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『差異の繋争点
  ――現代の差別を読み解く

天田 城介村上 潔山本 崇記【編】
2012/03/10 ハーベスト社,x+299p.
2700円+税
[English] / [Korean]

last update: 20141130

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天田 城介村上 潔山本 崇記 編 20120310 『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』,ハーベスト社,x+299p. ISBN-10: 4863390343 ISBN-13: 9784863390348 2700+税 [amazon][kinokuniya] ※ d04

 ◇ハーベスト社Webサイト内の本書紹介ページ
  http://www.harvest-sha.co.jp/books/0-0034SAI.html

■内容

「 差異をめぐる争いは、まさにその差異によって繋がっている。
 すなわち、差異によって繋がっていながら、差異をめぐり争う。
 そうした差異をめぐる〈繋がり〉と〈争い〉を読み解いていく――。」(帯文)

「 本書は、立命館大学グローバルCOEプログラム「『生存学』創成拠点――障老病異と共に暮らす世界の創造」によって行なわれている、大学院生やPD(ポストドクトラルフェロー)などへの研究活動支援の1つである院生プロジェクト、「地域社会におけるマイノリティの生活/実践の動態と政策的介入の力学に関する社会学研究」の活動がもとになっている――「生存学」創成拠点については拠点のホームページ(http://www.arsvi.com/)を、研究プロジェクトについては(このプロジェクトを教員・院生らがともに推進・展開する研究会である)「マイノリティ研究会」のホームページ(http://www.arsvi.com/o/m02.htm)を参照されたい――。2009年6月より始まった同プロジェクトは、2012年1月現在まで継続されている。すでに2010年11月には、山本崇記・高橋慎一編『「異なり」の力学――マイノリティをめぐる研究と方法の実践的課題』(生存学研究センター報告14、立命館大学生存学研究センター発行)を中間的な成果報告として公刊している。この報告書をさらに大きく「発展」させようと試みたのが本書である。」(「はしがき」p.vii)

「 本書はいわゆる「マイノリティ」をめぐる現実を思考した本である。私たちはそれぞれこれまでに記述・集積・展開されてきた「マイノリティ研究」での語り方、「マイノリティ論」の論じ方に大きな不満と苛立ちがあって、そうしたマイノリティ研究・マイノリティ論では十分に記されていない/語られていない世界を何とか記述・言及したいと願って本書を編むことにした。本書はそうした思考作業の第一歩となる。」(「序文」p.1)

「既視感のある社会保障論・社会運動論の結論のために「マイノリティ/当事者」を動員する執筆者は、少なくともここにはいない。そして個別の「フィールド」の特性を、いかに特権化することなく、かつそのダイナミズムを磨耗させない批判的視座を設定しうるのか、試行錯誤を積み重ねてきた。」(「あとがき」p.295)

