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『障害者はどう生きてきたか
――戦前・戦後障害者運動史 [増補改訂版]』

杉本章 20081225 現代書館,460p.

last update:20110225

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■杉本章 20081225  『障害者はどう生きてきたか――戦前・戦後障害者運動史 [増補改訂版]』,現代書館,460p. ISBN-10: 4768434878 ISBN-13: 978-4768434871 \3300 [amazon][kinokuniya] ※ d00h

■内容

内容(「BOOK」データベースより)
障害者福祉の歴史を動かしてきたのは、障害当事者たちの闘いであった。戦前から現在に至る障害当事者の歩みを通して、社会政策・障害者福祉の展開をふり返り、インクルージョン社会に向けての展望を探る。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
杉本 章
1938年神戸市生まれ。62年大阪市立大学文学部(歴史学科)卒業、同年NHK入局。学校放送、青少年番組、福祉番組ディレクターを経て、94年退職。順正短大(岡山県高梁市)保健福祉専攻科教授として障害者福祉論、社会福祉概論、人権問題論などを担当。2000年、賢明女子学院短大(姫路市)福祉支援学科長、05年芦屋女子短大文化福祉学科教授を経て07年3月退職。04~08年、知的障害をもつ人と支援者との関係のあり方を探るNPO法人「エンパワメント・プランニング協会(EPO)」代表。04年~「ひょうご地域福祉政策研究会」副代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

増補改訂版へのはしがき
第一章 戦前・戦中の障害者(一八七〇〜一九四五年)
第二章 それは患者運動から始まった(一九四五〜一九四九年)
第三章 戦後社会福祉体制の確立期(一九五〇年代)
第四章 理念なき施策の拡充(一九六〇年代)
第五章 高度経済成長の破綻と「青い芝の会」の衝撃(一九七〇年代 1)
第六章 立ち上がる障害当事者(一九七〇年代 2)
第七章 国際障害者年の取り組み(一九八〇年代 1)
第八章 生きる場・作業所と自立生活運動の展開(一九八〇年代 2)
第九章 パラダイム転換への胎動(一九九〇年代 1)
第十章 知的障害者、施設障害者のネットワーク(一九九〇年代 2)
第十一章 扉よ開け――精神障害者の苦闘(一九九〇年代 3)
第十二章 「分権」「参画」「自治」がキーワード(一九九〇年代 4)
第十三章 二十一世紀 波乱の幕開け(二〇〇〇年代)

解説にかえて(二日市 安)
年表 戦前・戦後障害者運動史と関係法制
あとがき

■引用

「阪神・淡路大震災の被害は、単に自然の脅威のすごさと言って済ませることのできない教訓を私たちに与えました。それは、これまでの都市開発が産業湯銭の土木開発志向であり、街づくりにおける人々の健康と安全な暮らしへの配慮をなおざりにしてきたということ、また、災害時への備えや救命救急システム、とりわけいざという場合の高齢者や障害者に対する救援体制がほとんどできていないことを露呈したのです。政府も被災地の自治行政も、防災体制、緊急時の初動体制、被災市民の救命救急、安否確認、避難所での生活確保、高齢者・障害者への配慮等いずれの点においても、縦割り行政の硬直性を露呈して対策が後手後手に回り、救援活動の多くを民間団体や市民の自発的な活動、ボランティアに頼らざるを得ませんでした」198

「震災では障害者作業所が大きな打撃を被りました。作業所は、授産施設等の法内施設と比較して小規模で財政基盤も弱く、家賃の安い老朽家屋などを利用しているところが多いだけに、被害もはなはだしかったのです。兵庫県内には約160か所の作業所がありますが、このうち80%以上(134ヶ所)が被害の大きかった神戸・阪神間に集中しています。「障害者支援センター」の(1995年)2月末現在の調べでは、これらの作業所のうち19ヶ所が全半壊し、36ヶ所が再開不能、休止に追い込まれました。」199

「兵庫県内の障害者関係の約40団体が加盟する障問連(「障害者問題を考える兵庫県連絡会議」)を中心とした救援活動の動きも迅速でした。…>200>……2月2日、障問連は被災地の真ん中、神戸市兵庫区に「被災地障害者センター」を開設し、毎日、百人近いボランティアを動員して800人以上の在宅障害者宅や避難者宅を訪問し、当面の生活物資を届けたりその後の継続的な生活支援などに取り組みました。「被災地障害者センター」は97年に神戸市長田区二事務所を移し、99年にはNPO法人格を取得して被災障害者の直接的な救援活動から障害者の日常生活をさせる活動に重点を移して、現在も多彩な活動を展開しています。」  200 

「東京では、DPI日本会議、JIL、障害者総合情報ネットワークが呼びかけて1月26日、「被災地障害者指示実行委員会」が発足し、大阪の「障害救援本部」と連携して街頭での救援アピール、カンパ活動、政府・関係省庁への要望行動を展開し、また、全国的な情報・支援活動のセンターとしての役割を担いました」200

「この年(1995年)6月には「ゆめ・風10億円基金」が発足し、10年間で10億円の基金を集めて被災地の作業所、地域拠点の債権を持続的に支援していく取り組みを始め、すでに2億円近い基金を集めて被災地の作業所の再建のために資金提供を行ったほか、その後に起きた国内外の大地震等による被災障害者への救援金の送付なども行っています。」200

「震災とその後の救援活動を通して明らかになったことの一つは、これまでに培ってきた障害当事者の運動ネットワークが想像以上の力を持っていたという事でした。」200


■書評・紹介

■言及



*作成:中倉 智徳
UP:20110225 REV: 20110323(引用追加:近藤 宏
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