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『犠牲のシステム 福島・沖縄』

高橋 哲哉 20120122 集英社(集英社新書C0625),222p.

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last update:20160810

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高橋 哲哉 20120122 『犠牲のシステム 福島・沖縄』,集英社(集英社新書C0625),222p.  ISBN-10: 4087206254 ISBN-13: 978-4087206258 740+税  [amazon][kinokuniya] ※

■内容

地方の犠牲の上に成り立つ資本と国家の繁栄。その虚妄を鋭く問いかける良書――姜尚中

福島の原発事故は、原発推進政策に潜む「犠牲」のありかを暴露し、沖縄の普天間基地問題は、日米安保体制における「犠牲」のありかを示した。 もはや誰も「知らなかった」とは言えない。沖縄も福島も、中央政治の大問題となり、「国民的」規模で可視化されたのだから―。 経済成長や安全保障といった共同体全体の利益のために、誰かを「犠牲」にするシステムは正当化できるのか?  福島第一原発事故で警戒区域となった富岡町などで幼少期を過ごした哲学者による、緊急書き下ろし。

■著者略歴

1956年福島県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。専攻は哲学。南山大学講師等を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授。

■目次

はじめに

第一部 福島

第一章 原発という犠牲のシステム
虚をつかれた
福島の出身者として
首都圏の人間として
いかに語るか
「原発という犠牲のシステム」(『週刊朝日 緊急増刊 朝日ジャーナル』)

第二章 犠牲のシステムとしての原発、再論
「犠牲のシステム」とは何か
第一の犠牲――過酷事故
放射線被曝の不安
地元産業への被害
福島県民への差別「放射能がうつる」
福島県民はどこに捨てるの
歴史的な差別意識の名残「東北土人」
自然環境の汚染
想定外ではなかった大事故
第二の犠牲――被曝労働者
恒常的に組み込まれた被曝労働
二重の被害
第三の犠牲――ウラン採掘に伴う問題
第四の犠牲――放射性廃棄物をどうするか
「核のゴミ」を海外に押しつける
3・11以後の日本の課題
植民地主義
日米安保体制と「海に浮かぶ原発」
原発から「核の軍事利用」へ
原発は「核の潜在的抑止力」

第三章 原発事故と震災の思想論
一 原発事故の責任を考える
「なぜ、こんなことになってしまったのか」
第一義的な責任は「原子力ムラ」にある
政治家・官僚の責任
学者・専門家の責任
迷走した安全基準
山下発言の何が問題か
川上肇「日本独特の国家主義」
市民の責任
無関心だったことの責任
地元住民の責任
政治的な責任

二 この震災は天罰か――震災をめぐる思想的な問題
石原都知事の天罰発言
震災は天の恵み?
宗教者の発言――カトリック
宗教者の発言――プロテスタント
知識人の発言
内村鑑三の天譴論
堕落した都市・東京
犠牲の論理の典型
国民全体の罪を担わされた死
非戦主義者の戦死
死を意味づけることの問題
天罰論と天恵論の決定不可能性
原爆は天罰か、天恵か
天罰論が天恵論になるのはなぜか
なぜ、この震災が天罰なのか
震災にこじつけない
「日本」イデオロギーの表出
危機だからファシズムか


第二部 沖縄

第四章 「植民地」としての沖縄
普天間基地移設問題とは
政権交代で見えてきた戦後日本の犠牲
沖縄は日本の捨て石にされた
天皇メッセージ
戦後沖縄の運命
沖縄の犠牲なしに戦後日本は成り立たなかった
〇・六パーセントの土地に七四パーセントの負担
無意識の植民地主義
可視化された犠牲のシステム
可視化されたからこその「感謝」表明
沖縄は眠ってなどいなかった

第五章 沖縄に照射される福島
「植民地」としての沖縄
沖縄と福島――その相違点と類似点
交付金・補助金による利益誘導
本当にその地域の役に立っているのか
見えない前提――地域格差
植民地主義を正当化する神話
もう一つの神話――民主主義
国民投票の危うさ
犠牲となるのはだれか
だれが犠牲を決定するのか
犠牲なき社会は可能か


あとがき
主な引用・参考文献

■関連書籍

■引用

■書評・紹介

■言及


*作成:北村 健太郎
UP:20160810 REV:
原子力発電/原子力発電所  ◇沖縄  ◇犠牲  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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