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『ターミナルライフ 終末期の風景』

西 成彦 20110925 作品社,348p.
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last update:20111124

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『ターミナルライフ 終末期の風景』


西 成彦 20110925 『ターミナルライフ 終末期の風景』 作品社,348p. ISBN-10:4861823528 ISBN-13: 978-4861823527 3780 [amazon][kinokuniya]※ a06 d01

■内容

「害虫」として家族に疎んじられながら死に行くグレーゴル死刑囚として無為の時間のなかをまどろむマルソー、生きた竹馬に乗りながら老人の生に思いを馳せるマルセル……。20世紀文学の描く老いと死を読み解く、文学エッセイ!

■目次

害虫の生―カフカ『変身』
恥辱死―カフカ『訴訟』
失業者―カフカ『失踪者』
拷問死―カフカ『流刑地にて』
過労死―カフカ『城』
死刑囚―カミュ『異邦人』I
幸福感―カミュ『異邦人』II
ふらつき―ナボコフ『断頭台への招待』
決壊―セリーヌ『なしくずしの死』ほか
華やぐ余生―シュルツ『砂時計サナトリウム』
死者のある風景―フォークナー『死の床に横たわりて』
時間の糸―プルースト『失われた時を求めて』I
音の転生―プルースト『失われた時を求めて』II
老人の性―プルースト『失われた時を求めて』III
思春期ごっこ―ゴンブローヴィッチ『ポルノグラフィア』
オナニストたち―ゴンブローヴィッチ『コスモス』
アウトドア派―ベケット『モロイ』
時間かせぎ―ベケット『マロウンは死ぬ』
くされ縁―ベケット『勝負の終わり』
群れと死―バシェヴィス・シンガー「おいらくの恋」ほか
恥の技法―クッツェー『鉄の時代』
人間の死、動物の死―クッツェー『恥辱』

■引用


■書評・紹介

◆2011/11/06 http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2011110604.html
◆2011/11/13 http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20111113ddm015070032000c.html

◆2011/11/20 日本経済新聞 朝刊(評者:若島正)
 昔に読んだ小説を読み返してみると、まったく違う作品に見えることがよくある。それはなにも、読み手の側が成熟して作品の内容がよくわかるようになったということではない。小説のどこに関心が向くか、その視線が変わったということだ。中年から初老にさしかかりつつあることを自覚する西成彦は、カフカの『変身』で「害虫」として家族から厄介払いされることになったグレーゴルや、カミュの『異邦人』で死刑因として無為の時間を過ごすことになったムルソーの姿に惹きつけられる。そのようにして、20世紀文学に描かれた終末期の生のさまざまを見つめたのが、『ターミナルライフ 終末期の風景』だ。
 西成彦の前著『エクストラテリトリアル 移動文学論II』は、主に東欧文学に焦点を当てながら、社会的にも言語的にもマイノリティに属する死者たちの叫びやつぶやきに耳を傾けようとする試みだった。そこには、カフカ論やゴンブローヴィッチ論をはじめとして、バシェヴィス・シンガー、さらにはカミュやベケットへの言及など、今回の『ターミナルライフ』へと結実することになる芽がすでは胚胎していた。この2冊を貫いているのは、著者の思考のしぶとさである。
 小説に描かれる人物たちがどのように死を迎えるかということを問題にするなら、誰でも考えそうな切り口は、それを小説の終わり方に結びつける手である。しかし、著者はそうした小説美学にこの問題を還元してしまうような道は選ばない。著者の関心は、あくまでも死を前にした人間の「生」にある。そのあり方は、緩慢なものかもしれないし、生への執着に満ちたものかもしれないし、また恥辱だらけのものかもしれない。しかし著者は、そうした者たちの生から視線をそらさない。
 著者はここで扱っている作品を、原著を参照しながらゆっくり読み返し、訳語も自分で選び直している。その根気強い作業こそは、ちょうどレコード盤をすり減るほど聴くような体験に似て、そこからかすかに聞こえる声にならない声をも聞き逃すまいとする、強靭な姿勢の現れなのだ。

◆2011/11/21 http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20111121-OYT8T00632.htm
 

■言及





*作成:片岡 稔
UP:20111006 REV:20111011 1108 1109 1121 1124
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