この問題は国会でもとりあげられる。官僚は二〇〇三年七月に設置された「高齢者リハビリテーション研究会」の報告書(高齢者リハビリテーション研究会[200401]、市販もされ、また厚生労働省のHPにかつて掲載されていたが、現在はあったはずの場所にない)において専門家たちが日数制限を支持していると答弁した。
 その研究会の座長が上田であり、また大川は委員だった。多田たちは、その研究会の議事録には日数制限の話は出てこないことを言い、政府を批判するとともに、にもかかわらずこの研究会(のメンバー)が沈黙していることを批判する。三つ引用する。

 「リハビリ打ち切りを黙認した、厚生労働省の無責任な御用団体、「高齢者リハビリテーション△288 研究会」の文書の「はじめに」にも、「リハビリテーションは、単なる機能回復訓練ではなく、心身に障害を持つ人々の全人間的復権を理念として、潜在する能力を最大限に発揮させ、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にし、その自立を促すものである。したがって、介護を要する状態となった高齢者が、全人間的に復権し、新しい生活を支えることは、リハビリテーションの本来の理念である」とある。厚生労働省が、今度の改定で参考にしたという、「高齢者リハビリテーション研究会」の公式文書である。打ち切りを黙認してしまった現実と、何とかけ離れた主張を、ぬけぬけと書いているものである。」(多田[200611]→多田[200712:84-85])

 「何よりも、厚労省にリハビリ打ち切りの口実を与えたといわれる、「高齢者リハビリテーション研究会」と称する医学者の責任を問わなければなりません。自分がいってもいないことを根拠にされて、こんな制度が作られたのに、黙ったままなのです。私は実名をあげて告発しようと思います。」(多田[200704]→石牟礼・多田[200806:108-109])

 「この措置が決められたのは、「高齢者リハビリ研究会」の専門家によって、「効果の明らかでないリハビリが長期間にわたって行われている」という指摘があったからだと言われている。これも真っ赤な嘘であったことが後日わかった。[…]そんな形で都合よく利用され△289 ていても、専門家と称する「高齢者リハビリ研究会」のメンバーのリハビリ医は、一言も反対しなかった。腰抜けというほかない。
 この「高齢者リハビリ研究会」は、日本のリハビリ医学の先駆者である上田敏氏が座長を務めている。鶴見和子さんに発病一年後からリハビリを実施し、何とか歩行機能を回復させた功績があるのに、一般患者には、半年で打ち切るという案に合意したとは考えられない。またそんな証拠はどこにもなかった。それなのにこの偽の合意が、このように患者を苦しめていることに対し、一言も反対の声を上げないのは、学者として、また医師としての良心に恥じないのだろうか。」(多田[200712:18-19]→多田[201707:124])