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『近代日本のハンセン病問題と地域社会』

廣川 和花 201102 大阪大学出版会,332.

last update:20130812

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■廣川 和花 201102 『近代日本のハンセン病問題と地域社会』,大阪大学出版会,332. ISBN-10: 4872593782 ISBN-13: 978-4872593785 \3990 [amazon][kinokuniya] ※ lep

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内容紹介(Amazonより)
本書は,近年関心の高まっている病と社会・科学技術・環境との関係を明らかにした「病者の社会史」である.ハンセン病研究はこれまで,社会学や文学・法学など多様な分野で行われているが,その基礎となる歴史研究の蓄積は驚くほど少ない. ハンセン病にかかわる歴史的事実と地域の実態を明らかにしているこの研究は,元患者の社会復帰や療養所の将来構想など喫緊の課題に多くの示唆を提供するものである.

内容(「BOOK」データベースより)
「絶対隔離」の再検討から切り拓く病者の社会史。病者処遇の法制度、自由療養地、私立療養所、外来診療、ハンセン病医学…膨大な史料をもとに、病者の「生存」を描きだす。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

廣川/和花
1977年生。2001年大阪大学文学部人文学科卒業。2003年大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻、博士前期課程修了。2007年大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻博士後期課程単位修得退学。2008年博士(文学)、大阪大学。2008年大阪大学総合学術博物館研究・教育部資料情報研究系助教(大学院文学研究科兼任)。現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

序章近代日本のハンセン病史をめぐって
 はじめに
 一ハンセン病史研究の現在
 二近代日本のハンセン病政策の概要
 三本書の課題と方法

第一章ハンセン病者の処遇に関する法制度の再検討
 はじめに
 第一節一九〇七年法下のハンセン病者の処遇
 1 一九〇七年法の評価をめぐって
 2 処遇のプロセスに関する法規定
 3 各府県の処遇規定
 4 「一時救護」をめぐる混乱
 5 小括
 第二節一九三一年法下のハンセン病者の処遇
 1 一九三一年法への改正過程
 2 一九三一年法下の処遇規定
 3 各府県の処遇規定の変更
 4 小括

第二章「根本的癩予防策要項」とハンセン病者の療養形態―ハンセン病自由療養地構想と湯之沢部落をめぐって―
 はじめに
 第一節問題の所在
 第二節湯之沢部落におけるハンセン病療養
 1 湯之沢部落の概要
 2 湯之沢部落の地域社会構造
 3 湯之沢部落における聖バルナバミッションの役割
 4 小括
 第三節ハンセン病者の療養形態概念をめぐって
 1 自由療養地案の登場
 2 帝国議会における議論
 3 栗生楽泉園開設と自由療養地案
 4 栗生楽泉園開園後の湯之沢住民の動向
 第四節地域におけるハンセン病者の受容と排除の論理
 おわりに

第三章近代日本におけるハンセン病者救療事業の特質―聖バルナバミッションを素材に―
 はじめに
 第一節聖バルナバミッションの概要と研究課題
 1 聖バルナバホームの運営
 2 聖バルナバ医院の経営
 3 「未感染児童」・病児の養育
 4 上町への伝道
 第二節聖バルナバミッションの事業展開と財政
 1 基盤形成期(一九一六年春のコンウォール・リー来草から一九二三年末まで)
 2 発展期(一九二四年?一九三〇年末)
 3 衰退期(一九三一年栗生楽泉園建設開始?一九四一年聖バルナバミッション解散)
 4 小括
 第三節聖バルナバミッションに関する通説の再検討
 1 寄付金募集とコンウォール・リーの私財投入について
 2 聖バルナバミッションと海外伝道諸組織の関係
 第四節聖バルナバミッションにおけるハンセン病者の生活
 おわりに

第四章戦前・戦時期大阪におけるハンセン病者の処遇―大阪皮膚病研究所と大阪のハンセン病問題―
 はじめに
 第一節大阪皮膚病研究所の設立
 1 沿革
 2 医療・研究機関としての活動
 第二節大阪皮膚病研究所の治療方針と病者観
 1 通院患者の実態
 2 患者に対する姿勢
 3 隔離政策の論理と皮膚研の「治癒」概念の相克
 第三節桜井方策のハンセン病研究とハンセン病観
 1 初期の罹患者体質研究
 2 「侵入門戸」と感染経路の研究
 3 疫学研究―外から持ち込まれる大阪のハンセン病
 第四節大阪におけるハンセン病者の処遇決定の過程
 1 療養所の受け入れ態勢
 2 関西MTLの活動
 3 病者処遇決定の過程
 おわりに

第五章戦前・戦中期日本のハンセン病医学のヒストリオグラフ
 はじめに
 第一節ヨーロッパにおけるハンセン病医学の進展と国際会議
 第二節近代日本ハンセン病医学の黎明期(一八八〇年代?一九〇九年)
 1 ハンセンのらい菌発見と日本のハンセン病医学の創始
 2 初期のハンセン病論―富士川・土肥の感染力逓減説
 3 遺伝か伝染か(一)―「伝染病である、併ながら又遺伝もする」
 4 治療法と予防法
 5 小括
 第三節研究の分化(一九一〇年?一九二七年)
 1 遺伝か伝染か(二)−「直接遺伝」と「体質遺伝」
 2 大学病院における統計研究の開始
 3 光田健輔―病理学から診断法の探求へ
 4 治療薬の探求
 5 小括
 第四節日本癩学会設立とハンセン病医学(一九二八年?一九四五年)
 1 日本癩学会の設立
 2 疫学調査の方法論的発展
 3 一九三〇年代の体質素因論
 おわりに

第六章補論近代日本のハンセン病の世界史的位置―アシュミードと明治初期日本の疾病環境―
 はじめに
 第一節アシュミードと日本のハンセン病
 1 アシュミードの経歴と第一回ベルリン国際癩会議
 2 後藤昌文父子のハンセン病治療
 第二節ハンセン病の内と外
 1 日本へのキリスト教宣教とハンセン病
 2 アメリカ植民地への日本人移民とハンセン病
 第三節ハンセン病と日本の社会階層
 1 ハンセン病・結核・梅毒
 2 近代初頭における日本のハンセン病者像
 おわりに

終章総括と展望
資料【ハンセン病関連法令抜粋】
あとがき
図表一覧
索引

■引用

■書評・紹介

◇2011年5月27日『週刊読書人』にて書評掲載。
「日本のハンセン病史研究が革命的な前進をする道を描いた傑作―独創的な仕方で歴史研究の視点を示唆」(鈴木晃仁氏評)

■言及

◆立岩 真也 2013/12/10 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.


*更新:小川 浩史
UP: 20130804 REV: 20130812
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