『性同一性障害のエスノグラフィ――性現象の社会学』
鶴田 幸恵 20091020 ハ−ベスト社,265p.
■鶴田 幸恵 20091020 『性同一性障害のエスノグラフィ――性現象の社会学』,ハ−ベスト社,265p. ISBN-10: 4863390157 ISBN-13: 978-4863390157 \2835 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
■目次
序章 目的・フィールドの概要・議論の前提
1 はじめに
2 記述するデータの概要
2.1 本性が扱うフィールドの範囲
2.2 フィールドワークの経験
2.3 性同一性障害である人びとの経験から性現象を記述する
2.4 調査概要
3 本書の概要
第一部 「外見」以上のものを見る――「女/男であること」を見る
1章 性別判断における外見を「見る」仕方
1.1 はじめに
1.2 既存の研究における性別判断の説明型式
1.2.1 Goffmanに依拠した性別判断の説明型式
1.2.2 「女/男であること」の絶え間ない達成に対する判断の説明型式
1.2.3 消極的な「手がかり」の特定という説明型式への転換
1.3 既存の説明型式の問題点
1.4 いかなる仕方で性別は見られているのか
1.4.1 規範としての直感
1.4.2 「見る」仕方の多様性
1.5 おわりに
2章 峻別されるべき二つの「見る」仕方――カテゴリーの「一瞥による判断」と「手がかりによる判断」
2.1 はじめに
2.2 所与とされる「ふつうの外見」
2.2.1 Goffmanのパッシングの論理
2.2.2 Garfinkelのパッシングの論理
2.3 他者をあるカテゴリーに属すると判断する方法とパッシング
2.4 パッシングの経験に関するデータから析出される論理
2.4.1 始まりは“違和感”
2.4.2 女の活動だとされることをすることに対する“罪悪感”とその克服
2.4.3 “中途半端”な外見の回避
2.4.4 一貫した判断がなされることの追求
2.5 パッシング実践に関する既存の説明の不適切性
2.5.1 性同一性障害の当事者は何をしていたのか
2.5.2 既存の説明は、いかにして不適切なものになってしまったのか
2.6 おわりに
3章 二つの「見る」仕方の混同がまねく終わりなき「女らしさ」の追求
3.1 はじめに
3.2 「ふつうの外見」であることと「変な外見」であること
3.2.1 「ふつう」と「変」いかに峻別されるのか
3.2.2 「端的な女の外見」をしていないことに対する負のサンクション
3.3 他者のまなざしに促される“パス”の追求
3.4 「ふつう」でない/「変」だというまなざしの作用
3.4.1 “女装”だとまなざされることの回避
3.4.2 “中途半端”な外見に対する性別を推し量るまなざしの回避
3.5 おわることのない“パス”という実践
3.6 「十分/不十分」から「完全/不完全」へ
3.7 おわりに
4章 性別カテゴリーの特異性が現れる「視界の秩序」
4.1 はじめに
4.2 「性別を見る」という実践の既存の説明形式の再確認
4.3 「他者の性別をきてはならない」という規範
4.4 「視界の秩序」における性別カテゴリー
4.5 「外見」以上のものをみる実践
4.6 おわりに
第二部 成員資格としての「らしさ」――「正当」であるための基準
5章 「心の性」を見る実践
5.1 はじめに
5.2 性別カテゴリーの可視性をめぐる医学の論理
5.3 「選別」はいかなる“基準”によってなされているのか
5.4 外見や振る舞いを「心の性」の「手がかり」として見ることの困難
5.5 おわりに
6章 「正当な当事者」とは誰か(性同一性障害であるための基準)
6.1 はじめに
6.2 性同一性障害カテゴリーの執行のされ方の変遷
6.2.1 カテゴリーの自己執行/他者執行
6.2.2 性同一性障害カテゴリーの自己施行/他者執行
6.3 正当なTS/TGとは誰か
6.3.1 カテゴリー使用から基準を見る
6.3.2 重症度――医療への依存度
6.3.3 犠牲の程度
6.3.4 女/男らしくあることへの努力
6.3.5 社会性のある人=女/男らしさの一貫した呈示
6.4 おわりに
7章 女装者との差異を見いだす――MtFTS/TG であるための基準
7.1 はじめに
7.2 MtFTS/TG カテゴリーの登場
7.3 スティグマとしての「女装者」
7.4 「女装者」と差異化する基準
7.4.1 “身体違和”
7.4.2 日常性・恒常性への志向性
7.4.3 男と女の行き来ができなくなる
8章 「金八」放送以降の知識の広まりは何をもたらしたか――“なんちゃって”ではない FtM であるための基準
8.1 はじめに――“猫も杓子もFtM”
8.2 “なんちゃって”の登場
8.2.1 “モラトリアム”期間の産出
8.2.2 困った存在の意味
8.3 男らしさ
8.3.1 「男」としての一貫性
8.3.2 「自然」な「男らしさ」
8.4 ヘテロセクシュアリティ――「レズビアンのタチ」と差異化
8.4.1 男性ホルモン注射を打つ“真剣”さ
8.4.2 レズビアンとの恋愛の拒否
8.5 おわりに
終章 ここまでのまとめとこれから・謝辞
1 はじめに
2 性別判断と女/男らしさ
3 当事者同士の轍軋轢と性別規範
4 応用可能性
5 今後の展開
6 性同一性障害という医療概念の功罪
7 謝辞
付記 フィールドの動向とインタビュー調査対象者の全体像
1 はじめに
2 性同一性障害コミュニティの歴史
3 コミュニティの動き
3.1 1995-1999年――性同一性障害概念の登場から最初のSRS執刀まで
3.2 2000-2003年――戸籍の性別変更の提起から「特例法」の執行まで
3.3 2004-2007年――「特例法」施行移行
3.4 2007年から――本書のための調査以降
4 インタビュー調査対象者の傾向
註
引用文献
初出一覧
索引
本書で使用される略称
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治