『考える力が身につく社会学入門』
浅野 智彦 編 20100224 中央出版,271p.
last update: 20111122
■浅野 智彦 編 20100224 『考える力が身につく社会学入門』,中央出版,271p. ISBN-10:4806134880 ISBN-13:978-4806134886 \1500 [amazon]/[kinokuniya] ※ s
■内容
出版社/著者からの内容紹介
本書は、「社会学」という学問の基本的な考え方や
ものの見方を紹介することにあります。
けれども、普通の教科書のように社会学の概念や理論を体系的、
抽象的に整理し、解説していくという形式ではありません。
むしろ本書では、
「社会学=社会を俯瞰的に見るためのツール」という
スタンスをとり、現代社会に起こっているさまざまな現象を、
「社会学」を通すことによって、どのように見えるのかを
解説します。
・ビジネス書(自己啓発書)による「自分磨き」は、なぜここまで広まってしまったのか?
・現代人の人間関係は「薄く」なっているのか? また、どのような「つきあい方」が望ましいのか?
・日本の「少子高齢化」はなぜ生まれ、年金問題等も含め、これからどうなってしまうのか?
・派遣切りは、「自己責任」か「社会の責任」か? また、ニートが増えてしまったのはなぜなのか?
・『オーラの泉』といった社会的な流行は、どのようなメカニズムで起こるのか?
などなど、日常生活に関連した社会学のテーマを、
やさしい言葉でわかりやすく解説します。
内容(「BOOK」データベースより)
「社会学」がわかれば「今」がわかる。「人間関係」「婚活」「少子高齢化」「ニート」。世の中の流れ、仕組みが見えてくる。
■目次
はじめに
「生きるための道具」として、社会学を使う
「先の見えない時代」への不安
社会学は「現代社会を見るためのレンズ」
第1章 社会学でわかる「私」という存在
1 「自分探し(磨き)」を強いる現代社会
社会学への招待
「自分探し」に夢中な人々
なぜ、人々は「自分探し」をするようになったのか?
「ゲームをうまくやること」「ゲームのルールを知ること」
2 「二つの関係」から成り立つ私
「他者との関係」から成り立つ私
「私を中心としたネットワーク」と「私」
「私」と「鏡に映った私」は何が違うのか?
3 「複数の私」を生む二つの要素
「もっと○○があるかもしれない」という意識の広まり
「私」という存在が不安定になっていく
「伝統」という枠組みが崩壊していく
「よりどころ」が失われていく
4 「終わりのない自分探し」のはじまり
ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
「第二の個人化」が自由をもたらす
「キャラを立てる」という戦略
「終わりのない自分探し」を余儀なくされる
5 成熟の新しい形へ
これからの社会の流れと「私」について
第2章 社会学でわかる「人間関係」
1 社会学から見た「人間関係」とは?
「社会学の視点」から人間関係を考える
人間関係には「普遍的な側面」と「社会的な側面」がある
社会によって「人間関係の常識」は異なる
「理解しがたい他者」と共存するには?
2 人間関係は希薄化したのか?
現代人の「対人関係能力」は低下している?
「濃密な人間関係」を求める現代人
3 「現代社会の人間関係」をつくるさまざまな要素
「伝統重視」から「個人重視」へ
個人の「人格」が大きな意味を持つ
「人間関係のルール」は一つではない
「人間関係マニュアル本」が売れる理由
携帯電話やメールは人間関係を変えた?
「全面的なつきあい」と「部分的なつきあい」のバランス
4 「三つの可能性」からこれからの人間関係を考える
第一の可能性、「精神的な満足感」に基づく関係へ
「純粋な関係性」が持つ不安定さ
第二の可能性、「その場限りの欲求」に支配される
第三の可能性、「古きよき人間関係」に戻る
「伝統的な人間関係」から「新しい人間関係」へ
第3章 社会学でわかる「家族」
1 『ALWAYS 三丁目の夕日』のヒットと現代家族
「家族」とは何か?
「すでにある家族」と「これからつくられる家族」
2 社会とともに変化する「子ども像」
「家族の個人化」とは?
「小さな大人」から「無垢で愛されるべき存在」へ
児童虐待は「増えている」のか?
3 変化し続ける「恋愛観」と「結婚観」
「婚活」時代の到来?
「できちゃった結婚」が生まれた背景
「婚活」と「できちゃった結婚」からわかること
世界各国の自由な結婚や恋愛の形
多様な恋愛や結婚の形が広がった後は……
4 「専業主婦」に未来はあるのか?
「近代家族」とは何か?
「女性は社会進出を果たした」?
「専業主婦」は近代によって生み出された
5 「少子高齢化」と日本の行く末
少子化と晩婚化の密接な関係
高齢化社会と介護の現実
少子高齢化への特効薬はあるのか?
6 「家族の個人化」=「わがまま」?
みんなが「わがまま」になっている?
家族を「支援要因」として考える
第4章 社会学でわかる「会社と仕事」
1 〈普通〉に働くことが困難な時代――「自己責任」か「社会の責任」か?
「派遣切り」は他人ごとか?
「正社員でいること」が難しい時代
自己責任論の問題点――ニートは怠け者か?
「ニート」が増加した理由
「やりたいこと」にこだわってはダメなのか?
「やりたいこと」を求める現代社会
2 日本型雇用システムは崩壊したのか?
日本型雇用システムとは何か?
なぜ日本型雇用システムが成立したのか?
社会学から見た終身雇用と年功賃金
徐々に変化してきた日本型雇用システム
日本の雇用システムが変化した理由
3 「正社員が減る」と、社会はどうなるのか?
大きな経済格差
「豊かな社会」における貧困
セーフティネットの格差
ほんとうに正社員は勝ち組か?
標準モデルという前提の見直し
4 新しい働き方へ――絶望を希望に変えることは可能か?
従来の日本型雇用システムへ回帰すればよいのか?
社会保障の二つの立場トベーシック・インカムとワークフェア
ベーシック・インカムとは――すべての人に「最低限度の生活」を
ワークシェアとワーク・ライフ・バランス
働くこととの「純粋な関係」へ
第5章 社会学でわかる「文化・流行」
『オーラの泉』の流行を社会学的に考える
1 「文化」を社章的に見る
文化とは何か?
「ちょっと斜めからの視点」で世界を眺める
2 「流行」はどのように生まれるのか?
流行を知れば、社会がわかる!?
流行の持つ「三つの特性」
人はなぜ流行に乗るのか?
「マイブーム」が表す現代社会
3 スピリチユアリティの流行から何が見える?
スピリチュアリティ・ブーム」って?
そもそも「スピリチュアリティ」って何?
なぜ「スピリチュアリティ」は流行したのか?
「神秘性」が人々を動かした?
「カウンセラー」という肩書の力
「スピリチュアル」でほんとうの自分を知る
4 なぜ人は自殺するのか?
自殺大国ニッポン
現代社会における自殺の原因トップ3
精神疾患と自殺の深い関わり
女性より男性の自殺率が高い理由
自殺対策を社会学的に考える
文化・流行から見えてくる社会の新しいカタチ
おわりに
参考図書
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:小辻 寿規