HOME
>
BOOK
>
『時間についての十二章――哲学における時間の問題』
内山 節 19931027 岩波書店,293p. → 20111109 岩波人文書セレクション,岩波書店,301p.
Tweet
last update:20160905
このHP経由で購入すると寄付されます
■
内山 節
19931027 『時間についての十二章――哲学における時間の問題』,岩波書店,293p. → 20111109 『時間についての十二章――哲学における時間の問題』(岩波人文書セレクション),岩波書店,301p. ISBN-10: 4000285068 ISBN-13: 978-4000285063 2600+税
[amazon]
/
[kinokuniya]
■内容
さまざまな相貌をおびて我々の存在を拘束している「時間」。物理学者の「時間」、哲学者の「時間」があり、そして、生活し労働する者の「時間」がある。 産業化にささえられた現代人にとっての「時間」とはいったいなんだろうか。山里の自然からのまなざしによって現代文明に再考をうながし続けてきた、哲学者のエッセイ。
■目次
第一章 川の時間
第二章 山里の時間
第三章 森の時間
第四章 森林経営の時間
第五章 関係的時間と客観的時間
第六章 「使用価値」とその時間
第七章 商品の時間
第八章 近代的市民とその時間
第九章 不均等な時間
第十章 近代社会の時間
第十一章 非構造の時間
第十二章 さまざまな時間
註
岩波人文書セレクションに寄せて
■関連書籍
■引用
*ページ数は、岩波人文書セレクションのページ数である。
第八章 近代的市民とその時間
三
共同体社会がこわれ、近代的市民社会がつくられていく過程は、共同的な関係によって時間がつくられていく時代から、個人の時間が確立していく時代への転換であった。 このときから私たちは、自分だけの固有の時間を確立した。時間は自分の責任において管理していくものへと変容したのである。 そのとき、この村の自然と共同体のなかに身をおいていれば、そこでの時間の動きとともに自分もまた生きていくだろうという楽観主義は消滅する。 自分の責任で自分の一生を管理していかなければならなくなった。(p.186)
TOP
第十二章 さまざまな時間
二
もっとも日本の森林が荒廃している原因が、そのことだけにあるのではないことも確かだった。もう一つ重要な問題として、時間の経済価値化がある。
かつては村人の労働は、暮らしのなかの営みという性格を強く持っていて、労働時間自体に経済的な価値があるという観念は村人のものではなかった。 [……]一年の系のなかにはさまざまな営みがあって、その営みのなかに労働の世界もあった。
ここでは労働自体は無償の行為である。 いまでも山村の高齢者のなかでは、労働はタダという感覚をもっている人々がいるけれど、彼らの気持ちのなかでは、労働の結果つくられた生産物には経済的な価値があっても、 労働それ自体に経済的な価値があるわけではない。(p.274)
森林問題をきっかけにして時間の問題を考えはじめた頃、ゆえに私には経済価値としての時間の成立をいかにとらえるのかという課題があった。 ある意味では今日の人間のかかえる矛盾は、時間が経済価値として展開していることにある、といってもよいのである。(p.275)
TOP
■書評・紹介
■言及
*作成:
北村 健太郎
UP:20160905 REV:
◇
コミュニティ/地域
◇
労働
◇
哲学/政治哲学/倫理学
◇
身体×世界:関連書籍
◇
BOOK
TOP
HOME (http://www.arsvi.com)
◇