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『意味とシステム――ルーマンをめぐる理論社会学的探究』

佐藤 俊樹 20081025 勁草書房,415p.


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佐藤 俊樹 20081025 『意味とシステム――ルーマンをめぐる理論社会学的探究』,勁草書房,415p. ISBN-10: 432665337X ISBN-13: 978-4326653379 \3570 [amazon][kinokuniya] ※ s

■内容
システムはある。ただあたえられている。行為システム論からコミュニケーションシステム論へ、ルーマンの探究の先にあるものとは。

「システムがある」こと、「社会がある」こと、「コミュニケーションがある」こと。ルーマンの思考を追跡しながら、そこで何が考えられ、何が考えられなかったかを問う。ルーマン自身を等価な可能性の一つとして、読み解くことがきりひらく新たな地平。世界をシステムで覆いつくす究極のシステム論の裂け目が、いま、あらわにされる。

■目次
序章 手の記憶
1.四つの手
2.「システムがある」こと
3.理論社会学へ
4.カードのシステム
5.本の構成:前半
6.本の構成:後半
7.社会学とルーマン
8.システムへ、そしてシステムから
(付記 訳語対照表)

第一章 閉じえぬ言及の環 意味システム論へ
1.二つの転換点
2.行為とシステム
3.システム論の「言語論的転回」
4.相互作用システムとは何か
5.接続し接続される行為
6.境界と自己産出
7.システム描写のゆれ
8.全体社会とコミュニケーション
9.超越論的視点のすべりこみ
10.社会を語る地平

第二章 コミュニケーションそして/あるいはシステム――長岡克行氏の批判に応えて――
1.批判と応答 その経緯
1・1 システム論再考
1・2 応答の先
1・3 論点の整理
2.相互作用はシステムであるのか 「二つの定義を」をめぐって
2・1 相互作用のシステム定義
2・2 「人として」と「システムとして」
2・3 システム同定操作の有無
2・4 「人して」のアポリア
2・5 二つの定義可能性
2・6 「人」はシステムにならない
2・7 「システムがある」条件
2・8 二つの「自己auto」
2・9 中断と臨在
2・10 「居合わせていること」は前提なのかそうでないのか
2・11 コミュニケーションの連続とシステムの不連続
2・12 システム定義の不整合
3.全体社会と組織 システム協会定義をめぐって
3・1 「社会」を同定するのは誰か
3・2 全体社会という境界?
3・3 国家社会と「全てのコミュニケーション」
3・4 二つの自己産出(オートポイエーシス)論
3・5 コミュニケーションシステムを同定する根拠
3・6 組織のシステム同定操作
3・7 コミュニケーションとシステム
4.行為――コミュニケーションの接続 二重の不確定性をめぐって
4・1 行為――コミュニケーションの相互到達性
4・2 「人について相互」と「行為について相互」
4・3 不確定性と非規定性
4・4 二重の不確定性
4・5 コミュニケーションの二面性
4・6 理解の座
4・7 二重に他でもありうることと時間
4・8 逆説のコミュニケーションの逆説
4・9 反省ではない
4・10 「脱(エント)〜化」の可能性条件
4・11 「カント的な問いの技法」とコミュニケーションシステム論
5.システムの根本概念としての意味
5・1 行為システム論との距離
5・2 システム境界の同一性
5・3 「内」の意味論
5・4 「内」のゆらぎとシステム
5・5 一般理論の自閉

間奏1 システムの世紀末 Niklas Luhmann, Soziologische Aufklrung 2

第三章 コミュニケーションシステムへの探求 社会の秩序とシステムの存在
1.ルーマンのシステム論
2.行為システムとのちがい
3.行為の非原子論:文脈と解釈
4.コミュニケーションという要素
5.システムの存在問題を解く
6.行為することの不確定性
7.「コミュニケーション」定義の変位
8.コミュニケーションシステム論とは何か
9.組織システムとコミュニケーションシステム
10.システム/環境図式をこえて
11.道標として

第四章 システムの公理系 作動の閉鎖性と「他でもありうること(コンティンゲンツ)」
1.閉じているから開いている?
1・1 社会的なることへの問い
1・2 公理系として
2.システムの内と外
2・1 二つの差異
2・2 自己産出における内/外
2・3 コミュニケーションの定義
2・4 二つの公理の比較
2・5 接続の選択制と「内」への感応性
2・6 システムの定義と環境への感応性
2・7 内在する不定性
2・8 コミュニケーションシステム論の複数性とパラドクス
3.コミュニケーションシステム論の再構築
3・1 環境開放性とシステム合理性
3・2 不確定性を内在させたシステム
3・3 機能システム論での展開
3・4 教育システム論の不確定性
3・5 システムは自らを観察する?
3・6 同一性問題の射程
3・7 ルーマンの閉じ
3・8 作動の果て

間奏2 つながりは世界を断線する Connected World was disconnected

第五章 官僚制と官僚制化 組織システム論の視界と限界
1.「社会変動」への視線
2.社会と組織の二重性
3.官僚制の定義論
4.組織を行為から見る
5.集権的分権化のしかけ
6.行為連鎖と不確定性
7.組織と自己産出
8.手続きと準手続き
9.法と官僚制の相互依存
10.不条理への対抗戦略
11.責任と無責任の循環
12.組織と社会の逆立
13.官僚制とその外部
14.官僚制を考える意味と責任

第六章 国民国家の「臨界」 国民/市民の二重体
1.国家を考える
2.国民国家の成立要件
3.「国民」のシステム
4.市民社会モデルの位置価
5.国民国家の形成史
6.「市民社会」のリアリティ
7.個人の外部性
8.「国民/市民」
9.地球環境問題の困難
10.システムの自己写像と覇権国家
11.国民国家の臨界とは

間奏3 公共性の原風景をめぐって――社会的装置としての公共性――

第七章 世界システムという物語 終わらぬ世界と「歴史」の終わり
1.世界の果てと因果の果て
2.歴史 vs. 科学?
3.比較と因果
4.分割される時空
5.世界システム論の矛盾と破綻
6.歴史物語への回帰
7.因果システムの意味境界

第八章 眺める桜と睦む桜 都市と異界をめぐる考察
1.普賢象の春
2.八重桜の都
3.都市と異界と桜
4.里と山の生態史
5.土地と桜の近代
6.閉域とその外 都市のシステムへの問い

終章 ルーマンと私

あとがき
文献
索引

■引用

■書評・紹介

■言及




*作成:岡田 清鷹 
UP:20081120,20090802
佐藤 俊樹  ◇社会学  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
 
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