『捨てられるいのち、利用されるいのち――胎児組織の研究利用と生命倫理』
玉井 真理子・平塚 志保 20090201,179p.
■玉井 真理子・平塚 志保 20090201 『捨てられるいのち、利用されるいのち――胎児組織の研究利用と生命倫理』,生活書院,179p. ISBN-10:4903690342 ISBN-13:9784903690346 \3150 [amazon]/[kinokuniya] ※ be
■内容
胎児のいのちと、そのいのちから恩恵を受ける人々をめぐる生命倫理。人々や社会はどのような道徳観をもってこの小さないのちに向き合ったのか。
■目次
対談 『中絶胎児利用の衝撃』をめぐって
アメリカにおける中絶の是非論と胎児利用の是非論
中国、黄紅雲医師の胎児細胞移植
日本の胎児細胞研究利用に関する議論
生命科学とジャーナリズム、研究者の役割
序章 中絶胎児組織を用いた子宮内胎児治療の現状と移植を受ける側の苦悩
1.胎児組織を用いた子宮内胎児治療の現状
2.中絶胎児組織の移植を受ける側の苦悩
3.結びにかえて
第1章 中絶胎児組織の研究利用をめぐるアメリカ合衆国でのモラトリアム時代
はじめに
1.アメリカ合衆国の中絶胎児組織利用研究モラトリアム時代
1970年代まで
1987年から1992年まで
2.1993年以降
おわりに
第2章 中絶と胎児研究の倫理―全米委員会の議論をてがかりとして
はじめに
1.全米研究法の形成と中絶胎児研究
「医療思想革命」と中絶論争
NIHの胎児研究ガイドライン報道と全米研究法
2.全米委員会「胎児に関する研究」報告書の議論
「胎児に対する研究」の概要
「最小限のリスク」と「平等の原則」
解釈の適用をめぐる論争
連邦規則の制定とその後
3.中絶胎児の研究利用の倫理的問題――その批判的考察
中絶との関係からみた胎児研究――そのもう一つの立場
倫理の臨界――ノーランの中絶胎児移植研究批判
代諾モデルを超えて
4.結論と展望
第3章 胎児および胎児付属物の処分と利用に関わる問題
はじめに――問題の視座
1.胎児組織の利用実態
胎児付属物とは
胎児付属物の利用(1)――組織療法の原料としての利用
胎児付属物の利用(2)――再生医療の原料としての利用
死亡した胎児組織の利用(1)――薬剤開発における利用
死亡した胎児組織の利用(2)――組織移植および再生医療の供給源としての利用
2.胞衣および胎児へのまなざし
三育の習俗にみる胞衣/胎児へのまなざし――堕胎観の変遷
胎児へのまなざし――生命感の変遷
胞衣の埋納と死産児、死亡乳幼児の埋葬との関連性
3.現行法上の死亡した胎児および胎児付属品の処分に関する規制
胞衣処理の規制
死亡した胎児の届出と処分
死体埋葬罪との関連
4.いのちの葬られ方、利用の仕方を現代的視点から考える
おわりに
第4章 胎児の遺骸はどのように扱われるべきか―イギリスのガイドラインから
はじめに
1.妊娠中絶法との人の受精及び胚研究に関する法
2.胎児利用に関する保健省のガイドライン
ピールレポート
ポーキングホーンレポート
3.2004年人体組織法
4.専門集団から出されたガイドライン
胎児職集団から出されたガイドライン
――看護士と助産氏に対するガイダンス(王立看護協会)
24週間前の妊娠喪失に伴う処分
おわりに
第5章 中絶と胎児利用の「道徳的共犯関係」の問題―ドイツ、スイスの指針を手がかりに
はじめに
1.胎児組織の利用
2.各国の対応
日本
ドイツ
スイス
その他の国
3.中絶をめぐる倫理的問題と胎児組織の利用
中絶の容認と胎児利用
中絶と胎児利用の分離
4.胎児組織利用の倫理的問題
おわりに
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:本岡 大和