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『環境倫理学』



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鬼頭 秀一・福永 真弓 編 20091224 『環境倫理学』,東京大学出版会,287p.,ISBN-10: 4130623117 ISBN-13: 978-4130623117 3000+ [amazon][kinokuniya] ※ ee.

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内容紹介
〈人間vs.自然〉では環境問題は解決できない。「自然」「生命」「精神」などの象徴的なテーマから、「持続可能性」「外来生物」、そして「地球温暖化」など現代の地球環境問題まで、すべての二項対立図式を超えて、私たちがこれから豊かに生きていくための環境倫理の新しい地平を拓く!
レビュー
日本を代表する執筆陣が結集して、環境倫理の思想、現場、政策を斬新な角度から論じ尽くした決定版! --森岡正博(第1章執筆者)

気候変動や生物多様性を語る世界の歴史はまだ浅い。自然破壊と科学の二重螺旋が描く環境倫理の現在像! --松田裕之(第15章執筆者)

■編者

鬼頭秀一[キトウシュウイチ]
1951年愛知県に生まれる。1984年東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。専門、環境倫理学

福永真弓[フクナガマユミ]
1976年愛媛県に生まれる。2008年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了、博士(環境学)。現在、立教大学社会学部助教。専門、環境倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

序章 環境倫理の現在――二項対立図式を超えて(鬼頭秀一)
第I部 環境倫理が語れること
1 人間・自然――「自然を守る」とはなにを守ることか(森岡正博)
2 自然・人為――都市と人工物の倫理(吉永明弘)
3 生命・殺生――肉食の倫理,菜食の論理(白水士郎・しろうず・しろう)49-66
4 公害・正義――「環境」から切り捨てられたもの/者(丸山徳次)
5 責任・未来――世代間倫理の行方(蔵田伸雄)
6 精神・豊かさ――生きものと人がともに育む豊かさ(福永真弓)
第II部 環境倫理のまなざしと現場
7 「外来対在来」を問う――地域社会のなかの外来種(立澤史郎)
8 「持続可能性」を問う――「持続可能な」野生動物保護管理の政治と倫理(安田章人)
9 「文化の対立」を問う――捕鯨問題の「二項対立」を超えて(佐久間淳子)
10 「自然の再生」を問う――環境倫理と歴史認識(瀬戸口明久)
11 「地球に優しい」を問う――自然エネルギーと自然「保護」の隘路(丸山康司)
Box1 野生復帰を問う-野生復帰において人はどこまで操作可能か(池田 啓)
Box2 政策からこぼれ落ちるローカル知――ウチダザリガニと人間の環境問題(二宮咲子)
第III部 環境倫理から生まれる政策
12 家庭から社会へ――持続可能な社会に続く道を地球温暖化問題から考える(井上有一)
13 知識から知慧へ――土着的知識と科学的知識をつなぐレジデント型研究機関(佐藤 哲)
14 政策から政/祭へ――熟議型市民政治とローカルな共的管理の対立を乗り越えるために(富田涼都)
15 安全から危険へ――生態リスク管理と予防原則をめぐって(松田裕之)
16 制御から管理へ――包括的ウェルネスの思想(桑子敏雄)
終章 恵みも禍も――豊かに生きるための環境倫理(鬼頭秀一)

■書評・紹介・言及

◆序章 環境倫理の現在――二項対立図式を超えて(鬼頭秀一)
 「従来、日本では「公害」の問題が「公害から環境問題へ」というかたちで「終わった」として消し去り、そこでもっと検討すべき問題を、二項対立図式的な「環境問題へと集約してしまった。」(p.9)

◆3 生命・殺生――肉食の倫理,菜食の論理(白水士郎・しろうず・しろう)49-66
 「こうした身体性と歴史例にもとづく肉食文化の知識を欠落させた「肉食の倫理性」の議論は、説得力の欠けたあやうい抽象論に陥る危険性はないだろうか。少なくとも私は、同じ大阪でそんなことにも無知なままシンガーの議論などを得々と紹介してきたことを恥ずかしく思う。」()

■書評・紹介・言及

◆立岩 真也 2013 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版

◆立岩 真也 2022/12/20 『人命の特別を言わず/言う』,筑摩書房
◆立岩 真也 2022/12/25- 『人命の特別を言わず/言う 補註』Kyoto Books

 第2章★13 「日本での肉食の歴史については、第1章でも紹介した生田武志の著書の前篇X「屠畜と肉食の歴史」(生田[2019:82-133])。日本仏教における肉食妻帯について『肉食妻帯考――日本仏教の発生』(中村生雄[2011])。また、動物解放の議論に肯定的であったが、「そういえば」、と、肉食の歴史や文化があることに思いを致すことになるという順序の文章もいくつかある。例えば、シンガーらの説を紹介した後(日本の関西の)肉食の文化に言及する白水士郎[2009]。『環境倫理学』(鬼頭・福永編[2009])に収録されている。各地域・各宗教における(幾種かの)動物の肉を食べることの禁忌に関わる歴史については『肉食タブーの世界史』(Simoons, Frederick J. [1994=2001])。」


UP:20130223 REV:20230103
環境倫理学  ◇鬼頭 秀一  ◇BOOK
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