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『エピステモロジーの現在』

金森 修 編 20081110 慶応義塾大学出版会,500p.


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金森 修 編  20081110 『エピステモロジーの現在』,慶応義塾大学出版会,500p. ISBN-10:4766415523 \5600 [amazon][kinokuniya] ※ **

■目次
序論 現代フランスの主知主義的伝統 金森 修

第一部
第一章 デカルト哲学の中での医学 香川 知晶
第二章 偶然の確率を計算する 松村 正隆
第三章 カヴァイエスと数学史の哲学 近藤 和敬
第四章 神経学とベルクソン哲学 三宅 岳史
第五章 或る実証主義の帰趨 金森 修
第二部

第六章 フランス心理学の誕生 河野 哲也
第七章 生命の認識 山口 裕之
第八章 「自然の作品は知性の作品である」 高橋 厚
第九章 地質学と起源の夢想 荒原 由紀子

■引用
「ベルクソンはこのようなエネルギーの解放や消費を、『物質と記憶』の神経系の非決定性のテーゼを延長させながら動物のみならず生命の自由や創造とほとんど同一視さえする。……しかしながら、詳しく見ると、『創造的進化』には、『物質と記憶』にはない視点が加わっている。『物質と記憶』では、前節でも見たように、神経系は、非連続的なニューロンの連鎖により非決定的なシステムとなているだけだったが、『創造的進化』以降では、生命が創造する測定不可能なほどミクロな非決定性を増幅させるシステムである、という視点が加わっているのである」「神経学とベルクソン哲学」p180

「このような有機体と意思との関係は、おそらくこうまとめることができると思われる。まず、このニューロンのシステムは、因果的偶然を示し、その偶然性は自然科学の扱う範囲である。つぎに、この偶然性と結合することによって導入される意思による目的性に関しては、ベルクソン哲学では、形而上学の領域に属することになる。そしてこの両者の連関をつなぐのがこの計算不可能な、あるいは測定不可能なエネルギーなのである」「神経学とベルクソン哲学」p182

「全体的な結論として、ベルクソンは精神では連続説、そして大脳レベルでは全体論をとるが、神経組織のレベルでは非連続説をとるということができる。そして、この非連続性の立場をとることによって、神経系を外的刺激の変動に柔軟に応じて習慣を形成できる可動的なシステムとして考察することが可能になったのであり、また、はじめは微量だった非決定性が増幅される形でニューロンが方向づけられ、それによって非決定的な神経系のネットワークやシ>184>ステムが形成され、それがまた非決定性の貯蔵庫とその爆発的な解放になるという形で、生物の進化を考えることが可能になったのである。」(「神経学とベルクソン哲学」p183-184)」

「現在の心理学はアメリカ主導である。心理学という学問はヨーロッパにおける生理学的研究から生まれながら、どこよりもアメリカで発達したことは興味深い事実である。本章では18〜19世紀>240>ヨーロッパで共有された哲学と科学思想の中からどのようにして科学的心理学が誕生したかについて、特にフランスを中心に見てゆくことにする。イギリスやドイツの初期の心理学的な研究がフランスの土壌に植え付けらるとどのような樹木が成長するのか。これを回顧して比較するならば、現在の北米の心理学が暗黙のうちに基礎に置いている自然観や人間観、社会的関係性を明るみに出せるだろう。」「フランス心理学の誕生」p239−240

*作成:近藤 宏 
UP:081204 REV:20090816
金森 修  ◇哲学・政治哲学・倫理学  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
 
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