『シベリア抑留とは何だったのか――詩人・石原吉郎のみちのり』
畑谷 史代 20090319 岩波書店(岩波ジュニア新書).201p.
last update:20110217
■畑谷 史代 20090319 『シベリア抑留とは何だったのか――詩人・石原吉郎のみちのり』,岩波書店(岩波ジュニア新書).201p.
ISBN-10: 4005006183 ISBN-13: 978-4005006182 \740+税
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■内容
強制収容所を生き延びた詩人・石原吉郎は、戦争を生み出す人間の内なる暴力性と権力性を死の間際まで問い続けた。彼はシベリアでいったい何を見たのか?
石原を軸に抑留者たちの戦後を丹念に追った著者が、シベリア抑留の実態と体験が彼らに与えたものを描き出す。人間の本性、生きる意味について考えさせられる一冊。
■著者略歴
1968年、長野市生まれ。早稲田大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。信濃毎日新聞社入社。報道部、文化部を経て現在、論説委員。
著書に『差別とハンセン病――「柊の垣根」は今も』(平凡社新書)、共著に新聞協会賞(1999年度)を受賞した『介護のあした』
(紀伊國屋書店)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。
■目次
はじめに
プロローグ
舞鶴に降り立った人びと/快晴の空のしたで/「喜び」の陰で/消せない記憶を抱えて/「みんな、死んじゃったなあ」/「シベリア」を問い直す
第1章 封印された過去
見たこともない詩/詩を支えに/浦島太郎/「シベリア帰り」/日本語との再会/自分を解放するために/仲間の目にうつった詩人/底知れぬ暗さ湛えた目
/内なるシベリアへ/重たい言葉/表現するかたち/小さな骨壷/疼くような思い/「告発しない」決意/肉親への義絶状/詩壇越えた反響/転換点
/〈人間〉として立つために/解かれた封印
第2章 ラーゲリの記憶
敗戦後に始まった「戦争」/ある〈共生〉の体験/収容所に見た民主主義/故国への屈折する思い/忘郷と望郷/死のとなりで/人間の本質は…/「数としての死」
/みな、固有の名前をもっている/被害者であること、加害者であること/人間は加害者のなかから/「絶望」を背負って
コラム・香月泰男のシベリア・シリーズ
第3章 戦後社会との断層
すれ違うまなざし/一人の死者も置き去りにしない/人間の内にあるもの/シベリアを生きる/どうしても書けなかったこと/「戦後」を生きる
第4章 詩人へと連なる水脈
一人ひとりのシベリア/自分はどう生きたのか/あの戦争は今も近くに/死者の固有の名を呼ぶ/現実に向かい続ける意志
エピローグ
強制収容所で/「シベリア帰り」/終わらない「戦後」/耳を澄ます
付録 三編の詩・石原吉郎
おわりに
石原吉郎年譜
参考文献
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:北村 健太郎