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『<働く>ときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利』
橋口 昌治
・肥下 彰男・
伊田 広行
20100930 解放出版社,126p.
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Last Update:20101104
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橋口 昌治
・肥下 彰男・
伊田 広行
20100930 『<働く>ときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利』,
解放出版社,126p. ISBN-10:4759267336 ISBN-13: 978-4759267334 \1680
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■内容
店長に「来なくていい」と言われたら、どうすればいいの?
労働基準監督署に行くときに注意した方がいいことって何?
失業や妊娠で働けなくなったときに生活を支える方法は?
働いている人も実はほとんど知らない実践的な基礎知識を、
工夫された教材でわかりやすく学べます。
例えば、社長さんの間違った発言に対し、
正しい労働法カードを選んで反論できるでしょうか?
また掲載された12編のロールプレイ教材では、
店長への反論や団体交渉、労基署の申告などを体験します。
教師用解説も充実しているので、
労働法のことがわからない先生や保護者の方でも安心です。
働く人の視点に立った「使える」教材なので、
ぜひ手にとってみて下さい。
■目次
はじめに
1 若者のおかれている状況──労働と自由と生存に着目して
2 労働法と生活保護法の基礎知識
コラム1・高校生が団体交渉!?
◆導入編
教材1 仕事オークション
教材2 労働法カードを使って──こんな社長にはこのカードを出そう!
教材3 労働法○×クイズ
◆ロールプレイ編
教材4 未払い賃金を取り戻そう──
ラーメン屋でアルバイトする田中さんの場合
教材5 有給休暇をとろう──週2日アルバイトする鈴木さんの場合
教材6 不当解雇を撤回させよう──
ラーメン屋で正社員として働く高橋さんの場合
事例・ある女性労働者の闘い
教材7 雇い止めを撤回させよう──
食品工場で期間工として働く渡辺さんの場合
教材8 派遣は何でも屋じゃない!──派遣労働者の高月さんの場合
教材9 パートだからって安すぎる!──
食品工場でパートする田上さんの場合
教材10 セクハラを許さない職場に──事務職の中島さんの場合
コラム2・セクハラとの闘い──岡山の事例から
教材11 労働基準監督署に行ってみよう──
解雇予告手当の未払いを申告する場合
教材12 団体交渉をやってみよう──ユニオンに入って会社と交渉する場合
コラム3・労働法を知ってひどい職場を変えていこう
教材13 労災保険を利用しよう──
仕事でケガしたり病気になったりした場合
教材14 雇用保険をちゃんと使おう──
自分を守る辞め方と失業中の生き延び方
教材15 生活保護のことを知っておこう──
働けないときでも生きていくために
コラム4・過酷な労働実態
おすすめ本
おわりに
おすすめの相談先
■引用
■肥下先生の書かれた「はじめに」より
「先生、僕はもうダメです。先生に会いに行く交通費もありません。」悲鳴にも似たメールが卒業生から届きました。いまから思えば、私と本書をともに執筆することになった関西非正規等労働組合ユニオンぼちぼちのメンバーとを出会わせてくれたのは卒業生の彼の存在であったと言えます。
高校時代の彼はとにかく真面目に何事にも取り組む生徒であった。在学中に母親を亡くした後もしっかりと自分の進むべき道を歩み、私を含めた周りの多くの人たちに影響を与えてくれた生徒だった。卒業後もいろんな面で彼に支えられてきたのはむしろ私のほうでした。
彼は大学卒業後、地元で一旦は就職するも人間関係のもつれから退社することになり、その後人材派遣会社で働いていました。しかし、その会社では違法な二重派遣も常態化し、経営者はいかに安い賃金で日雇い派遣の労働者をこき使い、そして賃金をピンハネして儲けるかに躍起になっていたそうです。「人を人と思っていない」会社に彼は耐えきれずに退社しました。その後、会社からいやがらせを受け続け、彼は精神的にどんどん追いつめられていきました。私はこの状態が続けば、彼は「殺される」かもしれないと感じました。このような状況の彼を物心両面でサポートしていたのが、ユニオンぼちぼちのメンバーでした。彼のように様々な理由で高校卒業(中退)後に、家族・企業(従来型の労働組合を含む)・地域からの支えを受けることができない若者を、ユニオンが労働相談だけでなく生活相談も含めてしっかりサポートしていることを知り、正直私自身のユニオンに対するイメージも大きく変わりました。
彼のように社会に押し潰されそうになっている若者がいまの日本には無数にいるに違いない。連絡のとれていない卒業生や中途退学生徒の中に、同じような状況に陥っていて、しかもどこに助けを求めていいかもわからない者もいるのではないか。在学中に、何を伝え、ともに学んでおくべきだったのか。「学校」の果たせる役割とは何なのか。
■書評・紹介
◇白崎 一裕 2010/11/11 『月刊ボランティア情報』2010年11月号・市民文庫書評
http://kazuhihi.blog39.fc2.com/blog-entry-58.html
以前、私塾をやっていたときに、中学3年生の生徒から「将来のことなんか聞くな!」と言われたことがある。その生徒にとって何のイメージもなく展望もない「将来」は、抑圧以外の何者でもなかったのである。このとき、評者は学校教育とはいったい何なのだろうか?と強い疑問をもった。子どもたちは、学校で「将来のために」というお題目で勉強させられる。しかし、その「将来」とは労働市場になげこまれ社会の部分品となり、消耗品として廃棄される存在として扱われるのだとしたら、まさに「将来」は抑圧ではないか。いまや、学校教育は1990年代以降進行した労働市場の変容に対応していない空虚な内容を教え込むと共に経済原理から要請される人材分配機構に成り下がっている。
