『「辺境」からはじまる――東京/東北論』
赤坂 憲雄・小熊 英二 編 20120520 明石書店,356p.
last update:20130825
■赤坂 憲雄・小熊 英二 編 20120520 『「辺境」からはじまる――東京/東北論』明石書店,356p.
ISBN-10: 4750335886 ISBN-13: 978-4750335889 \1800+税
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■内容
東北よ。東京から、独立せよ――。3・11により、日本の社会構造はもはや限界であることが露呈した。パラダイム・シフトはもう誰にもとめられない。主役は、東北だ。
米、鉄、人材、電力…これまで東北は、東京の欲望を叶える工場であり続けてきた。それは実際、東北に何をもたらしたのか。また3・11により、
そうしたシステムの限界が露呈したとするなら、「辺境」たる東北はどこに展望を見出すべきか。徹底的に考える。
■目次
まえがき 小熊 英二
I 東京/東北の過去と現在
第1章 東京の震災論/東北の震災論――福島第一原発事故をめぐって 山下 祐介
1 2011年初夏、東京で
2 東日本大震災・福島第一原発事故をめぐる東京と東北
3 地方を蝕む疑似原発群
4 もう一つの疑似原発としての東京、あるいは疑似東京としての原発
第2章 全村避難を余儀なくされた村に〈生きる〉時間と風景の盛衰 佐藤 彰彦
はじめに
1 〈ヨジソウ〉から〈ゴジソウ〉へ
2 〈生きること〉の表象として彩られた風景
3 暮らしと政治・行政の交錯
4 〈村〉の暮らしと〈都会〉の暮らし
5 原発事故が村から奪ったものと村に生んだもの
6 〈東北〉に、〈地方〉に思いを馳せる
第3章 再帰する優生思想 本多 創史
はじめに
1 放射能汚染という事態
2 「安心」とは何か――日本産婦人科学会
3 産むか否かという苦悩
第4章 〈災間〉の思考――繰り返す3・11の日付のために 仁平 典宏
はじめに
1 収縮する「溜め」
2 3・11とNPO・ボランティア
3 「よいとり」の社会空間に向けて
第5章 「大きなまちづくり」の後で――釜石の「復興」に向けて 大堀 研
はじめに
1 高炉閉鎖と「転機に立つ釜石」
2 高炉閉鎖後の釜石
3 震災後の「復興」の方向性
おわりに
第6章 核燃・原子力論の周辺から描く東京/青森/六ヶ所 小山田 和代
1 3度目の岐路
2 東京/青森/六ヶ所
3 東京/青森の狭間
4 〈開発・核燃以前の〉六ヶ所/〈今の〉六ヶ所
5 エネルギーのふるさとを紐解けば
第7章 多様な生業戦略のひとつとしての再生可能エネルギーの可能性 茅野 恒秀
1 農山漁村に本来的に備わる多様な生業戦略
2 地域社会の構造変動とリスクの集中をもたらした原子力エネルギー
3 エネルギー政策の大局的転換
4 東北に広がる再生可能エネルギー
5 再生可能エネルギー先進地――葛巻町の取り組み
6 地域に真の利益が落ちる再生可能エネルギー事業へ
第8章 〈飢餓〉をめぐる東京/東北 山内 明美
はじめに――〈飢餓〉のはじまりに
1 古くて新しい土地
2 近代日本の〈稲作ナショナリズム〉
3 米騒動とアジア
4 植民地と東北
5 国有化されるコメ
6 遍在する〈東北〉
7 稗の村と文化の闘争
むすびにかえて――東京なき時代
II 東京/東北の未来へ――赤坂 憲雄 × 小熊 英二 対談
あとがき 赤坂 憲雄
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:北村 健太郎