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『「労動」の哲学――人を労働させる権力について』

濱本 真男 20110530 河出書房新社,192p.
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last update:20110829

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『「労動」の哲学――人を労働させる権力について』表紙画像。


濱本 真男 20110530 『「労動」の哲学――人を労働させる権力について』,河出書房新社,192p. ISBN-10: 4309245498 ISBN-13: 978-4309245492 \2100 [amazon][kinokuniya]


■内容

推薦文より:「労働を思考によって包囲せよ! 若き思索者による比類なき考察」(酒井隆史)。「就活・就業・過労死へ人をつき動かす〈労働させる権力〉。それを書き、暴く。若いのに、ではない。若いから、でもない。ただ、すぐれている」(小泉義之)。

帯文より:アレント、ネグリなどいままでのすべての労働論を根底から打ち砕き、近代を再審するいま最も必要な強靭にして挑発的な思考。思想界に80年代生まれの新星登場!
内容紹介
思想界に28歳の鬼才、登場。アレント、フーコー、ネグリらを批判的に参照しながら、権力としての労働を根底から問い直し、近代をかつてないかたちで顛倒させる驚くべき力編。
内容(「BOOK」データベースより)
アレント、ネグリなどいままでのすべての労働論を根底から打ち砕き、近代を再審するいま最も必要な強靱にして挑発的な思考。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
濱本 真男
1983年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

はじめに
第1章 労働を巡る闘争を不可視にするもの
 1・1 労働の過小な定義と過剰な定義
 1・2 イタリア・フェミニズム
 1・3 「青い芝の会」
 1・4 理論的前提としての小括
第2章 労働の「政治」性
 2・1 「労動」(labor)と労働(job)の概念的区別
 2・2 社会的生命の必要と余暇の時間
第3章 「労動」の政治性
 3・1 社会的統治と自己統治の関係にみる思考の政治性
 3・2 「労動」=芸術=「犯罪」
第4章 「過労死」――労働権力の場
 4・1 社会の諸相で作用する労働権力と力同士の葛藤
 4・2 社会的労働としての「過労」自殺
おわりに

引用文献
あとがき

■引用


■書評・紹介

ウラゲツ☆ブログ:「国内著者の人文系注目新刊:2011年3〜5月」(2011年5月14日)
http://urag.exblog.jp/12578025/

「★本書は来週半ばに店頭発売開始だそうです。「いままでにないタイプの理論家」(担当編集者Aさん)の本としてご紹介いただきました。Aさんが仰るのだから間違いありませんし、そもそも修論相当の研究書が一般書メインの版元から出るというのは異例のことです。労働=jobと「労動」=laborが区別されているのに気をつけねばなりません。アレントの『人間の条件』を参照しつつ、前者は賃労働=「生きる手段」、後者は「生そのもの」として区別されています。後者の創造性(芸術性/犯罪性)については、Bruno Gulli(本書ではブルーノ・グーリと表記)の未訳の労働論が参照されています。私はかつて毛利嘉孝さんの『文化=政治』(弊社刊)に触発されて、「労働=運動」としての出版について某大学で発表したことがありましたが、今後は濱本さんの「労動」論からも学びたいと思います。本書の「おわりに」にはこう書かれています、「問題なのは、「労働とは何か、生きるとは何か」と問うことが、確かに無駄であるということだ。ただし、それは「価値」こそが意味であるとする自明性を疑うことが無駄であるというよりも、自明性の誤謬をあばいたところで、本当の答えをえることができないということなのである。/「労働とは何か」という問いに対しては、仮に「生きる手段である」と答えることができよう。しかし「生きるとは何か」という問いに対しては、もはやそれに答えることができないのである。ところで、労働が「生きる手段」であるならば、その「生きる手段」の過剰によって死に至ることは皮肉の極みではないか。それゆえ、ある日ある者は無断欠勤に踏み切る。すると、どこかの精神科医が真先に声を上げるのだ。その労働の拒否の行為は「自殺の代理行為」である、と。しかしなぜ、殺人的な労働からの(生のための)逃避が、「自殺行為」だといわれなければならないのだろうか」(151頁)。この素朴で重い問いが本書を貫く叫びになっているように感じました。」

■言及



UP:20110526 REV:20110829
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