『ナチスのキッチン――「食べること」の環境史』
藤原 辰史 20120530 水声社,450p.
last update:20131111
■藤原 辰史 20120530 『ナチスのキッチン――「食べること」の環境史』,水声社,450p.
ISBN-10: 4891769009 ISBN-13:978-4891769000 \4000+tax
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■内容
ナチスによる空前の支配体制下で、人間と食をめぐる関係には何が生じたのか?システムキッチン、家事労働から食材、エネルギーにいたるまで、
台所という“戦場”の超克を試みた、来たるべき時代への“希望の原理”。新たに発見された事実や貴重なレシピなど、未刊行資料も多数収録。
■著者略歴
1976年、北海道に生まれ、島根県で育つ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。博士(人間・環境学)。京都大学人文科学研究所助手を経て、
現在は東京大学大学院農学生命科学研究科講師。専攻は農業思想史、農業技術史。主な著書に『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房、2005。第一回日本ドイツ学会奨励賞)など
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
序章 台所の環境思想史
一、歴史の基層としての台所
二、テイラー・システムとナチズム
三、台所の変革者たち
四、台所をどうとらえるか――定義とアングル
第1章 台所空間の「工場」化――建築課題としての台所
一、ドイツ台所小史――「煙と煤」から「ガスと電気」へ
二、ドイツ台所外史――「キッチンの集団化」という傍流
三、第一次世界大戦の衝撃――集団給食の登場
四、フランクフルト・キッチン――「赤いウィーン」から来た女性建築家
五、考えるキッチン――エルナ・マイヤーの挑戦
六、ナチス・キッチン?
七、労働者、約一名の「工場」
第2章 調理道具のテクノロジー化――市場としての台所
一、電化される家族愛――快適、清潔、衛生的
二、台所道具の進歩の背景
三、マニュアル化する台所仕事――人間から道具へ
四、市場化する家事――消費者センター「ハイバウディ」の歴史
五、報酬なきテイラー主義の果てに
第3章 家政学の挑戦
一、家政学とは何か
二、家政学の根本問題――『家政年報』創刊号
三、家政学の可能性と限界――『家政年報』一九二八-一九三二
四、家政学のナチ化――『家政年報』一九三三-一九三五
五、家政学の戦時体制化――『家政年報』一九三九-一九四四
六、家政学が台所に与えた影響
第4章 レシピの思想史
一、ドイツ・レシピ少史
二、読み継がれる料理本――食の嗜好の変化のなかで
三、企業のレシピ――ナチズムへの道
四、栄養素に還元される料理
第5章 台所のナチ化――テイラー主義の果てに
一、台所からみたナチズム
二、「第二の性」の戦場
三、「主婦のヒエラルキー」の形成――母親学校、更生施設、そして占領地へ
四、無駄なくせ闘争
五、残飯で豚を育てる――食糧生産援助事業
六、食の公共化の帰結
終章 来たるべき台所のために
一、労働空間、生態空間、信仰の場
二、台所の改革者たちとナチズム
三、ナチスのキッチンを超えて
「食べること」の救出に向けて――あとがきにかえて
付録1 ベストセラーの料理本
付録2 ダヴィディス著『日常的かつ洗練された料理のための実用的料理本』の版別レシピ構成
付録3 ハーン著『市民の台所のための実用的料理本――一五〇枚のイラスト付き』の版別レシピ構成
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:櫻井 悟史 *増補:北村 健太郎