しかし、本来、公教育とは、ひとびとが自らつくりあげた法による権利と義務の下に社会を成立させていく堂々たる「市民」を養成するものであったはずである。また、教師は、法の精神を実現する存在としての市民のありかたを、生徒たちとの対話の中から導き出していくファシリテーターであるべきだろう。本書は、「本来の」公教育のありかたを実践し法の精神を身につけた市民でもあり労働者を、社会へ送り出すための実践的教科書である。
副題に「15歳から学ぶ労働者の権利」とあるように、中等教育終了後からすぐに必要となるであろう「労働基準法」「労働組合法」などの労働関連法とセーフティネットとしての「生活保護法」をセットで学ぶことができる。教材は、「知識」を単に覚えるということではないようにということで「ロールプレイ」(ドラマ教育)の方法がとられていて、具体的な労働現場で遭遇される事例に演劇的に参加できる問題解決学習の構成となっている。ロールプレイ編には「未払い賃金を取り戻そう」「派遣は何でも屋じゃない!」「セクハラを許さない職場に」「団体交渉をやってみよう」「雇用保険をちゃんと使おう」「生活保護のことを知っておこう」等々の12場面が登場する。それぞれ「教師用解説」が付さ れていて明晰な法や制度の本質が説明されている。本書は、15歳からとなってはいるが、この教師用解説も含めてすべての大人のための市民教育テキストとして最適なものとなっている。
経済危機が悪化するなか新自由主義的政策が蔓延し、正規・非正規を問わず労働者が使い捨てにされる現在だからこそ、労働現場を変革し人間の尊厳ある暮らし方を擁護するために本書をぜひお読みいただきたい。「今を生きる若者に伝える必要があるのは、労働者としての権利、すぐに使える自衛と連帯の方法」(本書 P10)。すべての大人はこの言葉を深く心に刻む必要があるだろう。
◇「15歳から学ぶ労働者の権利」(人民新聞)
http://www.jimmin.com/doc/1498.htm
「中高生向けの労働法の本」―これが本著のコンセプトだ。
「先生、僕はもうダメです。先生に会いに行く交通費もありません」─この悲鳴にも似たメールを受け取ったのが、著者のひとりで、府立高校の現役教師である肥下彰男さん。メールを送った元生徒は大学卒業後、地元企業に就職するが、人間関係のもつれから退社。再就職して人材派遣会社で働くが、そこは違法な二重派遣が常態化し、「人を人とも思っていない」会社に耐えきれず退社した。ところが、会社は嫌がらせを続け、若者は精神的に追い詰められていったという。
「彼のように社会に押しつぶされそうになっている若者が、今の日本には無数にいるに違いない」─「学校」の果たせる役割とは何なのか? を問うた一つの答えが、本書である。
こうした経緯からも本書は、知識・教養を得るための本ではない。労働者としての権利を学び、生き抜くための「実践的教材集」だ。カードを使った労働法学習、実際の労働相談をもとに、未払い賃金、不当解雇、派遣や団体交渉といったテーマを、ロールプレイや穴埋め式で学ぶワークシートほか、教師用解説も掲載している。
教室での集団学習を想定しているが、自室で読み、ロールプレーをやってみても、十分役に立つだろう。上司や雇い主から無茶を言われ、「何かおかしい」と感じている人は、連れ合いさんや恋人を相手にやれば、もっと効果的だ。
◆ ◆
挿入されているコラムは、勇気を振り絞って権利主張した方々の生の実践報告だ。各地のユニオンが取り組んだ事例もある。会社からイジメられ、職場で孤立させられた労働者が、新たな仲間を得て新たなステップに歩み出す姿は、世知辛い世の中にあって微かな希望を抱かせる。
最後に、著者の紹介をしておくことも、本著を理解する上では助けになるだろう。
◎橋口昌治=「ユニオンぼちぼち」執行委員長。立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー(PD)。
◎肥下彰男=大阪府立西成高等学校教員。
◎伊田広行=立命館大学大学院・先端総合学術研究科非常勤講師。「ユニオンぼちぼち」副委員長。デートDV防止ファシリテーター。(編集部・山田)
◇2010/10/10 『京都新聞』朝刊
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20101010000015
労働者の権利中 高生学んで――非正規・労組員ら教材出版
長引く不況で、雇い止めや派遣切りが相次ぐ中、非正規労働者が加盟する労働組合の組合員らが、中高生が授業で労働法を学べる教材「〈働く〉ときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利」を出版した。不当解雇撤回や未払い賃金取り戻しなど、クイズやロールプレイ形式で分かりやすく学ぶことができる。
「不当解雇」「未払い賃金」どう解決――カードやクイズ形式
非正規等労働組合「ユニオンぼちぼち」(京都市南区)の橋口昌治委員長と伊田広行さん、大阪府立高の教員、肥下彰男さんの共著。雇用情勢が不安定になる中、社会に出たときに役立ててもらおうと、組合員として会社と交渉を重ねた実体験を生かして作成した。
教材はグループで学び合う参加型用で、まず、労働法が書かれたカードや○×クイズで基礎知識を学ぶ。その後、「未払い賃金を取り戻す」「セクハラを許さない職場にする」など、実際に会社と交渉する場面を想定し、シナリオに沿ってやりとりを行う。最初は交渉に失敗し、グループで対策を話し合った後、成功する方法を体験する。
授業で指南役を務める教師のための用語解説も充実している。現在、派遣切りなどで悩んでいる人や一般の人が労働法などを学ぶ教材としても役立つ。橋口副委員長は「労働者の権利について、自由に議論し、知識を身体で覚えてほしい」と話していた。
A4版、126頁、1600円(税別)。問い合わせは解放出版社06(6581)8542.