■目次

◇はしがき …… 山本崇記
◆序文 差異の繋争点――本書の狙い …… 天田城介
 1 差異の繋争点
 2 十分に論じられてこなかったことを論じる
 3 異なる身体をめぐる争い
 4 もつれあう差別と抗い
 5 差別の体制
●第T部 異なる身体をめぐる争い――病と社会運動
◆第1章 病者の生に宿るリズム …… 有薗真代
   ――ハンセン病患者運動の「多面性」に分け入るために
 1 病者のリズム
 2 草創期のハンセン病患者運動――自治の模索
 3 終戦直後の状況――「五療養所患者連盟」から「全患協」結成へ
 4 らい予防法闘争
 5 予防法闘争後の患者運動――強いられた「妥協」
 6 所得と給付金をめぐる運動――視覚障害者と在日朝鮮人・韓国人患者との連帯
 7 通底するリズム
◆第2章 西陣地域における賃織労働者の住民運動 …… 西沢いづみ
   ――労働環境と医療保障をめぐって
 1 医療受診への諦めのなかで
 2 西陣の医療運動・労働運動の戦前 戦後のつながり
 3 西陣の地域性と西陣機業
 4 賃織労働者と労働組合運動
 5 賃織労働者の組合運動と住民組織の運動
 6 住民運動のなかへ
◆第3章 血友病者本人による社会と結び付く活動の生成 …… 北村健太郎
   ――Young Hemophiliac Club結成を中心に
 1 家族と離れて、社会と接する
 2 血友病をめぐる社会的状況
 3 パンフレット「若者よ 集まれ!」
 4 「青年の集い」の開催
 5 Young Hemophiliac Clubの結成
 6 “ホーム・インフュージョン”への期待
 7 社会との結び付きの模索
 8 YHCと全友にできた溝
 9 激痛から遠ざかって、社会との関わりを求めて
【エッセイ】 忘れられたくない/忘れたい、のはざまで考える …… 吉田幸恵
   ――「解体」するハンセン病患者の共同性のゆくえ
 ・荒れ果てた空き地が意味するもの
 ・「黒川温泉宿泊事件」とは
 ・この事件で浮き彫りになったものは何か
●第U部 もつれあう差別と抗い――再編される性的秩序
◆第4章 トランスジェンダー・性同一性障害者の職場における実践と課題 …… 高橋慎一
   ――労働規範と性別二元規範・異性愛規範
 1 トランスジェンダー・性同一性障害者の語る身体の過剰
 2 調和的・同化的当事者の聞き取り
 3 非調和的・非同化的当事者の聞き取り
 4 制度の限界と規範変革の可能性
◆第5章 在日韓国人コミュニティにおけるレズビアン差別 …… 堀江有里
   ――交錯する差別/錯綜する反差別
 1 「差別」をめぐる諸相――折り重なる差別のなかで
 2 在日大韓基督教会における「レズビアン差別事件」
 3 「差別事件」の形成
 4 「事件」のなかで不可視化されるレズビアン
 5 複数の視点からみる差別問題への取り組みに向けて
◆第6章 主婦の労働実践としてのワーカーズ・コレクティブの岐路 …… 村上潔
   ――「依存」と「包摂」のあいだで
 1 主婦と「社会的包摂」、という美しき結びつき?
 2 主婦の労働実践としてのワーカーズ・コレクティブ
 3 主婦の「外部」からのワーカーズ・コレクティブへの流入
 4 ワーカーズ・コレクティブの変容の意味
 5 「包摂」役割への期待
 6 「依存」する主婦の取り組みとして
 7 歴史の変わり目に立つ
【エッセイ】 追憶――「異なり」支援の学校から …… 梁陽日
 ・表出した生徒の「気持ち」
 ・A学園の試みと困難
 ・ズレ・混沌の先は見えるか
●第V部 差別の体制――言説と装置の診断
◆第7章 「沖縄問題」の「入り口」で …… 大野光明
   ――ベ平連の嘉手納基地ゲート前抗議行動と渡航制限撤廃闘争
 1 「沖縄問題」に取り組む日本本土の人々
 2 ベトナム戦争のインパクト
 3 1968年8月、米軍嘉手納基地前抗議行動と渡航制限撤廃闘争
 4 立場性をめぐる議論の噴出
 5 「沖縄問題」の「入り口」の構造を越えて
◆第8章 やくざ集団の形成と差別 …… 山本崇記
   ――部落民/朝鮮人という問いとの関係から
 1 やくざ「である」(be) と「になる」(become)
 2 集団の病理から被差別という社会問題へ――やくざ研究の視点
 3 分岐と交差の条件
 4 差別の問い方
 5 集団性の位相
◆第9章 社会調査者はなにを見たか …… 森下直紀
   ――水俣病被害の構造的理解を求めて
 1 水俣病を「社会調査」することとは
 2 公害発生・社会的抑圧の析出
 3 公害研究と水俣病
 4 被害実態研究の時空間的拡大
 5 社会調査研究が「水俣」でなすべきこと
◆第10章 国家の眼としての貧困調査 …… 小泉義之
 1 不可視の貧困を可視化するということ
 2 排除の可視化と包摂の空手形
 3 低所得者層の可視化
 4 不可視化される国家
◆終章 思想と政治体制について …… 天田城介
   ――精神医学のエコノミー
 1 「マイノリティ」をめぐる過去と現在をいかに評価するか
 2 周縁的な人間の監視=矯正へ
 3 精神医学と刑罰――番犬システムとして
 4 ソ連における精神医学と収容所
 5 反精神医学の位置
 6 統治システムの不断の編成をめぐる思考へ
◇あとがき …… 天田城介村上潔

