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『小児科医が診た放射能と子どもたち』

山田 真 20111205 クレヨンハウス,63p.


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山田 真 20111205 『小児科医が診た放射能と子どもたち』,クレヨンハウス,わが子からはじまる クレヨンハウス・ブックレット004,63p. ISBN-10: 4861012031 ISBN-13: 978-4861012037 [amazon]/[kinokuniya] ※ npp-b

■内容

福島で子どもの健康相談を行っている著者が、現地で感じたことをまとめた一冊。福島の人たちが抱える問題や、日本医学会の放射線の扱い、低線量被ばくの影響など、長年小児科医として関わってきた経験を基にわかりやすく解説。
出版社からのコメント
実際に福島で健康相談に乗っている医師ならではの視点で、福島の「いま」が語られています。不安を抱えて精一杯生きるひとびとに温かく寄り添った著者のまなざし。不安や悩みを共有し、ともに考え、生きていくために、わたしたちに何ができるのか、考えるきっかけを得られるはずです。
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■目次

第1章 福島で健康相談をして、見えてきたこと
第2章 放射能への不安を口にできない雰囲気の広がり
第3章 低線量被ばく、内部被ばくの専門家はいない
第4章 これから、わたしたちにできること
第5章 Q&A質疑応答

■引用

 「森永のヒ素ミルク中毒の場合は、事件が起こってから1年後に、被害を受けたあかちゃんの健康診断を厚生省(当時)がいっせいに行いました。そして、全員治っている、後遺症もない、だから将来も大丈夫である、と、たった1年のフォローでそう言い切ってしまい、その後、何もしませんでした。
 ですから、そういうことをさせないようにしなければなりません。いまは大丈夫でも、将来も大丈夫という話には、まったくなりません。
 それから、外側からは何も変化がないように見えても、見えないところの細かい変化が何かあるかもしれないので、そのへんを丁寧に診てゆこうと思っています。
 わたしたちは低線量被ばく、内部被ばくについて、「いまこれだけわかっています」というものをまだ持ち得ていません。」(山田[2011:29])

 「たとえば、実際に森永のヒ素ミルク中毒事件から何十年かたって、いまも関わり続けている医者は全国でもうふたりくらいになっていると思います。東京ではわたしひとりです。一時期は仲間がいましたが、結局みんなやらなくなってしまいました。水俣病も、カネミ油症事件も、やっぱり広がりませんでした。
 本当は公衆衛生学者や疫学者がちゃんと調べるべきです。昔から、たとえば公害にしても、ちゃんと関わっているのはと岡山大学の衛生学教室だけだと思います。岡山大学に青山英康さんという教授がいらっしゃったときに、たくさん次世代を育てられて、土呂久砒素公害もカネミ油症事件も水俣病も森永ヒ素中毒も、岡山大学の衛生学教室で調査をしました。
 青山さんが引退された後、津田敏秀教授がひとりでやっておられます。その津田さんも非常に孤立してやっておられて、ほかの衛生学者は一切関知していないので、調査を頼むとしたら津田さんです。もし津田さんが国の組織に入ってやるとなると、少数派で孤立するのではないでしょうか。恐らく潰されます。国の会議などでは、国側の研究者が10人いて、そのなかに津田さんがひとり入れられるというような構成にされるのです。とても動きにくいです。」(山田[2011:54])
 cf.森永ひ素ミルク中毒


UP:20121227 REV:
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