の統一性をもつのと同時に、いくつもの屈曲、時代的変化、見直しを経てきた。いまもなお、その途上にある。本書ではそれについても語られるだろう。
 第T章(「生成過程」)では、一九四〇年生まれのランシエールの知的形成と青年時代の著作を通して、彼の知的プロジェクトができあがるプロセスを振り返っている。彼が自著として世に出した最初のテキストは、ルイ・アルチュセールの監修により一九六五年に刊行された『資本論を読む』への寄稿論文である。七四年には、『アルチュセールの教え』の出版により、六九年以来明らかではあったユルム街のマルクス主義哲学者*4との方法論的かつ政治的断絶が公然と確認される。八〇年、ランシエールはジャン= トゥーサン・ドゥサンティを指導教官として、学位論文『フランスにおける労働者思想の形成―プロレタリアとその分身』を書き上げる。これは翌年『プロレタリアの夜』として刊行された。彼の思想全体に枠組みを与えている問題群が、この時期に結晶化したように思われる。それらはまた、ランシエールが六八年五月から得た教訓や、それをもとに知識人の任務やかれらの知と言説の限界について彼が新たに下した診断から生まれたものでもある。

*1 二〇〇五年にスリジー= ラ= サールでランシエールをテーマに研究集会が開催された際、閉会の辞で本人が述べた言葉。発言の全文は翌年出版された集会の記録に「平等の方法」という題で収録されている。以下を参照。La philosophie déplacée-Autour de Jacques Ranci`re, Laurence Cornu et Patrice Vermeren (dir.), Lyon, Horlieu, 2006, p. 519.〔未邦訳、『移動した哲学― ジャック・ランシエールをめぐる討論』〕
*2 Et tant pis pour les gens fatigués. Entretiens, Paris, Éditions Amsterdam, 2009.〔未邦訳、『疲れた人々にはお気の毒さま』〕
*3 訳注― 二つの「不和」の異同については、第T章注39を参照のこと。
*4 訳注― アルチュセールのこと。パリのユルム街に、彼の勤務校かつ住居である高等師範学校があった。

紹介・引用・言及

◆2014/10/13 https://twitter.com/consaba/status/521593639051333632
「河村書店@consaba 『平等の方法』ジャック・ランシエール、市田良彦・上尾真道・信友建志・箱田徹・訳(航思社)http://www.koshisha.co.jp/pub/archives/475 … 「分け前なき者」の分け前をめぐる政治思想と、アートなど「感覚的なものの分割」をめぐる美学思想は、いかに形成され、分けられないものとなったか。」

◆2014/11/23 https://twitter.com/KinoShinjuku/status/534310659291222017
「紀伊國屋書店新宿本店@KinoShinjuku 【3階人文】棚担当おすすめ
『平等の方法』(航思社)。本人によるランシエール入門。曰く「(自身の役割は、という問いに対し)別の世界の可能性を感覚的に紡ぐような作業が仕事であり、状況を記述し直そうとするのが発言です。」F28棚にて。TI 」

◆2014/11/18 https://twitter.com/cyakahasi/status/534618335669800960
「IsaTaka@cyakahasi 「平等の方法」ジャック・ランシエール難しい。なぜなら「私は主義として、私が話しかけているのは馬鹿な奴ではなく、自分と同じ知性をもつ存在であると思っている。そして話すべきことを話す。それだけです。」掴み所をスッと外されて空を掴む感じ。空間は大事と教わった気もする。」

◆2014/11/25 https://twitter.com/kagayam/status/537207452802904064
「本屋のカガヤ@kagayam 《話さない人々の肩をもちたがるある種のインテリ趣味に対しては、いつも闘ってきました。かれらの語りを構築することができるぞ、かれらのやらない演説をぶったり、かれら自身にわかっていないかれらのやっていることの意味を言えるぞ、と言いたがる趣味》ランシエール『平等の方法』(航思社)142」

◆2014/12/06 https://twitter.com/kagayam/status/541495810467180545
「本屋のカガヤ@kagayam 《仕立屋はつまらん連中で、なんの能力もない連中がやる仕事だ、と言うかもしれません。仕事の複雑さと報酬と文化的蓄積は連動すると思っているわけです。馬鹿げてますよね。古代の奴隷が主人より物知りであることは少なくなかったということを思い出すべき》ランシエール『平等の方法』航思社211頁」

◆2014/12/08 https://twitter.com/masasiiick/status/542039547207380992
「原田 真志@masasiiick ちなみにちょっと前に出たランシエールのインタビュー本『平等の方法』でインタビューしてるうちの一人がザブニャン。3章の「閾」のところで、ポストメディウム的状況の話をしてるのはたぶん彼ではないかな。なんかこの部分は本当にお互いノーガードで論駁してる感じがまじで宙吊り感ある。」

書評

◆松葉 祥一 2014/12/05 「書評 最良の入門書」,『図書新聞』書評 (2014年12月5日) > 図書新聞・書評掲載『平等の方法』

◆東京新聞 2015/01/10
〈機会の平等〉をことさら強調し、それがもたらす不平等を知性の優劣の結果と見なす新自由主義的な社会システムに異議を唱えてきたフランスの思想家へのインタビュー集。若き日の知的形成を振り返り、傍観者として眺めた一九六八年のパリ五月革命後に左派として政治活動を始め、労働者が書き残したテキストの解読に取り組むようになる経緯などを語る。

*作成:安田 智博
UP: 20141125 REV: 20141125, 1209
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