■書評・紹介・言及

◆差異の繋争点―現代の差別を読み解く(天田城介、村上潔、山本崇記(編))
 (乱読大魔王日記|2013-08-30)
 http://we23randoku.blog.fc2.com/blog-entry-4731.html
好井 裕明 2012/08/04 「現代社会の差別に指向する新たな視座を提示する優れて意義のある論集――マイノリティ研究で空洞になっていた、差異をめぐる複数の〈繋がり〉と〈争い〉」,『図書新聞』3073(2012-08-04):5
 http://toshoshimbun.jp/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3073
◆天田城介・村上潔・山本崇記編『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』
 (BLOG_inainaba|2012-05-01)
 http://d.hatena.ne.jp/inainaba/20120501/1335777387
◆いただきもの
 (インタラクティヴ読書ノート別館の別館|2012-03-15)
 http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20120315/p2
◆『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』 天田城介・村上潔・山本崇記編 ハーベスト社
 (唐芋の断面|2012-03-15)
 http://karaimo.exblog.jp/17666344/
◆『差異の繋争点』をいただいた
 (真面目なふざけ、適度な過剰|2012-03-11)
 http://d.hatena.ne.jp/K416/20120311/1331467512

■著者による紹介・引用

村上 潔 2012/05/21 「【自著紹介】天田城介・村上潔・山本崇記編『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』ハーベスト社、2012年」,『社会文化通信』43(2012-02):7〔発行:社会文化学会〕
┃ 本書は、従来の「マイノリティ研究」・「マイノリティ論」における語り方/論じ方に「大きな不満と苛立ち」(序文より)をもつ12人の書き手が試みた、記述実践の集成である。
 本書を貫くテーマは「差異をめぐる〈繋がり〉と〈争い〉」。ハンセン病患者運動の「多面性」、職場の労働規範と性別二元規範の関係、在日韓国人コミュニティにおけるレズビアン差別、貧困調査と国家の存在、精神医学と統治システム、といった題材が並ぶ。┃
天田 城介 2012/03/23 「拠点関連の刊行物・書籍」,立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点メールマガジン第24号[通巻36号]
 http://archive.mag2.com/0001126512/20120323170000000.html
▽天田 城介・村上 潔・山本 崇記 編 2012/03/10 『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』,ハーベスト社,296p.
┃ 本書は、ありがちなマイノリティ研究とは違った現実を描きたいという思いを、「差異の繋争点」という奇妙な造語に託して編んだ本だ。本書の目次・構成・内容等については本書のページを参照していただくとして、この本はマイノリティをめぐる現実では〈繋がり〉と〈争い〉を避けて通ることが困難である、という「身も蓋もない現実」を描きたくてまとめたものだ。マイノリティ研究とはしばしば様々な「喧嘩の火種」が燻る中に飛び込むようにして思考することでもある。「地雷を踏む」「踏み絵を踏まされる」「火中の栗を拾う」ようなこともあるだろう。それはしんどいこともあるが、困難な中でも私たちに思考の導きを与えてくれる。そう信じてよい。┃

■本書に関連する企画

◆2012年度立命館大学大学院先端総合学術研究科主催公開合評会企画:
 天田城介・村上潔・山本崇記編『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』を読む
 |日時:2012年6月5日(火) 18:00〜20:30
 |場所:立命館大学衣笠キャンパス存心館2階705教室
 ☆詳細 → http://www.r-gscefs.jp/?p=2502


*作成:村上 潔
UP: 20120312 REV: 0315, 21, 0425, 0501, 0507, 0527, 0802, 20141130
地域社会におけるマイノリティの生活/実践の動態と政策的介入の力学に関する社会学研究  ◇差別  ◇ハンセン病  ◇血友病  ◇  ◇ワーカーズ・コレクティブ  ◇社会的排除  ◇貧困  ◇沖縄  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK

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