借家から持家へ、小さな家から大きな家へ、マンションから一戸建てへ……戦後日本では、住まいの「梯子」を登ることが標準のライフコースとされ、政府・企業はこのような「普通の家族」を支援し、そこから外れた層には冷淡な保守主義の姿勢をとってきた。ところが、時代が変わり(経済停滞、少子・高齢化、未婚と離婚の増大……)、さまざまな人生のかたちが現れ、「持家社会」は動揺している。
さらに、90年代末~住宅システムが市場化され、住宅資産はリスクをともなう不安定なものになりつつある。ローン破綻のあいつぐ事態が、これから日本で起こらないとも限らない。
本書は、グローバルな潮流をふまえ、住宅システムの変遷を検証する。そして、日本社会が新自由主義から何処へ向かうべきかを考察する。
借家から持家へ、小さな家から大きな家へ、マンションから一戸建てへ…。戦後日本では、住まいの「梯子」を登ることが標準のライフコースとされ、政府・企業はこのような「普通の家族」を支援し、そこから外れた層には冷淡な保守主義の姿勢をとってきた。ところが、時代が変わり(経済停滞、少子・高齢化、未婚と離婚の増大…)、さまざまな人生のかたちが現れ、「持家社会」は動揺し始めた。さらに、90年代末から住宅システムが市場化され、住宅資産のリスクは増大した。ローン破綻があいつぐ事態が、これから日本で起こらないとも限らない。本書は、グローバルな潮流をふまえたうえで、住宅システムの変遷を検証する。そして、日本社会が新自由主義から何処へ向かうべきかを考察する。
内容(「MARC」データベースより)「持家社会」が動揺し始め、住宅資産はリスクを伴う不安定なものになった。「住」の不平等はなぜ拡大したのか? グローバルな潮流をふまえたうえで、住宅システムの変遷を検証し、日本社会がどこへ向かうべきかを考える。
アメリカのサブプライム・ローン問題に端を発した世界同時不況で、日本も雇用状況が悪化し、「派遣切り」で職ばかりか住まいをも失う人びとが現れている。
本書は、この悲劇を招いた主犯格・新自由主義の政策を問い直す。
日本において、「住」の不平等はなぜ拡大したのか?
住宅政策は中間層だけが恩恵を受ける経済刺激策のままでよいのか?
独身者、高齢者、住宅困窮者など、多様化する人びとの暮らしの改善に、住宅政策は貢献できるのか?
綿密な実証にもとづいた、気鋭の都市・住宅研究家の労作。
◆政府による家賃補助がない
「民営借家の入居者に対する家賃補助は、住宅保障の不公平を緩和する有力な選択肢である。公営住宅に入居できる/できない世帯の双方に政府援助が届くからである。[…]しかし、日本では政府による家賃補助の制度は不在のままである。生活保護制度は被保護者に住宅扶助を供給する。しかし、住宅扶助は極度に限られた貧困者しか対象としない。」(p. 264)