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『新しい左翼入門──相克の運動史は超えられるか』

松尾 匡 20120720 講談社(講談社現代新書),259p.

last update:20120918

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松尾 匡 20120720 『新しい左翼入門──相克の運動史は超えられるか』,講談社(講談社現代新書),259p.  ISBN-10: 4062881675 ISBN-13: 978-4062881678 \800+税  [amazon][kinokuniya]

■内容

なぜ理想は対立するのか。荒畑寒村、山川均、大杉栄、丸山眞男等思想史を代表する知識人が、マルクス、レーニン等の影響下、どのように社会活動を議論したのか――。 社会を変革しようとした男たちを全く斬新なアプローチでヴィヴィッドに描く痛快社会学。

■目次

最初に
個々人の都合に合う自由なシステムが目的/下世話な都合を見下す姿勢の危険/国有化派とアソシエーション派の二大潮流/アソシエーション派の路線も変質し得る /姿勢の総合のために直視すべきもの

第一部 「二つの道」の相克史 戦前編
第一章 キリスト教社会主義対アナルコ・サンジカリズム――明治期

大河ドラマの「裏切られた革命」物語/「嘉顕の道」と「銑次の道」/社会運動史を貫く相克/「嘉顕タイプ」のキリスト教社会主義 /アナルコ・サンジカリズムを持ち込んだ幸徳秋水/「けんか別れ」から「冬の時代」へ
日本の思想家伝/幸徳秋水・荒畑寒村

第二章 アナ・ボル抗争――大正期
マルクス主義に移った山川・荒畑/「総連合」流産の衝突/実は「アナ」・「ボル」の思想対立ではなかった/互いの批判は当たっている /大杉も「嘉顕の道」的だった時期がある/実は考えていたことはほぼ同じ
日本の思想家伝/堺利彦・山川均・大杉栄

第三章 日本共産党結成と福本・山川論争――大正から昭和へ
山川イズムの形成――「嘉顕の道」的姿勢の反省/両潮流を総合する位置にあったマルクス主義/第一次共産党解党と関東大震災中の弾圧/堺・山川のコミンテルン懐疑 /言いなり組織を作ろうとする「ビューロー」/再建共産党と福本イズム登場/「嘉顕の道」のよくない面を膨らませて/共同戦線党路線へ向かう山川/福本イズムへの批判 /「左翼小児病」としての福本イズム/福本失脚後も福本路線の共産党

第四章 日本資本主義論争――昭和軍国主義時代
「孤立路線の共産党」対「統一無産政党を目指す労農派」/統一無産政党を目指す苦闘/共産党も労農派も壊滅へ/日本資本主義論争 /「二段階革命」の方が急進的になるわけ/日本資本主義規定は労農派が妥当だが/「ファシズム=大資本の手先」論によるつまずき /中間層の反資本主義意識がファシズムをもたらす

第五章 戦前における「下から」の事業的変革路線
労働者自主管理企業の実践/測量機器メーカー「測機舎」の事例/自治経済を目指した賀川豊彦/「銑次の道」の困難さにはまった賀川豊彦
日本の思想家伝/賀川豊彦

第二部 「二つの道」の相克史 戦後編
第六章 共産党対社会党左派・総評

「アメリカからの自立」を一段階目として/社会主義革命を目指した社会党左派/当初単独講和やむなしと見た旧労農派/実際の政策の違いはあまりない /「優等生」的共産党と「アウトロー」的社会党左派/少数派の解放運動と対立した共産党

第七章 ソ連・北朝鮮体制評価の行き違い軌跡
ソ連体制批判から親ソに転じた社会主義協会/盲従から批判に転じた共産党/他所から批判されて決裂/上意下達で実現した反ソ・反中転換 /ソ連体制評価を棚上げして共闘した山川路線/敵の敵の足をひっぱるのを遠慮する傾向

第八章 戦後近代主義対文化相対主義――丸山眞男と竹内好
丸山眞男――主体性なき無責任を批判/大塚久雄――独立自営農民がビジネスでのし上がる近代化/内田義彦――アダム・スミスが打ち出した近代市民社会像 /戦後近代社会の「上から目線」への批判/竹内好――欧米近代への抵抗への連帯/周辺に期待しては裏切られ……の繰り返し /「その国にはその国独自の……」論のつまずき
日本の思想家伝/丸山眞男・大塚久雄・竹内好

第三部 「二つの道」の相克を乗り越える
第九章 市民の自主的事業の拡大という社会変革路線

二つの道の総合は簡単だが/提起者が失敗のリスクを引き受ける責任/国家規模の大変革はリスクの責任がとれない/関係者によって責任をとれる範囲からの変革 /事業の立ち上げ・発展期は「嘉顕の道」の性格が強くなる/事業が成熟すると「銑次の道」の性格が強くなる/また「嘉顕の道」が必要に

第十章 「個人」はどのように作られ、世の中を変えるのか
「個人」こそ目的――江戸時代にもあった姿勢/商人にたとえれば「上から目線」にならない/「銑次の道」で個人を埋没させない多重帰属 /宙空の「客観法則」志向が諸悪の根源/個々人の事情に合わせて歴史が動く/秋水以来の理想に自分の取組みがつながれるか

あとがき

■正誤表

第1刷
250ページ後ろから3行目
誤)『中核 vs 対革マル』
正)『中核 vs 革マル』

第1刷、第2刷
196ページ3行目
誤)内田義彦は、丸山眞男や大塚久雄よりやや若い世代で、
正)内田義彦は、学者としてのキャリアの開始は、丸山眞男や大塚久雄よりやや遅く、

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:北村 健太郎
UP: 20120918 REV:
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