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『排除する学校――特別支援学校の児童生徒の急増が意味するもの』

鈴木 文治 20100410 明石書店,272p.


■鈴木 文治 20100410 『排除する学校――特別支援学校の児童生徒の急増が意味するもの』,明石書店,272p. ISBN-10: 4750331821 ISBN-13: 978-4750331829 2310 [amazon][kinokuniya] ※ e19.

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 特別支援学校の生徒急増の背景には、手のかかる子ども、むずかしい子どもの、通常学校からの排除がある。その実態と要因を元川崎市麻生養護学校校長である著者が実体験や資料から明らかにするとともに、真のインクルージョン社会とは何かを問いかける。
内容(「BOOK」データベースより)

 特別支援学校に通う児童生徒が急増し、現場では混乱が起きている。1学級に定員以上の児童生徒を在籍させ、それでも教室が足りず、会議室や相談室を教室に転用。学校を新設しても、それを上回る勢いで生徒が増加している。子どもたちの教育環境は低下する一方だ。なぜ、特別支援学校に児童生徒が集まってくるのか。養護学校の元校長であり、牧師でもある著者が、現場での豊富な体験をもとに、学校の「排除」の問題と、理想の教育や社会はどうあるべきかを語る。
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■目次

第1章 なぜ特別支援学校の児童生徒は急増しているのか
 特別支援学校の過大規模化
 過大規模化の背景にあるもの
 特別支援教育への無理解
 特別支援教育をめぐる排除の実態
第2章 学校の非寛容
 高等学校教育を考える
 学校と警察との連携が意味するもの
第3章 特別支援教育から支のに援教育へ
 障害と特別な教育的ニーズ
 特別支援教育の視座から見える教育課題
 神奈川の支援教育
第4章 「自立活動」必修化のすすめ
 特別支援教育における自立活動の役割
 すべての児童生徒に自立活動の授業を
第5章 インクルージョン社会の実現に向けて
 インクルージョンとは何か
 社会変革を教育目標に掲げた学校

■引用

第1章 なぜ特別支援学校の児童生徒は急増しているのか
 第4節 特別支援教育をめぐる排除の実態
 「特別支援学校は高校の指導力不足教員のたまり場?

 「[…]生徒数が減少の一途をたどって、高校の再編整備が行われるようになった。そこには特色のある学校づくりが掲げられ、教育内容が検討された。地域の2校が統廃合されて、廃校になった学校の多くは、特別支援学校となった。
 高校の再編整備は、大量に過員となった教員をどうするかという新たな問題を引き起こした。大量採用した高校教員の転勤先として、過大規模化する特別支援学校に白羽の矢が立った。障害のある子どもたちを教育することに意欲があろうとなかろうと、過員状態を解消する必要があったのだ。そのようなわけで、高校から大勢の教員が特別支援学校に送りこまれてきた。最初から特別支援教育に熱い思いをもってなった教員とは意欲が異なり、なかには学校に適応できない教員も多く見られた。
 特別支援学校校長会で、異校種間交流によって教員となった人たちの実態調査を行った。その結果、高校からの転勤者のうち、1年で高校に戻した者は、過去3年間で30人を越えた。つまり1年で10人を高校に戻していることになる。特別支援学校に適応できないという理由だった。
 開校した新設後の1年目、私は高校からの転勤者を8名受け入れた。そのうち2名をメンタルや指導力不足の問題で本校での指導は不可能と判断して1年後に戻した。[…]」(鈴木[2010:94])


UP:20120413 REV:
障害者と教育  ◇身体×世界:関連書籍 2010-  ◇BOOK
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