┃ 本書は、従来の「マイノリティ研究」・「マイノリティ論」における語り方/論じ方に「大きな不満と苛立ち」(序文より)をもつ12人の書き手が試みた、記述実践の集成である。◆天田 城介 2012/03/23 「拠点関連の刊行物・書籍」,立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点メールマガジン第24号[通巻36号]
本書を貫くテーマは「差異をめぐる〈繋がり〉と〈争い〉」。ハンセン病患者運動の「多面性」、職場の労働規範と性別二元規範の関係、在日韓国人コミュニティにおけるレズビアン差別、貧困調査と国家の存在、精神医学と統治システム、といった題材が並ぶ。┃
▽天田 城介・村上 潔・山本 崇記 編 2012/03/10 『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』,ハーベスト社,296p.
┃ 本書は、ありがちなマイノリティ研究とは違った現実を描きたいという思いを、「差異の繋争点」という奇妙な造語に託して編んだ本だ。本書の目次・構成・内容等については本書のページを参照していただくとして、この本はマイノリティをめぐる現実では〈繋がり〉と〈争い〉を避けて通ることが困難である、という「身も蓋もない現実」を描きたくてまとめたものだ。マイノリティ研究とはしばしば様々な「喧嘩の火種」が燻る中に飛び込むようにして思考することでもある。「地雷を踏む」「踏み絵を踏まされる」「火中の栗を拾う」ようなこともあるだろう。それはしんどいこともあるが、困難な中でも私たちに思考の導きを与えてくれる。そう信じてよい。┃