『日本断層論――社会の矛盾を生きるために』
森崎 和江・中島 岳志 20110410 NHK出版(NHK出版新書347),269p.
last update:20120317
■森崎 和江・中島 岳志 20110410 『日本断層論――社会の矛盾を生きるために』,NHK出版(NHK出版新書347),269p.
ISBN-10: 4140883472 ISBN-13: 978-4140883471 820+税
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■内容
性、植民地、炭鉱──昭和の闇を生き抜いた精神の軌跡!
植民地という原罪、中央の論理で容赦なく切り捨てられる坑夫たち、消費され踏みにじられる女性――。一枚岩とされた戦後日本に走る数々の断層に鋭く注目し、
それらを克服しようとしなやかな思索を重ねてきた森崎和江。末端労働者や女性たちの苦悩、谷川雁や埴谷雄高など戦後知識人の素顔を、孫世代の論客が聞き出していく。
格差社会と言われる今日、なおも存在する様々な断層に苦しむ人たちに向けた、異色の日本・日本人論。
■著者略歴
森崎 和江
1927年、現韓国・大邱市生まれ。詩人・作家。福岡県立女子専門学校卒業。
中島 岳志
1975年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。専攻は近代政治思想史、南アジア地域研究。北海道大学公共政策大学院准教授。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに――かつてサークル村があった 中島 岳志
第1章 「前と後ろからピストルでねらわれている」――植民地という原罪
安部磯雄の影響/「朝鮮人を尊敬しなければダメだ」/言葉とモノが結びつかない/教育方針は「自由放任」/慶州への赴任/「大坂先生のような学者になりたい」
/母の死/苦悩する父
第2章 「私には顔がなかった」――「日本」への違和
学徒動員から終戦へ/「日本でどう生きていこうか」/療養と詩作の日々/原罪意識の共有/「日本」という字が書けない/日本語一人称への違和/いのちの完璧さ
/「言葉の欠落」がテーマに/弟の苦悩、そして自死/「生きさせてもらっていること」への気づき
第3章 「無名にかえりたい」――サークル村から闘争へ
石炭って何だろう?/「弟の仇を討とう」/谷川雁への返信/共産党への距離/「サークル」をめぐるズレ/上野英信の離脱/ロウロウシャとは何だあー!?
/『無名通信』創刊/坑内夫・女娼への聞き取り/『サークル村』と女性/「安保はなっとらん」/谷川雁のアジア/レイプ殺人事件/大正行動隊と谷川雁
/「ものを書くこと」への絶望/託児所をつくる/埴谷雄高とカンパーイ/対馬への取材旅行/朝鮮人坑夫の足跡を追う/筑豊の下層労働者の歴史
/中間のホルモン焼き屋/谷川雁の影響
第4章 「侵略と連帯は紙一重」――朝鮮との再会
『第二の性』と『第三の性』/朝鮮半島との再会/韓国の素顔/沖縄を考える会/「新しい共同性」の模索/与論島の神様/個別と普遍の往還/ノロの話
/警官も味方に/全共闘との交錯/民衆とどうつながるか/からゆきさんとの出会い/二元論を疑う/ウーマンリブと三理塚闘争/竹内好からの手紙
/内田良平と幸徳秋水の出会い損ね/「日本」探しの旅へ
第5章 「ほんとうの日本に出会わなきゃ」――土着、辺境、いのち
露天商の後を追いかけて/排泄とエロス/ガンディー再評価/信仰の問題/根拠地としての宗像/「愛することは待つことよ」/サハリンの少数民族
/「日本」から「いのち」へ/海女漁の歌/晩年の雁さん/断層を生きる/「なんでだろう?」という問いから始まる/新たな根拠地づくりに向けて
/「いま、地球は病気だよ」
あとがき 森崎 和江
森崎 和江 年譜
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:北村 健太郎