(「BOOK」データベースより)士郎正宗、押井守、神山健治の『攻殻機動隊』、そして森博嗣の『スカイ・クロラ』――これらは、サイボーグやクローン的存在を扱った作品であり、近未来の物語と思われている。けれども最新のテクノロジーは、これらの作品で描かれている世界を現実のものにしはじめている。先端テクノロジーがここ10年ほどのあいだに急速な進歩を遂げ、すさまじいともいえる威力を発揮しはじめているのを目の当たりにすると、驚愕と同時に不安を抱かざるをえないほどだ。
これらのテクノロジーは私たちをどこへ連れていこうとしているのだろうか。私たちは、これらのテクノロジーを受容することで、どのように変容するのであろうか。人間は何になろうとしているのだろうか。人間であるとはどのような意味なのだろうか。あるいはサイボーグであるとは何を意味するのか。それを考えるには、フィロソフィー、すなわち哲学が必要なのだ。
テクノロジーは、私たちをどこに連れて行くのだろうか。私たちは、どのように変容するのだろう。サイボーグであるとは、何を意味するのか。人間であるとは、どのような意味なのだろう? 人間と物とのあいだを浮遊するポスト・ヒューマンの哲学。