◇「労働法テキスト:中高生向け、出版 「<働く>ときの完全装備 15歳から学ぶ労働者の権利」」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/job/news/20100924ddm013100031000c.html
厳しい雇用状況が続く中、中高生に労働法を学んでもらおうと、「<働く>ときの完全装備 15歳から学ぶ労働者の権利」(解放出版社)が出版された。授業用テキスト形式で、社会に出て不当解雇や賃金未払いなどの労働トラブルに見舞われても泣き寝入りすることのないよう、具体例を基に分かりやすく解説している。
大阪府立西成高校で反貧困学習に取り組む肥下彰男教諭(50)が、非正規労働者ら個人加盟の労働組合「ユニオンぼちぼち」(京都市)の橋口昌治委員長(32)らと著した。「不当解雇を撤回させよう」「有給休暇を取ろう」「セクハラを許さない職場に」などをテーマに、雇用主との想定問答や○×クイズで構成。教師向けの解説もついている。「ただ法律の知識を伝えるのでなく、実際に使えるものを心がけた」と橋口委員長。肥下教諭は「不当な扱いを受けてもあきらめず、自分の身を守り、声を上げる力を持ってほしい」と話す。
税込み1680円。問い合わせは解放出版社(電話06・6581・8542)。【小林多美子】
■言及
◆ちいにゃん@ラベンダールームin熊本 2011/01/10
http://ameblo.jp/lavenderroom2009/entry-10764171351.html
◆2010/12/15 「ふぇみん」2943号(2010.12.15)
http://www.jca.apc.org/femin/digest/20101215.html
◆熊本労働生存組合(KUMASO) 2010/10/26 「読書の秋」
http://kumamotounion.blog103.fc2.com/blog-entry-37.html
◆澤田 晃宏 2010/10/25 「アルバイト講座 後編」
http://blog.livedoor.jp/manabi_tai/archives/2010-10.html
◆樋端 佑樹 2010/10/23 「湯浅誠氏講演会 「貧困は今?」@松本」
http://blog.goo.ne.jp/toip_hokkaido/e/78ea29ed9c363ce74e362bad6d17a2df
◆白崎 一裕 2010/10/13 「「POSSE〜特集マジでベーシックインカム!?」に応答する その1 萱野稔人さんの場合」
http://bijp.net/mailnews/article/219
◆2010/10/10
http://ameblo.jp/ggecs/entry-10672413773.html
◆澤田 晃宏 2010/10/04 「アルバイト講座 前編」
http://blog.livedoor.jp/manabi_tai/archives/1251048.html
◆法学館憲法研究所 2010/10/04 「書籍『<働く>ときの完全装備 15歳から学ぶ労働者の権利』」
http://www.jicl.jp/now/ronbun/backnumber/20101004_01.html
◆ユニオンぼちぼち 2010/09/27 「『<働く>ときの完全装備』発売中」
http://unionbotiboti.blog26.fc2.com/blog-entry-140.html
◆イダ ヒロユキ 2010/09/21 「『<働く>ときの完全装備』への反応」
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1590/
◆児美川 孝一郎 2010/09/18 「労働法」
http://blogs.dion.ne.jp/career/archives/9705801.html
◆濱口 桂一郎 2010/09/10 「『<働く>ときの完全装備−15歳から学ぶ労働者の権利』」
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/15-532e.html
◆イダ ヒロユキ 2010/08/17 「『<働く>ときの完全装備』 内容紹介」
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/1542/
◆2010/09/07
http://plaza.rakuten.co.jp/akitoku/diary/20100906/
*作成:
橋口 昌治
UP:20100906 REV:20101104, 1105 20110111
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