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『精神科養生のコツ(改訂)』

神田橋 條治 20090520 岩崎学術出版社,232p.

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last update:20160809

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神田橋 條治 20090520 『精神科養生のコツ(改訂)』,岩崎学術出版社,232p. ISBN-10:4753309045 SBN-13:978-4753309047 2,300+ [amazon] [kinokuniya]

■内容

 患者の自助活動に役立つアイディアの宝庫,臨床現場汎用性のある助言と自己流が生まれるようにとの工夫とが織り成す,稀有な実践の書。臨床現場での工夫をあらたに加え大幅改訂。

■目次

改訂版のまえがき

初版のまえがき

第一章 「気持ちがいい」を信じる
 1.練習の第一段階
 2.練習の第二段階

第二章 養生から治療まで
 1.練習の第一段階 内側へ注意を向ける
 2.練習の第二段階 生物としての活動を加減する

第三章 こころの病気ではなく,脳の病気である
 1.こころと脳の関係
 2.脳の状態を意識する
 3.脳のより良い状態を工夫する

第四章 自然治癒力の働きを見つける
 1.感覚の分野
 2.運動の分野
 3.生理的な分野
第五章 過去をまとめ,未来を目指す
 1.自分史を作る
 2.愛する・夢
 3.花

第六章 指テストと舌トントン
 1.リング・テスト
 2.指タッピング法
 3.入江フィンガーテスト
 4.舌トントン
 5.脳の直接感覚
 6.味わう

第七章 自分で整体
 1.わたくしたちの骨格
 2.体を緩める
 3.O脚修正
 4.上半身の修正(踵眺めの1)
 5.下半身の修正(踵眺めの2)
 6.ワニの体操
 7.水中のラッコ
 8.うつ伏せ寝
 9.ストレッチ・ポール
 10.枕の工夫

第八章 気と経絡
 1.背中に日光
 2.往復運動を円運動に変える「8の字回し」
 3.掌で気功
 4.頭の邪氣をとる
 5.体の気功
 6.人生の気功
 7.腹式呼吸
 8.経絡を気でつなぐ
 9.数 の子の気功
 10.焼酎風呂
 11.天地につながる

第九章 フィードバック
 1.転写水療法
 2.自分の声を脳に入れる
 3.布団に潜る
 4.日記の読み返し
 5.鏡の利用
 6.痛み
 7.心理療法

第十章 代替医療・民間療法・健康法
 1.漢方薬
 2.鍼灸
 3.民間薬やサプリメント
 4.ホメオパシー
 5.アロマセラピー
 6.バッチ・フラワー・レメディー
 7.体からこころへ
 8.電磁波防御

第十一章 いろいろな症状への対処
 1.頭痛
 2.めまい
 3.冷え性
 4.リストカット
 5.フラッシュバック
 6.発達障害
 7.血栓症

第十二章 いろいろな「病気」について
 1.精神科医療とのつきあいの心得
 2.精神科の病気の本態について
 3.統合失調症
 4.神経症
 5.うつ病
 6.双極性感情障害
 7.性格障害
 8.その他

あとがき

■引用

 精神科医として治療をしているわたくしの担当患者たちのために、療養の手引きとなるパンフレットのようなものを作りたいと思いはじめたのは、もう、二十年ほど前になります。治療とは結局のところ、生物としての自然治癒力を助けているだけであり、患者自身が自分の内にある自然治癒力と協力し、同時に専門家の助力と協力してゆくことが大切だ、と思ったからです。ところがその後、専門家が行った治療の失敗や副作用でかえって不幸になっているらしい患者をときどき見かけ、考えが少し変わりました。どのような治療でも、患者自身の養生がまず基本にあり、専門家の治療はそれに協力するかたちになるのが正しい、と思うようになったのです。医療の他の分野では、患者のための療養の手引きは沢山でています。どうして精神科の患者のためにはそうした本が出ていないのでしょう。はじめの頃わたくしは、精神科の患者は小児科の患者や痴呆の人と同じで自分の治療に参加することのできない人だ、と専門家が思い込んでいるからだと憤慨して、ぜひ手引き書をつくろうと意気込んでいました。いざ書こうとしてみると、とんでもない思い違いをしていたことに気がつきました。精神科の治療の現場には、確かなことがとっても少ないのです.、ですから、すべての患者に向かって「こうしたらいいですよ」と助言することなどできないのです。精神科治療の実際は、一人ひとりの患者その人に合う治療や養生を探してゆく、手探りの作業なのです。確かな助言が無いという現実と、手探りの現場だからこそ、患者がその作業に参加するためのコツが必要なんだ、との思いとのあいだで、歯がゆい月日が過ぎてゆきました。そしてわたくしは還暦を迎えました。いくら待っても、確かな助言が書ける日など来ないことだけが確かとなりました。だけど、患者の自助活動が大切だと考えるようになって以来、わたくしは、さまざまな助言や提案をして、患者とともに手探りで工夫してきました。そのなかには、わりに多くの患者に役立ったアイデアが溜まってきてはいます。とりあえず、それらを書き残しておけば、何もないよりはましなヒント集になるだろうと考え、書きはじめることにしました.、ですから、「養生のコツ」なんて、気恥ずかしいのですが、わたくしのコツ・シリーズ三部作の締めくくりにしたいのでこの書名にしたのです。「多くの患者に役立った」とは、すべての患者に役立ったわけではないという意味です。ですから、この本を読んでくださっているあなたに役立つかどうかを、ちょっと試してみて決めてください。(旧版「まえがき」より)

■書評・紹介

■言及



*作成:焦 岩
UP: 20160809
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