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『黒い大西洋(ブラック・アトランティック)と知識人の現在』

市田 良彦、ポール・ギルロイ、本橋 哲也 著、小笠原 博毅 編 20090617 『黒い大西洋(ブラック・アトランティック)と知識人の現在』,松籟社,272p.

last update: 20110204

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市田 良彦、ポール・ギルロイ、本橋 哲也(著)、小笠原 博毅(編) 2009/06 『黒い大西洋(ブラック・アトランティック)と知識人の現在』,松籟社,272p. ISBN-10: 4879842702 ISBN-13: 978-4879842701 \2200+税 [amazon][kinokuniya]

■内容

*松籟社のウェブサイトより [外部リンク] http://shoraisha.com/modules/tinyd2/index.php?id=39

「日本のカルチュラル・スタディーズを、徹底的にポストコロニアルの視点から鍛え上げてきた本橋哲也と、カルチュラル・スタディーズに対する最も容赦ない、しかし数少ない「まともな」批判者でありながら、決して離れきらずに伴走を続けてくれる市田良彦。限りなく射程の広い、壮大な跳躍をみせるそのディアスポラ理論の中心に、常に音楽を、うたを置いてきたポール・ギルロイと、ジャック・ランシエールを手がかりとしながら、ブルースを「プロレタリアの夜」のうたとして聴き込み、それを解釈体系化された文化から引き剥がそうとする市田良彦。世界十二カ国語以上に翻訳されているカルチュラル・スタディーズのパラダイム・メイカーの一人であるポール・ギルロイと、ポストコロニアル批評が単なる翻訳産業によってパッケージ化された言葉の商品ではなく、世界を現実的に生きるための手段であることを訴え続けてきた本橋哲也。それぞれの独自の言説世界が、それぞれに交接し合っている。その三人が、言葉を投げあい、共鳴させ、反響させる、これはそういう稀有な機会の記録であり、それを出発点として、「文化」をめぐる先鋭的な議論へと読者諸氏を誘うきっかけである。」(「まえがき」より)


 本書の第1部「黒い大西洋からの声」では、『ブラック・アトランティック』の著者ポール・ギルロイ氏、『ランシエール』(白水社)の著者市田良彦氏、そして『ポスト・コロニアリズム』(岩波新書)の著者本橋哲也氏の3氏による議論が繰り広げられ(2007年10月に神戸大学で開催されたシンポジウムをもとに構成)、3氏がそれぞれの視点から『ブラック・アトランティック』を丹念に読み込み、「黒い大西洋」の今日的な意義を模索し、その基盤としての「文化」の位置づけを再考します。
 
 第2部「黒い大西洋、再び」では、ギルロイ自身と上記の問題提起についての「解説」が展開されます。前半のインタビュー(フランスのムーヴメント誌より訳出)では、『ブラック・アトランティック』が成立するまでの経緯とともに、それ以降の仕事の展開や、最新の著書『ポストコロニアルなメランコリー』での問題意識が披露されます。

 さらに、編者の小笠原博毅氏による解説(書き下ろし)では、著者本人によって終焉が宣言されたギルロイの「黒い大西洋」と伴走しつつ、上記の問題提起を受け止め、「黒い大西洋」と「文化」の概念の今日的な意義を模索します。ここでは、上野俊哉氏による「ディアスポラ」に関する一連の仕事(『ディアスポラの思考』(筑摩書房)、「ディアスポラ理論における歴史の文体」(『歴史を問う』(岩波書店)所収))が、重要な手がかりとなり、これを参照しつつ、ユダヤ人の離散の経験に由来する「ディアスポラ」が、抽象的な移動状態(=ノマド)を単純に称揚するための概念としてではなく、ルーツとルートとの緊張関係から浮かび上がる、近代の資本主義に普遍的な状況を示すための概念として描き出されます。グローバルな移動が活発になり、国家という枠組みが弱体化したように見えても、実際には、移動がキャンプ間の移動へと切り詰められている現状。その中で弱体化していった「黒い大西洋」を、「ディアスポラ」の概念の二重性を強調することよって救い出し、その意義を再度打ち立てる試みが展開されます。

■著者

市田良彦(いちだ・よしひこ):1957年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。
ポール・ギルロイ(Paul Gilroy):1956年生まれ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス&ポリティカル・サイエンス(LSE)社会学部教授。
本橋哲也(もとはし・てつや):1955年生まれ。東京経済大学コミュニケーション学部教授。
小笠原博毅(おがさわら・ひろき):1968年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科准教授。

■目次

まえがき

T 黒い大西洋からの声
・〈知識人は存在しない〉あるいは思考としてのミメーシスについて(市田良彦)
・文明主義に抗う(ポール・ギルロイ 小笠原博毅訳)
・オリエンタリズムと知識人の位相――文化研究と批評理論の壁は崩壊したか(本橋哲也)
・ディスカッション 音楽とコンヴィヴィアリティ――文化政治は終わったのか?(市田良彦+ポール・ギルロイ+本橋哲也(司会:小笠原博毅))

U 黒い大西洋、再び
・インタビュー 黒い大西洋からポストコロニアルなメランコリーへ(ポール・ギルロイ+ジム・コーエン+ジァド・ランガール 箱田 徹訳)
・解説 海流という〈普遍〉を航海するポール・ギルロイ(小笠原博毅)

あとがきという名の謝辞
索引


*作成:箱田 徹
UP:20110204
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