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『概説 障害者権利条約』

松井 亮輔・川島 聡 編 20100525 法律文化社,373p.
[Korean]

last update:20101027

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■松井 亮輔・川島 聡 編 20100630 『概説 障害者権利条約』,法律文化社,373p. ISBN-10:4589032651 ISBN-13:978-4589032652 \3990 [amazon][kinokuniya] ※ undc r03

■内容

・本書「はしがき」より
障害者(persons with disabilities)は、ながらく構造的な人権侵害を被ってきたにもかかわらず、自由権規約や社会権規約、女性差別撤廃条約等において正面からとりあげられてこなかった。障害者が国際人権法(学)の領域において無視しえぬ存在となったのは、2006年12月に障害者権利条約が採択されてからといってよい。この条約と選択議定書はいずれも2008年5月に発効した。日本政府は2007年に条約に署名したが、2010年3月時点で、まだ批准をしていない。(中略)「障害の普遍性」は、2010年に世界保健機関(WHO)が採択した国際生活機能分類(ICF)にも採りいれられた障害観である。「世界最大のマイノリティ」としてのみならず、このように普遍的存在としても観念される障害者が、その尊厳を尊重され、対等な立場で人間らしい生活をいとなみ、社会に主体的に参加しうるために、障害者権利条約はさまざまな法的義務を国家にかす。このことが、この条約の意義である。私たち編者は、この意義を広い視野から開花させるため、さるべく多くの論点をとりあげて。この条約の内容と日本の課題を多角的に明らかにすることを本書の目的に据えた。

■目次

はしがき
凡例

第1章 障害者権利条約の基礎 (川島 聡
 T はじめに
 U 障害の社会モデル
 V 人権価値の社会モデル的理解
 W おわりに

第2章 障害者の参加 (藤井 克徳)
 T はじめに
 U 参加をめぐる国際動向の経緯と権利条約
 V 政策決定過程への参加
 W 政治的活動への参加
 X おわりに

第3章 障害の概念 (佐藤 久夫)
 T はじめに
 U 障害者権利条約における「障害」、「障害者」の概念
 V 特別委員会での議論の経過
 W 障害の現象、原因、障害者の範囲―諸定義の分析
 X おわりに―わが国の課題

第4章 権利義務の構造 (阿部 浩己)
 T はじめに
 U 障害者排除の力学―二分法言説の実相
 V 平等から多元性の承認へ
 W おわりに

第5章 差別の禁止 (玉村 公二彦)
 T はじめに―人権の確立と差別の禁止・撤廃
 U 障害のある人の完全参加と平等―機会均等化と差別禁止
 V 障害者権利条約における差別禁止条項
 W 「障害に基づく差別」の禁止に関わる課題―差別禁止法の実現とその役割

第6章 生命 (長瀬 修
 T はじめに
 U 第10条の議論の経緯
 V 日本の課題
 W おわりに

第7章 自立生活 (岡部 耕典
 T はじめに
 U 権利条約の射程
 V 障害者自立支援法の課題
 X おわりに

第8章 リハビリテーション (上田 敏
 T はじめに
 U 「権利回復」としてのリハビリテーション理念
 V リハビリテーションに関連する条約項目
 W リハビリテーションの定義に関する問題点
 X リハビリテーションにとっての障害者権利条約の意義
 Y おわりに

第9章 健康 (小澤 温)
 T はじめに
 U 障害者権利条約における「健康」
 V わが国における「健康づくり」をめぐる課題
 W 「公衆衛生と障害者の人権」をめぐる課題
 X おわりに―自己決定に基盤を置いた保健サービスをめざして

第10章 情報アクセス (寺島 彰)
 T 情報アクセス関連規定
 U 我が国の現状
 V 情報アクセス
 W 充実のための取組みのあり方

第11章 教育 (落合 俊郎)
 T はじめに
 U 日本における通常の教育と特別支援教育の課題と本条約の可能性
 V インクルージョンと政治・経済・社会
 W おわりに

第12章 法的能力 (池原 毅和)
 T はじめに
 U 成年後見制度に関する問題意識の変化
 V 第12条の審議過程における議論と第12条の意義
 W 国内法の現状と改善の方向性
 X おわりに

第13章 司法アクセス (大谷 美紀子)
 T はじめに
 U 裁判所の前の平等及び公正な裁判を受ける権利
 V すべての法的手続
 W 年齢に適した配慮
 X 司法関係者に対する訓練
 Y おわりに

第14章 家庭生活と家族 (土屋 葉
 T はじめに―社会の基礎的な集団としての「家族」
 U 家族条項が示す「家族」のあり方
 V 制定過程と「家族」をめぐる論点
 W 現行制度の問題点
 X おわりに

第15章 虐待防止 (東 俊裕
 T はじめに
 U 策定過程
 V 障害者権利条約における「第16条 搾取、暴力及び虐待からの自由」
 W 日本の課題
 X おわりに

第16章 政治的・公的活動 (川ア 和代)
 T はじめに
 U 政治的および公的活動への完全参加
 V 選挙運動の保障
 W 議員活動の保障
 X おわりに

第17章 労働と雇用 (崔 栄繁)
 T はじめに
 U 第27条の概要
 V 日本の課題
 W おわりに

第18章 手話とろう文化 (森 壮也
 T はじめに
 U 権利条約における手話とろう文化ろう者の生活・教育における手話を通じた権利の実現
 V 各国政府による権利条約の施行における手話の認知と法的処置
 W おわりに

第19章 国際協力 (松井 亮輔)
 T はじめに
 U 障害者権利条約における国際協力関連の条文
 V 権利条約へのESCAPの対応
 W わが国のODAによる障害者支援への取り組み
 X わが国に求められる対応と課題

第20章 国内実施 (金 政玉)
 T はじめに
 U 国内実施及び監視
 V 課題の所在

第21章 国際モニタリング (伊東 亜紀子)
 T はじめに
 U 障害者権利条約のモニタリングについての概要
 V 第1回締約国会儀(2008年10月〜11月)
 W 第2回締約国会議(2009年9月2日〜4日)
 X 国際モニタリングとNGO
 Y 国際モニタリングに関する提言
 Z おわりに

資料・障害者の権利に関する条約(2009年政府仮訳)

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:岩田京子
UP:20101027  REV:
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